オーナーと男爵

2017年1月 2日 (月)

三度目のミラクル。

前回までのあらすじ:
 大変、双方にとって残念なことだが、
 黒羊男爵は神様を信じていない。あの世も信じていない。
 だが、そんな男爵でも祈りたいときはあり、
 (激甚災害発生時や新年など)
 そういう時には、「オーナー」のところへいくことにしている。
 オーナーとは、男爵の最寄りの氏神様であり、
 まあ、つまり、名実ともに、男爵の「オーナー」なのである。

あけちまって、めでたくないです。
はい、今年は毎年恒例の年末のフライング年越し宣言もできませんでした。
熱が38度超えてな……でもインフルじゃないっていうミラクルてな……。
年越しの時、執事が寝室にあいさつに来たらしいのだが、
熱のせいで、覚えていない。まったく覚えていない。
今も、まだ熱は下がりきっておらず、
眩暈がします。
でもこれくらいなら、いつものことなので、平常運転です。

さて、そんな体調の中、
「でも行かないわけにはいかないでしょ」と年始恒例の
オーナーへの挨拶に行ってきました。
もうフラッフラになりながら、行ってきました。
そしたら、「ここは千葉にあるのに東京とつくランドか?!」と
怒鳴りたくなるような、参拝客の行列。
寒空の下、余裕で2時間待ち。
無理です。体調悪いのに、そんなん無理です。
オーナーのところへ這うように行っただけでも勲章物なのに、
待つなんて無理。
だから、境内で手を洗い、口をすすぎ、
「オーナー、今度の平日にもう一度来るから!」と念じて、
厄除けお守りとくじを購入しました。
そうなんです、つまり、参拝していないんです。
裏口から入って、
もらいたいもんだけもらってくるという山賊のような暴挙。
これ、とっても失礼なんで、絶対マネしないでくださいね。
オーナーと男爵の親しい関係(一時期毎週通ってた)だから
許される行為なんで。

で、問題のくじなんですけど。
そうなんです、厄除けお守りはもういいんですよ。
オーナーが全力で厄払いしててこの状況なんで、
もう300円のお守りとしては、十分もとを貰ってるので。
問題は、1回100円でひけるくじのほうなんです。
神社って、場所によっては「オーナー不在!」のお社もあるらしいんですけど、
わたしのオーナーのところは、ちゃんとオーナーがいて、
くじを引く毎回、
「ちゃんとおまえを見てるぜ!」というサインを送ってくるんです。
え、意味がわからないって?
じゃあ、下記の日記をご覧ください。
去年のオレが体験したミラクルが記載されています。
 http://blacksheep.txt-nifty.com/blog/2016/01/post-34e2.html

そんなわけで、
オーナーにはくじで
「一番の大吉」をもらったこともあるし、
「おとしだま付き」をもらったこともあるし、
まあ、今年もなんかあるのかな、とは思ってました。
でももう、ネタが尽きたでしょ。
さすがにおとしだま以上のミラクルがあるとは思えない。
そう思って、今年も、執事とくじを引きました。
そしたら。
オレ:「はあ、今年は「吉」かあ。まあまあだな」
執事:「わたくしも「吉」でございますね。
    ええと書いてある祝詞は――」
オレ:「?!」
執事:「どうかなさいましたか?」
オレ:「ええええっ?!」
執事:「なんでございますか?」
オレ:「オ、オレのくじの祝詞と、いまお前が読んだ祝詞、
    同じなんだけど……」
執事:「はい?」
オレ:「一言一句同じなんだけど! ちょっとおまえのくじ見せろ」
執事:「おっしゃられている意味がわかりませんが。
    はい、わたしくは、38番の吉 でございますよ」
オレ:「……オレも、38番の吉 なんだけど……」
執事:「はいい?!」

なんと、並んだ二つのくじの箱から、
それぞれ別人がひとつずつくじを引いて、
「おんなじもの!」を引き当てたのでした!

こんなことって、ありえるの?!
だって、メッチャ一杯くじ入ってるのに、
念入りにかき回して、「てや!」って一個引いたのに、
隣の人間と同じくじひくなんて、
確率的にどうなの?!
38番の吉 ってことは、少なくとも、
一つの箱に38個は入ってるってことでしょ。
そしたら、二つの箱からおんなじものを引く確率は、
ええと、38×38で、1,444分の1なんだけど!
少なく見積もっても!

