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2016年2月 7日 (日)

普通人一年生。その2。入学式。

前回までのあらすじ:
 友達の友達の自宅警備員の面倒を見て、
 調教し、社会復帰を目指すことになったわたし。
 えええー、俺自身が「普通ってなに?」ってあんまし自信ないけど……。
 でも自宅警備員は俺から見ても重度の自宅警備員だった……!
 男爵の「普通人講座」が始まる……!

「まあ、いろいろと改善すべきところはあるけど、
とりあえず目標をはっきりさせよう。
目標は『履歴書を書けるようになる』だ。
で、100社に応募して、就職し、お母さんを安心させる。
これだな」
わたしの断言に、
自宅警備員は生まれたての小鹿のようにプルプルと震えます。
「しゅ、就職でありまするか……。
履歴書……。
拙者はそのようなことは考えたこともなく」
「うん、そうだろうと思ってた。
でも、もうその現状維持の思考回路は捨ててください。
お母さんが倒れている現在、
君しかこの家を支えられる人間はいないので、
パラサイト的な、自分に都合がイイ的な思考回路は
この際、ドブ、もしくは水洗トイレに捨ててください」
「せ、拙者にはとうてい無理であります……!」
拙者は近所のコンビニに行くのが精いっぱいで、という
自宅警備員の発言に、俺は微笑します。
「だいじょーぶ、だいじょーぶだって!
意外と他の人だって、普通って何かわかってないんだから。
君から見たら、俺は普通に見えるでしょ?
でも異常だから。俺、君以上の異端児だから。
やれることができれば、履歴書も就職も大丈夫だから」

「まずは口調から変えよう」
わたしは持ち込んだホワイトボードに朱書きします。
「基本の一人称は「拙者」ではなく「俺」。
目上の人と話すときは「わたし」。
それから語尾は、「ですます」で行こう。
「あります」は以後 禁止」
「せ、せっ」
「お・れ。わかった? 俺って言ってみて」
「お、俺は、こんなの絶対、無理であり」
「ありますではなく、無理です、だよね。さんはい」
「俺には無理です……」
「大丈夫、慣れの問題だから。
これからはマリアンちゃんと話すときも俺で行こう。
たぶん、そのほうがマリアンちゃんも安心するよ」
「そ、そうで、すか……」
「君に究極の極意を教えてあげよう」

俺はホワイトボードに大きく書きます。
「君は内面を変える必要はない。
自宅警備員のままで構わない。
つまり、マリアンちゃんの旦那のままで、ぜんぜんOK。
ただ、外見と言動、行動を少々修正するだけだ。
要するに、潜入スパイみたいなもんだね。
今日が君の普通人入学式、そして明日が卒業式だ」
「えっ、一日で卒業で、すか」
「うん、そう」
俺は再びにこやかに微笑します。
「その代わり、今日一日で、普通人になってもらいます!
早速、履歴書を書きましょう。
君、今までに就職したことは?」
「……ないでありま、ないです」
「うん、そうだと思ってた。
でも大丈夫、経験がなくても、最終兵器があればなんとかなる。
君、なにか資格持ってない?」
「硬筆三級なら……」
俺の眉間に皺が寄りました。
字が綺麗なのはいいけど、もっとこう、履歴書に書ける資格が欲しい。

「うーん、Office系のソフト、ExcelとかWordとかを触ったことは?」
自宅計警備員の顔が初めて輝きました。
「Excelなら得意であります、得意です」
「お、いいね! マイクロソフトの認定資格・MOSが取れそうじゃない。
Excel、ちょっとやってみてよ」
「はい!」
警備員はPCを立ち上げると、Excelの新規ブックを作り、新規シートに、
「できたです!」
円を三つ三角形に並べて描画してみせました。
「えっ、これなに? 表計算じゃないの?」
「ミッ●ー●ウスです!」
「おまえ、一回死んで来い!」
俺はホワイトボードで自宅警備員の頭を殴りました。


以上、ホラ九割程度で。
いや、Excelでも絵は描けるけど、
オフィスで求められてるのはそーゆーんじゃないでしょ……。
しかし、俺にも時間はないのです。
他にやることもあるんで、自宅警備員にばかり時間を割いていられません。
なにより、肋間神経痛が出て、病院に行かねばならないのでね。
痛い、痛いです。胸が痛いです。物理的な意味で。
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とりあえず、MOSを取らせる予定ですが……。
そうですね、絶対参照と相対参照を叩き込んで、
関数使えるようにして、グラフ書けるようにすればなんとか。
自宅警備員とソフトウェアは相性が悪くないはずなんで、
どうにかなるんじゃないでしょうか。

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