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2016年1月

2016年1月31日 (日)

普通人一年生。その1。

前回までのあらすじ:
 ひょんなことから(ほぼ事故)→詳しくは妖怪話の「友達の友達。」をご覧ください。
 筋金入りの自宅警備員を社会復帰させることになったわたし。
 えええー、俺自身が社会復帰してるかどうか怪しい野生児なのに、
 あんな重度の自宅警備員を社会に放つことができるの……?!
 男爵の葛藤の毎日が始まった……!

「つまりだね、まあ、君はわたしの友達の友達だから、
友達みたいなもんなんだけど、
このままいくと君の人生は、簡単に言えば、
ツミ、つまり終わりということになるので、
わたしが君を社会復帰させることになったわけなんだよ」
俺がイヤイヤ切り出すと、
正面に座っている警備員は不思議そうな顔をします。
「拙者には話がいまいち見えないであります。
なぜ終わりなんでありまするか?」
「実際問題、お母さんが倒れて、
生活が困窮してるわけでしょ。
今はまあお母さんが復帰すれば何とかなるかもしれないけど、
お母さんは君よりも早く死ぬのよね、普通に考えて。
となると、お母さんが亡くなった後、
君はどうやって生きていくの?」
「それは考えたことがありませんでした……!」
「え、本当に? 一度も?
ちょっと君の危機意識って希薄過ぎない?
空気における窒素の割合くらい薄くない?」
「しかし拙者はずっとマリアンちゃんと生きていくつもりで」
「マリアンちゃん?」
「拙者の嫁であります」
自宅警備員は誇らしげにアニメの抱き枕を指さしました。
「拙者は、妻帯者でありますので」
「そのキャラ、マリアンちゃんっていうの……あ、そう……」
おまえ、この状況の空気読めよ。空気薄いのかよ、空気嫁だけに。
俺はもう、前途の多難さを思って、倒れそうになりました。


すみません、今週はもうこれくらいにさせてください。
ホラは九割程度です。
いや、俺自身、かつては自宅警備員みたいなもんだったんですけど、
なんとか更生してまあ、生きてるわけなんですけど、
現役で本気で自宅警備員やってる人と話すと
ハンパなくHP削られますね。
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確かに俺は今まで、重度のファッション・テロリスト、
食物を兵器に変えるフード・アサシンなどを更生させたことがありますけど、
自宅警備員は直球でキツいわ……。
とりあえず、目標は履歴書を書く、ですかね。
まずは「拙者」をやめてもらわないことには、
普通人になれませんね。

2016年1月24日 (日)

友達の友達。(下)

どうもこんにちは、左腕が上がらない黒羊男爵です。
なんかね、朝起きたら、左胸~左腕にかけて激痛が走ってね、
腕が上がらないんですよ。
五十肩? いやちょっと待って、それは早すぎるじゃない?
でも十五歳の誕生日に、神経痛になった俺なら、ありえなくもないのか?
そんな疑問を抱きつつ、今週のお話をどうぞ!

前回までのあらすじ:
「友達の友達は友●じゃろうが」というタモ●式論理で、
妖怪友達(?)ぬらりひょんに頼まれて、
近所の、子供が困窮しているというアパートを
食糧をもって訪問することになったわたし。
なんでもお母さんにはぬらりひょんは見えていないが、
息子さんにはぬらりひょんが見えてるから、
訪問しても大丈夫だ、とのこと。
めんどくせえ! 行きたくねえ!
でも子供を見捨てるのは、人としてどうよ?
仕方なく、親子丼の用意をして家を出た黒羊男爵だったが……?!