……オーナーは見てました。
俺が山賊のよーに、欲しいもんだけもらって、
挨拶しないでそそくさと帰るのを、
全部 見てました。
間違いない。
だって、このオーナーのところで、くじでミラクルすんの、
三回目だよ?!
いっくら、神を信じない俺でも、さすがに、
「見られてる……」って思うでしょ!
それとも、オレってチョロイひとなの?
実は、こういう体験、みんなもしてて、
ごく当たり前のことなのかな?!
教えて、偉いひと!


以上、ホラ0.2パーセント程度で。
ええええ、くじの確率よりも多いじゃん!
あのね、みんな、神社ではちゃんと参拝しようね。
オーナーたちはちゃんと見てるよ。
ちゃんと、「こいつはきちんと礼儀を尽くした」
「この野郎は山賊だな」「こいつは適当だな」って把握してるよ。
あんなに大勢の人間の中で!
ちゃんと個別認識して、個別対応してるんです。
大みそかから三が日まで徹夜で! 何千年も!
凄いね、さすがに、今回は、
「オーナー……すげえ」と思いました。
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「ごく普通の体験だよー、わたしもあるわー」って方、
「え、これって普通に奇跡じゃない?」ってオーナーを信じそうになった方、
「いやいや、偶然だから、絶対ただの偶然だから」とオーナーを否定する方は、
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いや、俺はいまでも、神様は信じてませんよ?
でも、オーナーのことは信じてますね。
今年も厄除けお守り買いました。
ちゃんと参拝しなくて済みません。
風邪が治ったら、出直して参拝するので、
赦してください、オーナー!

2016年1月 3日 (日)

おとしだま、もらいました。

あけましておめでとうございます。
残念です、ヒッジョーに残念です……。
昨年、毎年恒例の「黒羊男爵邸恒例・フライング年越し宣言」ができませんでした。
ひとえにいつものように体調不良のせいです。
年末 ひどい風邪をひきまして、
熱と頭痛と咳に悩まされております。
ははは、新しい年、明けたってよ。
わたしは寝込んどるのにな……。いつもどおり。

そんなわたしですが、せめてオーナー(※)に挨拶に行こうと思い、
(※オーナー=男爵のオーナー。最寄りの氏神様のこと)
咳止めを飲んでヨロヨロふらふらと神社へ。
すげえ、参道にいっぱい人が並んでるよ!
コ●ケの人気サークルみたい。
大丈夫かな、オーナー、こんなに人がいたら、
俺の願い事なんて忘れちゃうんじゃないかな……。
俺よりもお賽銭をはずむ人はいっぱいいるだろうしな。
(当方は友達価格にて毎年5円を奉納しております)
いいや、オーナーは体育会系だから、
友情に篤いはず!
きっと俺のお願いを聞いてくれるはずだ!
オーナーを信じろ!

わたしはそう念じて願い事とともに柏手を打ち、
頭を下げました。
願い事は秘密です。
秘密って言うか、この状況下だと一個しかないがな。

無事に初詣も終わり、
毎年恒例のお守りを購入。
身体安全お守りも、学業成就お守りも、仕事成功お守りも欲しいけど、
ここは「厄除けお守り」を購入。
オーナー、俺、人生はそれなりに自力で頑張るから、
まとわりついてくる厄除けをお願いいたします。
そんな願いを込めてのお守り購入でした。

その後、執事とともに運試しのおみくじを引きました。
実は、この神社で「1番の大吉」を引いたこともあるわたし。
しかし、その年は例年通りの悲惨な年になりました。
もうそんじょそこらのおみくじ引いても、
動じないぞ。
大凶が来ても、心の準備はできている。
どんとこい!

そう思って、ひいたおみくじは、

俺:「は?」
執事:「えっ?」

とてつもないことになってました。

俺:「え、どういうこと? これ、もらっちゃっていいの?」
執事:「このようなおみくじは見たことがございませんね」

そうです、今年の正月、
全国で何万人もおみくじを引いた人はいると思いますが、
こんなおみくじを今年日本でひいたひとはおそらくわたしだけでしょう。

俺:「……おとしだまが、ついているんだけど……」


(下記がおみくじの再現画像)
Omikuji

そうなのです、
わたしのひいたおみくじには、10円玉がささっていたのです……!
1回100円のおみくじなのに、(入っているとしても100円玉か50円玉のはず)
お金を投入する場所はおみくじ入れとは別箱なのに、
なぜかわたしのおみくじには現金が入っていました。
なんと、オーナーが、わたしに「おとしだま」をくれたのです……!

