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2016年1月17日 (日)

友達の友達。(上)

どうもこんばんは、黒羊男爵です。
ええ、生きてます。生きてるだけです。
今晩 飲む薬が6種類、10錠以上あり、
もはや身体のどこが悪いのか、俺自身にもわかりません。
もしかしたら、身体じゃなくて、頭が悪いのかもしれません、
と執事が言っていました。
無言で蹴っておきました。

今日の昼間、やっぱり寝込んでいた私は、
「久しぶりじゃな~」
と、見たくない顔を天井に発見しました。
「……何の用だよ、ぬらりひょん」
そう、着流し姿の老爺の格好をしたこの妖怪は、ぬらりひょん。
人の家に上がり込んで
タダメシを食っていくことを生業としている、
役に立たないことにかけては日本一の妖怪です。
「わしとおまえさんは友達じゃろう?
やはり気になってな」
「絶対、違う! おまえ、絶対 なんかメンドクサイこと
抱えてきただろ!
おまえが友情を語るなんて、厄介事の前振りでしかない!」
絶叫したわたしに、ぬらりひょんはけらけらと笑い、
「そんなことはない、友情は大切じゃよ。
友達がひとりもいないような潤いのない人生はつまらんじゃろうが」
と言いました。
「一人しかいない友達がおまえだけだったとしたら、
俺の人生には潤いどころかオアシスすらない。
灼熱のサハラ砂漠だ。
おまえとの友情なんて、丁重にお断りする!」
「とにかくじゃ、友達の友達は友●じゃというじゃろ?
ほら、なんといったか、前にテレビで男がそう言っておった」
「その番組、もう終わってるけどな!」
「その流れで行くとじゃ、わしの友達は、
おまえさんの友達じゃな?」
「付加疑問文で訊くなああ! もう嫌な予感しかねえええ!」
「友達、じゃな?」
「…………赤の他人よりちょっとだけ、マシって感じくらいじゃねえか」
「友達、じゃな?」
「…………友達の定義が根底から揺らぐ気がするから、
まあ、知り合い、かもしれねえな……」
「友達、じゃな?」
「…………しつけえな! おまえ、俺がウンって言うまで、
この問答を永遠に繰り返す気だな?!
わぁったよ、友達だよ、おまえの友達は俺の友達だよ!」
「それならいいんじゃ。
ほら、じゃあ、あの家じゃから」
ぬらりひょんは、節ばった指で窓越しに近所のアパートを指さしました。
「あそこの、二階の三号室じゃから。
よろしくな」
「は? なにが? え? 友達からの話の流れがもう、
ぜんっぜん見えねえんだけど」
「じゃから、三号室じゃ。
早くせんと、倒れてしまうかもしれん」
「誰が?」
疑問符を頭一杯に抱えたオレにぬらりひょんは笑顔で言いました。
「わしの友達じゃ。
つまり、おまえさんの友達じゃな。
差し入れは、そうじゃのう、チョコレートケーキか
バナナケーキがいいかもしれんな。
まずはカロリーの取れるものを、な。
その次に、親子丼プラス赤だしのお味噌汁くらいの、
お腹に優しい美味しいご飯がいいじゃろうな」
「相変わらず、おまえ、ウチの冷蔵庫の中身を
ピンポイントで狙ってくるな。
なんで俺が昨日 バナナケーキを焼いたこと知ってんの?
ホント、スゲーよ、そののぞき根性だけは認めてやるよ」
「お茶はアッサムのシロニバリをミルクティーでいただくのがよいな。
おまえさん、春に向けて新しい水筒を買ったばかりじゃろ?
さっそく使うと良いわ」

「えーっと……」
俺はぬらりひょんの話をまとめます。
「つまり、あのアパートの二階の三号室に
おまえの友人がいて、食に困っているから、
俺にバナナケーキと紅茶と親子丼の用意をして訪問しろ、
ってことか?」
「そうじゃ。まったく話が長いのう。
頭が悪いんじゃないのか、おまえさん」
「うるせええ! てめえにだけは言われたくねえ!
で、大丈夫なのかよ?」
「なにが」
「突然、見ず知らずのオレが食料をもって訪問して、
三号室の住人に怪しまれたりしないのか?
普通、怪しむだろ」
「大丈夫じゃ。友達の友達は友達じゃと言えばよい」
「つまり、俺はおまえの友達だと?」
言いたくない。そんなこと言いたくないけど。
「そうじゃ、そういえば大丈夫じゃ」
「なに、その住人もおまえが見えてるの?」
「見えておらん」
「――見えてねえのに、友達とか言っても無理だろうが!」
「お母さんには見えておらん。
息子には見えておる」
「あー……、そういうこと」
俺はここで初めてベッドから起き上がり、
外出の支度を始めました。
「子供からのSOSを見過ごすわけにはいかねえな。
仕方ねえ、行ってやるよ」
「まあ、当然じゃな、
友達の友達じゃからな」
「当然とか言ってんじゃねえ! てめえはなにもしてねえだろうが!」
こうして、俺は親子丼の準備をして、
近所のアパートを訪問することになったのでした。


以上、ホラ九割程度で。
いや、子供が困窮していたら、無視するわけにはいかないでしょ。
いずれはちゃんと行政に助けてもらうにしても、
とにかく食べ物に事欠いていたら、まず食べないと。
わたしは別に優しい人間じゃありません。
もしわたしのことを「優しい」と思われたのなら、
それは逆に世間が「からい」だけだと思います。
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ぬらりひょんがいいやつになるのは、
俺的には解せぬ! ですね。
だってあいつ、飯をたかりに来ただけじゃんよ!
はてさて、アパートではなにが待ち受けているんでしょうか。
よろしければ、またここで次回 お目にかかれれば幸いです。

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コメント

ぬらりさんが、初めていいことしそうな予感。
(下)が気になります。

jun様、おはようございます。
ぬらりひょん=ちょっとでもいいやつ説には
いついかなる時もおおいに異議がございます。
この冒険の結末は週末にアップいたしますが、
あの野郎……(殺意)!
どうか冒険の最後まで見守っていただければ幸いです。
コメントありがとうございました!

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