「二階の三号室……ここか」
俺はぼろっちいドアの表札を確認します。
「お母さんと息子さんの二人暮らしなんだな」
「そうじゃ。で、お母さんんが体調を崩してしまい、
生活が成り立たなくなったのじゃ」
「それはいかんな」
なんとかせねば。俺は呼び鈴を押します。
室内から小さく、
「……はい」
ん? なんか低い声が聞えたけど?
「ほらほら、さっさと名乗るんじゃ」
ぬらりひょんに催促されて、
「すみません、ご近所に住んでる黒羊男爵と申しますが、
えー、まあ、友達の某ぬらりひょんに、
友達の友達は●達だから、救援に行けと頼まれまして。
ええと、息子さんですか?
ぬらりひょんが見えてみますよね?」
とりあえず、信用してもらうにはぬらりひょんを見てもらうしかないので、
ぬらりひょんを前面に押し出します。
ぬらりひょんは、ドアに向かって、
「わしじゃよ、わし」とオレオレ詐欺のような挨拶をします。
「ああ、ぬらりひょん氏……」
室内の声がちょっと明るくなり、
「どうぞ」
とドアが開かれました。
「!」
俺は絶句して、玄関に立ち尽くしました。

「……――おい、ぬらりひょん」
「なんじゃ? ほら、さっさとご飯を」
「ちょっと待てええ! おまえ、息子さんがって言ったよな?
子供がって言ったよな?!
どういうことだよ、このひと、立派な成人男性じゃねえか」
眼の前には男性がひとり立っていました。
「じゃから、息子さんじゃ。
わしゃ、一度も小さな子供とは言っておらんが?」
「このひと大人だろ! 生活くらい、自分でなんとかできるだろうが!」
「なんの話かわかりませんが、拙者は生活なんて無理でありまするよ」
男性は言いました。
「拙者は自宅警備員でありますので。
ぬらりひょん氏、このひとはなんでありまするか」
「わしの友達じゃ。つまりおまえさんから見たら、友達の友達じゃ。
つまりおまえさんの友達じゃな。食糧を持ってきたのじゃよ」
「そういわれて、親子丼の用意してきたけどな、ちょっと待て」
「親子丼……母上の好物でありまするな。
ありがたい、ささ、どうぞおあがりください」
「もうぜんっぜん話が通じねえんだけど、この自宅警備員?!」
俺は怒鳴りながら、その部屋に踏み込みました。

「で、お母さんは?」
「こちらであります」
警備員にワンルームの隅のベッドに案内されました。
アニメの抱き枕を傍らに、痩せた女性が横たわっていました。
「母上、拙者の友達が助けに来てくれたであります」
警備員に言われて、俺はお母さんを安心させようと自己紹介します。
「はじめまして、黒羊男爵です。息子さんの友達、みたいなものです。
どうですか、お加減は? 食事、食べられそうですか」
「……お友達、ですか」
お母さんは涙を流しました。
「ありがとうございます、ありがとうございます」
その涙で、俺は腹をくくりました。
「――いえ、困っているときはお互い様です」
あとはもう何も言わずに、
俺はまず持参した水筒から温かいミルクティーをついで
お母さんに差し出しました。
お母さんは喉を鳴らして嬉しそうにミルクティーを飲み干しました。
「じゃあ、キッチン、お借りしますね」
俺は腕まくりしました。

「まあ、なんだ、ぬらりひょん」
アパートからの帰り道、俺は言いました。
「友達の自宅警備員という生き方は、俺は別に何とも思わない。
俺自身が自宅警備病人みたいなもんだし。
人生なんか自分の好きに、後悔しないように生きればいいと思う。
ただなあ、お母さんをあんな状態で放置しているのは
いかがなものかと思うぞ」
「彼なりに、看病はしておったのじゃ」
ぬらりひょんは言いました。
「お母さんのそばの抱き枕、あれは彼の宝物じゃ。
あれがあれば元気になるのではないかと、
彼はそう思って、お母さんのそばに置いておいたのじゃ。
まあ、大丈夫じゃよ、
彼はもうすぐ、自宅警備員を卒業するのじゃから」
「あ、そうなの? そしたらお母さんの心労も減るかな……」
「じゃから、よろしく頼むわ」
「は?」
「彼の社会復帰。おまえさんの腕にかかっておるぞ。
よろしくな」
「ちょ、ちょっと待てええ! え、それ俺が面倒みるの?
なんで、どうして!」
「何度も言っておるじゃろうが」
ぬらりひょんはいい笑顔で言いました。
「友達の友達は友●じゃからの。
おまえさんの友達じゃ、しっかりな」
「嘘だろぉ!」
俺の絶叫がむなしく、寒空に響き渡りました。