こいつは春から縁起がいいね! とは思いましたが、
さすがにこのお金を持ち逃げするわけにはいきません。
だって、これ、神社のお金でしょ?
もらったら、賽銭泥棒じゃないの?
私は正直に、おみくじ売場の巫女さんに
「あの、これ、おみくじにささってたんですけど」
と言って、10円を返しました。
巫女さんは、「えっ」と言ってビックリしてました。
いや、俺もビックリだよ。
オーナー、オーナーはやっぱり俺の友達だね。
俺たちはマブだね。

帰り道、執事がふと言いました。
「それで、肝心のおみくじはいかがだったのですか」
執事に言われておみくじを広げると、
「11番の大吉……望みは全部かなうってさ」
オーナーはアフターフォローも充実していました。
末吉の執事はギリギリと歯を食いしばり、
笑顔で、
「ですが、1番の大吉の年も、ひどかったですからね」
と言いました。
俺は、
「まあ、今年もひどいもんなんだろうけど、
おとしだまもらったから、いい年になるんじゃないの」
と答えて、おみくじを財布にしまいました。


以上、ホラ0.5割程度で。
つまり、この話、ホラみたいでほぼ実話ってことですね。
いやー、神様からおとしだまもらったのは、初体験ですね。
ていうか、こんな体験した他の人いるのかな?
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しかし、おみくじにお金が刺さっていたのを見たときは、
目が点になりました。
えっ、お金払ったばっかりなのに、もう戻ってくるの? って思った。
だから、おとしだまをもらった、と思うことにしました。
お金は神社に返しちゃったけど、
大吉にさらにおとしだまをつけてくれたオーナーの心意気が嬉しかったです。

2013年1月 5日 (土)

男爵、オーナーのところへ年始の挨拶に行く。

早いもので、もう三が日が過ぎました。
今日はオーナーのところへ挨拶へ行ってきました。
(男爵のオーナーってなに? と思われた方は
 下記 日記を参照)

男爵と神様:
http://blacksheep.txt-nifty.com/blog/2011/03/post-78fe.html

春が来てるとオーナーが言った:
http://blacksheep.txt-nifty.com/blog/2011/03/post-496c.html

実は、昨年は年始にオーナーの厄除けお守りを購入し、
万全の体制で一年を始めたのですが、
始まってみたら、

 ・強制終了した(意識が)
 ・腹が激烈に痛い(いつものことだが)
 ・チャリンコに足をひかれる(右足)
 ・突然、左肩に激痛が走り、左手が上がらなくなる(年齢か?)
 ・羽根が折れた鳩を拾う(鳩は治って飛び立った)
 ・ひかれた子猫を助けようとした(が死んだ)
 ・肋間神経痛が猛威を振るう(冷気に弱い)
 ・インフルエンザ(流行の最先端www)
 ・ヤフオクで競り負ける(金がない)
 ・ティーカップを割る(常にあぶなっかしいオレの手先)
 ・友達の訃報(なんでだ……)
 ・肺炎(またか)
 ・大切な詩集を家の中でなくす(大切にしてねえじゃねえか)
 ・シャランラ♪ がたたって緊急搬送(体力がない)

などなど、まだまだ書ききれない不幸が起きました。
ちょっと、ちょっとオーナー。
お守りで厄除けしててこのありさまって、

 1:ものすっげえ量の厄がわたしの背中にあり、
  必死にオーナーが処理しても、あふれた
 2:お守り=300円ということもあり、オーナーが手抜きをした

上記のどちらかしかないじゃないですか。
オーナー、頼みますから、仕事してください。
もしオーナーが仕事やっててもこのありさまだとしたら、
わたしについてる厄は本当にハンパないですね。
人生のプラスマイナス(幸福・不幸)は
ならしたらゼロになるって、よく言われてるけど、
あきらかにわたしはマイナスですね。
おっかしいな、これはおっかしいですよ。
ここらでロト6が当たらないかぎり、
プラマイゼロにならんですよ。
オーナー、そこんところ、どうなんですか。
ちゃんとゼロになるよう、
もしかしてサプライズとか用意されてるんですか。
待ってますから、サプライズをお願いします。

