« 「人の為」と書いて。 | トップページ | マイ碁盤&マイ碁石キター! »

2016年2月28日 (日)

ハートをつかめ!

どうもこんにちは、黒羊男爵です。
そうなんです、今日 簿記二級の試験日です。
でも行けそうにありません。
体調が激悪くて、(特に腹)
大腸がスプラッシュマウ●テンみたいになってます。
トイレから出られません。当然 電車なんか乗れません。

「ですが、何度も申し上げますが、
体調とホラを吹くかどうかは別問題では」
新しいトレぺを差し入れながら、執事が言いました。
なんだ、それ、美学か。おまえの美学なのか。
ホラを吹かないくせに美学だけあるとか、生意気な。
「わーったよ、じゃあ、話してやるよ、
話せばいいんだろ、O君に起きた悲劇をよ」
「わたしくしはそこまで申し上げておりませんが」
「うるせえ、黙って聞いてろ!」
やけくそになって、俺は話し始めました。

そもそも、O君と俺は赤の他人でした。
まったくの見ず知らずでした。
それが図書館の雑誌コーナーで知り合ったのです。
ある日、俺がNE●TON読みながら、
「重力波ってすげえな」と思ってたら、
なんか隣に座ってた高校生のほうがチラチラする。
チラチラというか、キラキラしてる。
ちっちゃな線香花火みたいな光がまたたいてる。
なんなの?
そーっと横目で確認すると、
その高校生の肩に、
「なんかいる……!」
ひらひらのドレス着て、手に星のついた杖を持った、
ちっちゃな、羽の生えた女の子みたいなのが、座ってる。
なにこれ? 妖怪?(俺は妖怪が見える)
でもこんなドレス着た洋風の妖怪なんて聞いたことない。
妖怪じゃなかったら、なんなの?
まさか。まさか、もしかして。
俺は横目で熱心に観察を続けていると、
(あ! あなた、あたしが見えてるわね!)
ソレに気付かれてしまいました。
いかん! なんかもう嫌な予感がする。
俺は首を扇風機のように振り戻し、
NEWT●Nに熱心にのぞきこんでいるフリをしました。
しかし、ソレは、
(見えてるでしょ! 見えてるでしょ!)
と言いながら、俺の視界を飛び回ります。
うざい、光が目に入って、うざい。
思わず「しっしっ」と蠅を追い払う動作で反射的に手を振ってしまい、
(やっぱり見えてたわね!)
と言われてしまいました。

(あたしは恋の妖精・ユリエッタよ!)
なれなれしく俺の肩にとまったソレは
勝手に自己紹介してきます。
俺はもうNEWTO●を丸めてソレを叩こうとしましたが、
敏捷によけられてしまいました。
(ちょうどよかった、あたしの言うことを彼に伝えてほしいの)
「彼?」
俺は思わず、隣の高校生のほうを見ます。
貧乏ゆすりをしながら、ちらちら時計を見ている男子高校生。
(そうよ、彼はこれから人生の一大転機を迎えるの。
そんな彼のために、アドバイスをするのが、
恋の妖精の仕事なのよ!)
「なら、さっさとすりゃいいじゃねえか」
俺は見えてないふりをあきらめて、小声で応えました。
(駄目なの、あたしの声が彼には聞こえないの。
だから、あなたに伝えてほしいのよ)
「なにを伝えてほしいんだよ」
(彼女の心をキャッチする方法よ)
「彼女?」
(彼は、O君は、これから、図書館の裏で女の子に告白するの。
それがうまくいくように、アドバイスをしたいのよ)
「そんなん、俺には全然関係ねーだろ、巻き込むな」
(だってあなた、あたしが見えて、声が聞えるんですもの)
ユリエッタは杖を振りました。
(よっぽど心が綺麗じゃなきゃ、あたしは見えないのよ。
あなた、そんな態度だけど、本当はいいひとなんでしょ)
「俺はいいひとではない。いい性格ではあるが」
俺に妖精が見えるのは、まあ、放送事故みたいなものです。
(とにかく、物陰から彼にアドバイスして。
あたしが中継して、その声を彼の頭の中に送り込むから)
「だったら、てめえの声を送り込めばいいだろ」
(あたしの声は小さすぎて、誰かの声を中継するのが精いっぱいなの)
「そーかよ、そーかよ。俺にはまったく関係ねーな」
ユリエッタはにっこりと笑います。
(なんなら、あなたの頭の中を、今ここにいる人全員に中継してもいいけど)
えええっ、貸し出しカウンターのおねえさんの胸、
けっこうデカいなとか思ってたことを中継される?!
なんてことを言うんだ、このクソ妖精!
(協力してくれる、わね?)
ユリエッタは付加疑問文で俺に念を押しました。