以上、ホラ九割程度で。
とりあえず、ええと、まずは履歴書の書き方からですかね……。
他にもやることいっぱいあるけど……。
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ちなみに激痛が走る左腕ですが、
執事に「俺、新しい病気になったかもしれない」と言ったところ、
「ああ、左腕でしたら、今朝 お目ざめになる前にうかがったところ、
なぜか空中に垂直に腕を突き出して寝ておられたので、
単なる筋肉痛だと思われますが」
と言われました。
「は? え、どういうこと」
「北斗●拳のラ●ウの最期のシーンのように、
腕を高く、突き出しておられましたよ」
執事は笑いをこらえながら説明しました。
え、世紀末覇●みたいな寝相? そんなん、どんな寝相なの?
わからない、自分で自分がわからないです。
ちなみに、その時見ていた夢は全然 世紀●覇者とは関係ない夢でした。
こんなことってあるんですね。
もし
「わたしもその寝相やったことある」「俺もあるぜ」という方がいらしたら、
コメントをお願いいたします。
この寝相が自分一人だけだとは思いたくないです。
腕はまだ痛いです。当分、痛いかもしれません。

2016年1月17日 (日)

友達の友達。(上)

どうもこんばんは、黒羊男爵です。
ええ、生きてます。生きてるだけです。
今晩 飲む薬が6種類、10錠以上あり、
もはや身体のどこが悪いのか、俺自身にもわかりません。
もしかしたら、身体じゃなくて、頭が悪いのかもしれません、
と執事が言っていました。
無言で蹴っておきました。

今日の昼間、やっぱり寝込んでいた私は、
「久しぶりじゃな~」
と、見たくない顔を天井に発見しました。
「……何の用だよ、ぬらりひょん」
そう、着流し姿の老爺の格好をしたこの妖怪は、ぬらりひょん。
人の家に上がり込んで
タダメシを食っていくことを生業としている、
役に立たないことにかけては日本一の妖怪です。
「わしとおまえさんは友達じゃろう?
やはり気になってな」
「絶対、違う! おまえ、絶対 なんかメンドクサイこと
抱えてきただろ!
おまえが友情を語るなんて、厄介事の前振りでしかない!」
絶叫したわたしに、ぬらりひょんはけらけらと笑い、
「そんなことはない、友情は大切じゃよ。
友達がひとりもいないような潤いのない人生はつまらんじゃろうが」
と言いました。
「一人しかいない友達がおまえだけだったとしたら、
俺の人生には潤いどころかオアシスすらない。
灼熱のサハラ砂漠だ。
おまえとの友情なんて、丁重にお断りする!」
「とにかくじゃ、友達の友達は友●じゃというじゃろ?
ほら、なんといったか、前にテレビで男がそう言っておった」
「その番組、もう終わってるけどな!」
「その流れで行くとじゃ、わしの友達は、
おまえさんの友達じゃな?」
「付加疑問文で訊くなああ! もう嫌な予感しかねえええ!」
「友達、じゃな?」
「…………赤の他人よりちょっとだけ、マシって感じくらいじゃねえか」
「友達、じゃな?」
「…………友達の定義が根底から揺らぐ気がするから、
まあ、知り合い、かもしれねえな……」
「友達、じゃな?」
「…………しつけえな! おまえ、俺がウンって言うまで、
この問答を永遠に繰り返す気だな?!
わぁったよ、友達だよ、おまえの友達は俺の友達だよ!」
「それならいいんじゃ。
ほら、じゃあ、あの家じゃから」
ぬらりひょんは、節ばった指で窓越しに近所のアパートを指さしました。
「あそこの、二階の三号室じゃから。
よろしくな」
「は? なにが? え? 友達からの話の流れがもう、
ぜんっぜん見えねえんだけど」
「じゃから、三号室じゃ。
早くせんと、倒れてしまうかもしれん」
「誰が?」
疑問符を頭一杯に抱えたオレにぬらりひょんは笑顔で言いました。
「わしの友達じゃ。
つまり、おまえさんの友達じゃな。
差し入れは、そうじゃのう、チョコレートケーキか
バナナケーキがいいかもしれんな。
まずはカロリーの取れるものを、な。
その次に、親子丼プラス赤だしのお味噌汁くらいの、
お腹に優しい美味しいご飯がいいじゃろうな」
「相変わらず、おまえ、ウチの冷蔵庫の中身を
ピンポイントで狙ってくるな。
なんで俺が昨日 バナナケーキを焼いたこと知ってんの?
ホント、スゲーよ、そののぞき根性だけは認めてやるよ」
「お茶はアッサムのシロニバリをミルクティーでいただくのがよいな。
おまえさん、春に向けて新しい水筒を買ったばかりじゃろ?
さっそく使うと良いわ」