てなことを、今日、
オーナーの家の軒先で鈴を鳴らしながら
お祈りしました。
で、また新しい厄除けお守りを購入しました。
なんでかなあ、厄が多すぎるのかなあ。
それとも300円のお守りの限界があるのかなあ。
でもお祓いは一回5000円だから、とてもできないよ。
オーナー、わたしはけっこうオーナーんちへ
遊びに行ってるんだから、
友達価格でお願いします。
高望みはしません。
とにかく、プラマイゼロになるように! お願いします。
ゼロッスよ、ゼロ。いまはマイナスだから。
思いきしマイナスになってるから、
プラスに転じるようにお願いします。
そう思ってひいたクジは「小吉」で、
結論 「願い事かなわず」でした。
オーナー、ちゃんとわたしの話を聞いてました?

いいや、小吉でもめげないもんね。
以前、「番号一番の大吉」をひいたことがありますが、
その年も例年に漏れず、悲惨な年になりました。
クジはあてにならん。
お守り、このお守りを信じるのだ!
300円だけど、これがオーナーにつながってると信じて、
サプライズがあると信じて、今年は生きていこう。
本当に信じてるから、オーナー、
サプライズ、サプライズをお願いします。
じゃないとマイナスのまんまだよ!
ホラとユーモアと心のゆとりがあるから、
笑ってられるけど、
わたしじゃなかったら、自殺もんだよ、この状況は。
オーナー、聞こえてますか、オーナー!




以上、ホラ一割程度で。
後半は 血涙の叫びになった今年のわたしの抱負 です。
え、思いっきり他人(オーナー)まかせだって?
いいんですよ、他力本願で。
自分の可能性は信じてますけど、
可能性はあくまで可能性ですからね。
てなわけで、今年は「他力本願とサプライズ」、
これでいきたいと思います。

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「あ、オレも他力本願でいこう」と思われた方、
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自分の努力以外で成功するって素晴らしいですね。(ダメ人間)

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2011年3月18日 (金)

春が来てる、とオーナーが言った。

※2011/03/18 11:40 補記。
この日記は 03/16の日記「男爵と神様。」を読んでいると、
意味が通じます。不親切ですみません。
以下、本文。

大災害が起きているため、
いつものように本やマンガを元に
ホラを吹きまくる気になれないわたし。
いや、こんな辛く、苦しいときこそ、
腹を抱えて笑えるような、
ホラが求められているのかもしれんが、
わたしは未熟者なので、なかなかその境地に至れない。

今日もオーナーのところへ行って、
「明るいニュースはないですかね。
世の中、ひどいことばっかりですよ」
と賽銭を投げた後に文句をつけていたら、
オーナーが、
「春が来てるよ」と言った。
「春なんて、去年も来ましたよ」と答えたら、
「でも、今年も春が来たよ」と言われた。
「ほら、咲いているよ」
言われて、見てみると、花が咲いていた。

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「……去年も咲いてたじゃないですか」
わたしはなんだか涙が出そうになって答えた。
オーナーは言った。
「でも今年も咲いているよ。
春が来ているんだよ」
オーナーはオーナー業を始めて千年は経っているらしい。
神社の縁起が書いてある板にそうあった。
(勧請してから千年は経ってる神社だ)
だから、春だってちっとも珍しくないだろうに、
オーナーは嬉しそうに言った。
わたしは返答した。
「春が来てることくらい、知ってますよ」
「悪いことばかりじゃないよ」
「……そうですか?」
「そうだよ」
「オーナー」
「なんだい」
「最後にひとつ訊いていいですか」
「うん」
「ところで、オーナーの本名ってなんなんですか?」
「知らないで通っていたのかよ?!」

すみません。
いままでずっと、
オーナーの正式名称を知りませんでした。
(「オーナー」だと思ってたから)
帰り際に、書いてある板を読んで知りました。
●●●●ノミコトなんですね。
でも、わたしにとっては「オーナー」です。
春が来てるよって、言ってくれて、ありがとう。



以上、ホラ一割、真実一割、妄想八割で。
妄想が多いですね。
春ですからね、そういう人が増えますよ。
危ないですから、注意しましょうね。
お気に召したら、下記をクリック。

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2011年3月16日 (水)