時刻は土曜日の午後三時、図書館裏にO君が立ちすくんでいます。
視線の先にはかわいいショートカットの女の子がいます。
「呼び出しに来てくれたってことは、
まったく脈がないわけじゃねえんだな」
物陰に隠れた俺は肩のユリエッタに確認します。
ユリエッタは点滅しながら説明しました。
(Y子ちゃんも実はO君のことがほのかに好きなのよ。
だから告白さえうまくいけば、二人はまとまるの)
「どういう告白をさせるんだよ」
(Y子ちゃんがキュンキュンしちゃうような告白。
しっかりとハートをキャッチするような告白がいいわね!)
「具体的なようでいて、抽象的の極みのアドバイスだな」
(大丈夫よ、さあ、O君に言わせたいことを念じて。
それをあたしがO君の頭に中継するわ)
「そーだな、ええと、キュンキュンするような言葉ね……」
俺はちょっと考えてから、言葉を紡ぎ始めました。

「ずっと前から、思ってたんだけど……Y子ちゃん、
とっても目が大きいよね。笑顔とかすごいかわいいいし」
O君の口から俺が作った台詞が飛び出します。
「え、そ、そうかな」
Y子ちゃんは照れながら髪をいじります。
「あ、その仕草もいいなって思ってたんだ、俺。
ショートカット、似合ってるよね」
とりあえず褒めて褒めてY子ちゃんを持ち上げます。
恋愛童貞の俺に、イカス口説き文句なんて思い付きません。
直接的な言葉しか思い浮かばない。
でも、雰囲気は悪くないです。
Y子ちゃんも、まんざらではなさそうな感じだし。
うん、じゃあ、そろそろ告白しないと。
そのために呼び出したわけだし。
「俺さ、Y子ちゃんに、ずっと隣にいてほしいなって。
そばにいてほしいなって、思うんだ……。
こんな俺だけど……俺と付き合ってください!!」
いきました、もうドストレートに直球を投げました。
Y子ちゃんは顔を真っ赤にして、「え」とか言いながら、
差し出されたO君の手を見つめます。
よっしゃ、あと一押しだな。
ユリエッタも はねまわりながら叫びます。
(今よ、彼女の胸をつかむのよ!)
「今だ、胸をつかめ!」
俺のひそやかな絶叫とともに、
O君の手がしっかりとY子ちゃんの胸をつかみました。
ズッバン、と強い激しい平手打ちの音が、昼下がりの図書館裏に響いて、
やがて消えていきました。


以上、ホラ九割九分程度で。まあ、赤い風船くらいの、宙に浮く美しいホラで。
え、O君がこのあとどうなったかって?
顔にモミジつけてましたよ。
ブログランキング参加中にて、
「ああ、悲劇ってこういうこと」と納得された方、
「青春、だね!」と感慨深い方、
「男爵は泣ける話より笑える話のほうがいいよ」と思った方は、
下記をクリック。
にほんブログ村 その他日記ブログ たわごとへ
にほんブログ村
恋愛ってなかなかうまくいかないもんだよね。
いやー、俺も今回代理告白してしみじみとその難しさを痛感したわ。
てか、「胸をつかめ」ってアドバイスを
直情的に実行されるとは思わなかったよ!
それは単なるセクハラというか、痴漢行為だよね。
犯罪です! みんなは絶対にしないでね。
胸をつかめって言われたら、普通、ハートをキャッチじゃないの?
やっぱ青少年は暴走しがちだよね。
青い春は、青いんだなあ。

« 「人の為」と書いて。 | トップページ | マイ碁盤&マイ碁石キター! »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/568051/63274147

この記事へのトラックバック一覧です: ハートをつかめ!:

« 「人の為」と書いて。 | トップページ | マイ碁盤&マイ碁石キター! »