「えーっと……」
俺はぬらりひょんの話をまとめます。
「つまり、あのアパートの二階の三号室に
おまえの友人がいて、食に困っているから、
俺にバナナケーキと紅茶と親子丼の用意をして訪問しろ、
ってことか?」
「そうじゃ。まったく話が長いのう。
頭が悪いんじゃないのか、おまえさん」
「うるせええ! てめえにだけは言われたくねえ!
で、大丈夫なのかよ?」
「なにが」
「突然、見ず知らずのオレが食料をもって訪問して、
三号室の住人に怪しまれたりしないのか?
普通、怪しむだろ」
「大丈夫じゃ。友達の友達は友達じゃと言えばよい」
「つまり、俺はおまえの友達だと?」
言いたくない。そんなこと言いたくないけど。
「そうじゃ、そういえば大丈夫じゃ」
「なに、その住人もおまえが見えてるの?」
「見えておらん」
「――見えてねえのに、友達とか言っても無理だろうが!」
「お母さんには見えておらん。
息子には見えておる」
「あー……、そういうこと」
俺はここで初めてベッドから起き上がり、
外出の支度を始めました。
「子供からのSOSを見過ごすわけにはいかねえな。
仕方ねえ、行ってやるよ」
「まあ、当然じゃな、
友達の友達じゃからな」
「当然とか言ってんじゃねえ! てめえはなにもしてねえだろうが!」
こうして、俺は親子丼の準備をして、
近所のアパートを訪問することになったのでした。


以上、ホラ九割程度で。
いや、子供が困窮していたら、無視するわけにはいかないでしょ。
いずれはちゃんと行政に助けてもらうにしても、
とにかく食べ物に事欠いていたら、まず食べないと。
わたしは別に優しい人間じゃありません。
もしわたしのことを「優しい」と思われたのなら、
それは逆に世間が「からい」だけだと思います。
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ぬらりひょんがいいやつになるのは、
俺的には解せぬ! ですね。
だってあいつ、飯をたかりに来ただけじゃんよ!
はてさて、アパートではなにが待ち受けているんでしょうか。
よろしければ、またここで次回 お目にかかれれば幸いです。

2016年1月11日 (月)

かの国からの連絡。

日曜日に更新できなくて申し訳ありません。
現在 今年 二個目の風邪をひいています。
そうなんです、すでに二個目なんです。
初詣で買ってきた厄除けお守りの真価が問われている今日この頃です。

前回までのあらすじ:
 黒羊男爵は貧乏時代に創設した
 「貧乏・友の会」というお楽しみ会を主宰している。
 これは「金はないけど、人生楽しんでいこうぜ!」という趣旨の会で、
 メンバーは、大工、パンの配達車の運転手、画家、三児の母、小説家志望など
 バラエティーに富んでいる。