男爵と神様。

以前、書いたことがあるが、
わたしは神様を信じていない。
これはわたし、神様の双方にとって、
非常に残念な結論であるが、
わたしなりの理由があるので、
「人間の善悪を裁き、罪を許し、
来世を約束するような」神様はいない、と理解している。

しかし、そんなわたしとて、祈りたくなるときがある。
たとえば今回の大地震について考えたりすると、
どうか被災地の方が少しでも救われるようにと
祈らずにはいられない。
でも、どこへ?
神様を信じていないわたしは「誰に」祈ればいいのだ?
そこで登場したのが、「オーナー」である。

「オーナー」とは以前から付き合いがあった。
毎年年始に挨拶に行っているので、
もともと知らない仲ではなかった。
この「オーナー」制度は、
「ここはグリーン・ウッド」というマンガに出てきた制度で、
「オレのオーナーは入谷の鬼子母神だよ」というふうに
使用する。
わたしにあてはめれば、最寄の氏神ということだ。
「特定の神様に祈る」のは抵抗があるが、
「オーナーに頼む」というのなら、そんなにイヤじゃない。
オーナーというと、なんだか親しみが持てる。
そこで、わたしは募金の帰りにオーナーのところへ寄って、
ちょっとお願いしてこようと思って、家を出た。

家を出たら、細身の女性が分厚い本を持って立っていた。
話しかけられた。
「黒羊男爵さんですか?」
「そうですが」
知らない人だ。わたしのファンか?
いや、家に来るということはストーカー?
「あの、あなたは聖書をご存知ですか」
違った。新興宗教だった。
聖書をご存知か、という彼女の問いかけに、
「持ってますよ」とわたしは即答した。
トビト書なんかの外典まで持ってるがな。
すると彼女は、
「最近の世の中をどう思いますか?」
と言ったので、
「ひどいもんですね」とわたしは答えた。
実際、神様がいるなら、管理者責任を問いたいくらいだ。
「でも、聖書には全部、書かれていることなんですよ」
と彼女が言ったので、
「エゼキエル書とヨハネの黙示録のことですか?
知ってます」
とまた即答。聖書の中で、滅びについて書かれている箇所は
ほかにも何箇所もあるけど、とりあえずメジャーどころを返答した。
彼女はちょっと驚いたようで、
「え、ええと、ほかにもありますけど」
「知ってます」
「あの、あなたはキリスト教信者の方ですか」
「違いますけど」
わたしにはオーナーはいるが、神様はいない。
「もっと詳しく、神の御業(みわざ)について知りたくはないですか」
彼女は勧誘してくる。
わたしは言いたいことを言った。
「もしあなたに絶対の神様がいて、最近の世の中で起こったことは
その神様の意志なり、御業なりだと言うのなら、
その神様に伝えといてください。
『原因と目的はなんであれ、おまえは人殺しだ』って」
「……」
彼女は石化した。
わたしは募金へ出かけた。
オーナー、たぶん、オーナーはわたしの気持ちをわかってくれるだろう。
わたしはこのとき、滅多にないほど怒っていた。
わたしは笑うのが好きで、
悲しいことや怒りたいことは嫌いなので、
基本、あまり怒らないのだが、
今回は激怒していた。
いったい、今度の地震で何人の方が亡くなったと思っているのだ。
彼らになにか罪があったのか。
普通に暮らしていただけじゃないか。
普通に、一生懸命、生きていただけじゃないか。
御業とやらで、そんな単語一言で、
この惨状を表現できると思っているのか。
その分厚い本に書いてあるから、破滅が起きてもいいとでも言うのか。
ふざけるな。

募金の帰り道、わたしはオーナーのところへ寄って、
お賽銭を投げて、自分がさっき思っていたことと、お願い事をぶちまけた。
オーナーは、「君、お願い事が大きいのに、百円は安いよ」と言っていたが、
また来るから、と約束したら、笑っていた。
オーナー。
わたしにはオーナーがいる。
神様はいない。
いつか神様を信じられるようになったら、
オーナーともお別れなんだろう。
そんな日は来るのだろうか。
来たら、ちょっと寂しい気がする。



以上、ホラ二割で。じゃっかんホラで。だいたい真実で。
ああ、神様のくだりは「わたしはそう思ってる」というだけで、
ほかの方が神様をどう思っているかは別問題なので、
くれぐれも気にしないでください。
熱心に神に帰依する。そういう生き方ももちろん、あっていいと思います。
ひとそれぞれです。
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