「あけおめ、ことよろ~」
「……なんなんだ、おまえ。年が明けてからもうだいぶ経ってるのに。
ていうか、おまえが金のかかる電話をしてくるということは、
もう悪いニュースしかありえないのに、
ことよろ とか言われても嫌なんだけど」
貧乏・友の会のメンバーの一人、画家からの入電に、
わたしは心底 嫌そうに答えました。
いや、嫌そう、じゃなくて、嫌なんです。
こいつに関わるとろくなことにならない。
「そんなこと言わないでよー、わたし、実は男爵にお願いがあって」
「断る」
なんていうか、俺の知人からの依頼は、
基本、全部即答でまず断ることにしています。
ろくなことないんで。
「話くらい聞いてよー。人生がかかってるんだからさー」
「!」
ヤバイ、これはとてつもない厄介ごとの予感。
「断る!」
私は声を大にして主張しましたが、画家は続けます。
「わたし、実は新年早々インフルエンザ的な風邪にかかっちゃって」
「断る!」
「バイトにも行けないし、お金もなくて」
「断る!」
「病院に行きたいけど、家から出る気力も体力もなくて」
「断る!」
「だから、いろんな面でヘルプミー」
「断るっつってんのが聞えないのか、この石頭」
「なにもお金を貸してって話じゃないじゃないよー。
ちょっとは心配とかしてくれたっていいじゃないよー」
ちなみに、貧乏・友の会では金銭の貸借は絶対の禁止事項です。
友情が壊れる可能性があるので。
俺は言います。
「心配はしてる。おまえ一人暮らしだし、金もないだろうし、
彼氏もいないし、親には勘当されているし、
このままおまえが死んじゃうんじゃないかなと心配はしている。
葬式の場では泣いてやるから、安心しろ」
「とにかくヘルプミー」
「断る!」
「ありがとう、男爵! 恩に着るよ!」
「断るっつってんのが、聞えてねえのか、てめえの耳は頭部の飾りか」
「待ってるから。鍵は開けておくね」
「ちょ、おい、待て、開けっ放しはダメだろ!
閉めておけ、ええと、俺はなんとかして入るから、
施錠は絶対にしておけよ!」
「……ありがとー」
画家は沈没しました。

てなわけで、俺は心底 魂の底から嫌な気分で、
マスク完備、手袋完備、消毒薬常備 で
画家のおんぼろアパートを訪問する羽目になりました。
ええと、持ってくのはリンゴ、卵、ご飯、ネギ、
あとポカリス●ェットと冷却シートと、
それからあいつ、体温計なんて持ってないだろうから、
新しい体温計と……。
いろいろ数え上げると、もうホント、嫌な気分が盛り上がります。
なんでこんな面倒くさいことになってるの?
日曜日 更新できなかったことからもわかるように、
俺自身も風邪をひいていて体調が悪いのに、
なんで画家みたいな危険物に接近しなきゃならないの?
ああもう、ホントに嫌だよ。
俺たち、なんで友達なんだろ。

ビニール袋をがさがさせながら、画家のおんぼろアパートを訪ねると、
「……施錠はされているな……」
とりあえず安心しました。一人暮らしは物騒だからな。
まあ、こんなこともあるかと思って、
「合鍵 作っといてよかったな」
うん、実は合鍵を持ってます。
で、画家は俺が昔住んでいたアパートの合鍵を持ってます。
お互い、お互いに内緒にしていますが、
「いつか野垂れ死にしそうになったら、
死体を拾わせるためにあいつを呼ぼう」と思い、
こっそりと合鍵を作っていたのでした。
まあ、俺の場合、お屋敷に戻ったし、執事がいるから孤独死はないけど。

「入るぞー」
俺はしっかりとマスクをして手袋をして画家の部屋に入りました。
「あー、男爵来たー」
ベッドからすっごい鼻声でせき込みながら画家が言いました。
「まだ死んでないみたいんだな。
じゃ、三日後に出直してくるから」
「待ってー、やめて―、
本当にあの世からのお話になっちゃうからそれはやめてー」
「……どうやらマジらしいな」
俺はため息をつくと、
「ホラ」と画家の家に存在するはずもない科学兵器・体温計を差し出しました。
「まず検温しろ」
「はーい……ううう、だるい……」
「当たり前だっつの」
俺はもう勝手に画家の家の冷蔵庫を開けます。
「うわああ!」
俺は絶叫しました。
「ええええ!」
画家も絶叫しました。

「なんなんだ、この冷蔵庫は?!
オマケの保冷材パックしかねえじゃねえか?! 広々としてるぞ」
「すっごい、マジ 生まれて初めて見た、39度7分だって!」
「はあ?! 39度7分?! おまえ、インフルじゃねえだろうな?!」
「え、あれ、冷蔵庫に牛肉入ってない?
おっかしいなー、
上カルビとマグロの大トロ、それにハンバーグが入ってるはずなんだけど」
「それ、単なるおまえの願望だからな?! そんなエデンはかつてないからな?
てか、39度7分ってなんだよ?
おまえいつから体調おかしいの?」
「えーっと、新年になってからすぐ、かな……」
「今日は11日だから、インフルってことはないか。
ただの致命的な一歩間違えば死に至る風邪だな」
俺は判定を下して、持ち込んだ食材を冷蔵庫に詰め込みます。
「どうせ飲まず食わずだったんだろ。
ほらよ」
まずは水分補給。ポカリを渡し、飲ませます。
「おまえ、風邪薬は?」
「ない……病院、行ってないから」
「馬鹿じゃないのか? 保険証は?」
「親に取り上げられている」
画家は画家になりたいと言い出した時から、両親に勘当されているので、
保険証は実質、ないも同然なのでした。
「とりま、こんなことだろうと思って、風邪薬は持ってきた。
保険証の件は、いずれなんとかするとして、
おかゆ作るから薬を飲め」
「食欲ないよー」
「と言うと思って、アイスも買ってきた」
「やったー、アイス食べる」
「その前に冷却シートを頭と首の後ろに貼れ。
汗をかいてるだろうから、タオルとパジャマの下に着る白Tシャツ買ってきた。
俺がおかゆ作ってる間に着替えろ」
「すっごい、男爵、手際がいい……」
「伊達に何年も病人やってねえよ」
俺が狭いキッチンで卵粥を作ってる間に、
画家に着替えと冷却シート貼りを済ませます。

「お粥はあと二食分、お茶碗にラップかけて冷蔵庫に入れておいた。
それから米は炊いたやつを冷凍庫に入れておく。
食べられるようになったら解凍しろ。
サンマの缶詰を置いておくので、それをおかずにな」
「うん」
「洗濯は俺にはどうしようもないから、
とりあえず俺が買ってきた着替えでしのげ。
ポカリは三日分、6本用意して枕元に置いておく。
定期的に検温、食事、投薬をして安静にしていれば、まあ、大丈夫だろ」
念のため、画家の携帯を充電器に刺した状態で枕元に置きました。

「男爵、ホントに頼りになるー」
えへら、と画家が笑ったので、
「で、こっちが今回の領収書だ。分割は三回までな。サービス料は15%」
俺はふっとい釘を刺しておきました。
「この鬼! ひとでなし!」
画家が か細くわめきますが、俺はもう手を消毒して帰り支度をします。
「じゃ、次は明日の夜、三児の母が来ることになってる。
そんときに洗濯も頼むんだな」
「男爵、もし本当にわたしが死んでたら、どうするつもりだったの?!」
「泣いてやったよ」
わたしは真顔で返しました。
「泣いて、それから、領収書をおまえに握らせたさ」
「泣きたいのはこっちだよ!」
「じゃあ、ことよろ~」
俺は画家の家のドアを閉めました。


以上、ホラ八割程度で。
いや、一人暮らしの高熱って不安になりますよね。
このまま人知れず死ぬんじゃないかって、思っちゃいますよね。
俺も独り暮らしの時、インフルになって、緑色の鼻水出た時に、
「あ、俺、死ぬかも」って思ったもんな。
画家もだいぶ不安だったのでしょう、
いつもなら引きちぎる領収書を、ぎゅうっと握りしめていました。
まあ、快気祝いに、ラーメンくらいなら、おごってやってもいいですよ。
けどもう、オレを呼ぶんじゃない。
孤独死の死体の第一発見者になるのは嫌じゃ。
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ちなみに俺が画家と男女の関係になることはあり得ません。
俺はキアヌ・リーブスとアンジェリーナ・ジョリーを待ってるんで。
あいつは悪友ですかね。
まあ、いつも迷惑かけられてばっかりですけど、
画家になりたい一心で生きてるあいつは、芯が通ってるとは思ってます。
俺も芯は通したいですね。ホラ吹きとして。
つまりはまあ、俺たちは芯が通った「ダメ人間」ってことですけどね。

2016年1月 3日 (日)

おとしだま、もらいました。

あけましておめでとうございます。
残念です、ヒッジョーに残念です……。
昨年、毎年恒例の「黒羊男爵邸恒例・フライング年越し宣言」ができませんでした。
ひとえにいつものように体調不良のせいです。
年末 ひどい風邪をひきまして、
熱と頭痛と咳に悩まされております。
ははは、新しい年、明けたってよ。
わたしは寝込んどるのにな……。いつもどおり。

そんなわたしですが、せめてオーナー(※)に挨拶に行こうと思い、
(※オーナー=男爵のオーナー。最寄りの氏神様のこと)
咳止めを飲んでヨロヨロふらふらと神社へ。
すげえ、参道にいっぱい人が並んでるよ!
コ●ケの人気サークルみたい。
大丈夫かな、オーナー、こんなに人がいたら、
俺の願い事なんて忘れちゃうんじゃないかな……。
俺よりもお賽銭をはずむ人はいっぱいいるだろうしな。
(当方は友達価格にて毎年5円を奉納しております)
いいや、オーナーは体育会系だから、
友情に篤いはず!
きっと俺のお願いを聞いてくれるはずだ!
オーナーを信じろ!

わたしはそう念じて願い事とともに柏手を打ち、
頭を下げました。
願い事は秘密です。
秘密って言うか、この状況下だと一個しかないがな。

無事に初詣も終わり、
毎年恒例のお守りを購入。
身体安全お守りも、学業成就お守りも、仕事成功お守りも欲しいけど、
ここは「厄除けお守り」を購入。
オーナー、俺、人生はそれなりに自力で頑張るから、
まとわりついてくる厄除けをお願いいたします。
そんな願いを込めてのお守り購入でした。

その後、執事とともに運試しのおみくじを引きました。
実は、この神社で「1番の大吉」を引いたこともあるわたし。
しかし、その年は例年通りの悲惨な年になりました。
もうそんじょそこらのおみくじ引いても、
動じないぞ。
大凶が来ても、心の準備はできている。
どんとこい!

そう思って、ひいたおみくじは、

俺:「は?」
執事:「えっ?」

とてつもないことになってました。

俺:「え、どういうこと? これ、もらっちゃっていいの?」
執事:「このようなおみくじは見たことがございませんね」

そうです、今年の正月、
全国で何万人もおみくじを引いた人はいると思いますが、
こんなおみくじを今年日本でひいたひとはおそらくわたしだけでしょう。

俺:「……おとしだまが、ついているんだけど……」


(下記がおみくじの再現画像)
Omikuji

そうなのです、
わたしのひいたおみくじには、10円玉がささっていたのです……!
1回100円のおみくじなのに、(入っているとしても100円玉か50円玉のはず)
お金を投入する場所はおみくじ入れとは別箱なのに、
なぜかわたしのおみくじには現金が入っていました。
なんと、オーナーが、わたしに「おとしだま」をくれたのです……!

こいつは春から縁起がいいね! とは思いましたが、
さすがにこのお金を持ち逃げするわけにはいきません。
だって、これ、神社のお金でしょ?
もらったら、賽銭泥棒じゃないの?
私は正直に、おみくじ売場の巫女さんに
「あの、これ、おみくじにささってたんですけど」
と言って、10円を返しました。
巫女さんは、「えっ」と言ってビックリしてました。
いや、俺もビックリだよ。
オーナー、オーナーはやっぱり俺の友達だね。
俺たちはマブだね。

帰り道、執事がふと言いました。
「それで、肝心のおみくじはいかがだったのですか」
執事に言われておみくじを広げると、
「11番の大吉……望みは全部かなうってさ」
オーナーはアフターフォローも充実していました。
末吉の執事はギリギリと歯を食いしばり、
笑顔で、
「ですが、1番の大吉の年も、ひどかったですからね」
と言いました。
俺は、
「まあ、今年もひどいもんなんだろうけど、
おとしだまもらったから、いい年になるんじゃないの」
と答えて、おみくじを財布にしまいました。


以上、ホラ0.5割程度で。
つまり、この話、ホラみたいでほぼ実話ってことですね。
いやー、神様からおとしだまもらったのは、初体験ですね。
ていうか、こんな体験した他の人いるのかな?
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しかし、おみくじにお金が刺さっていたのを見たときは、
目が点になりました。
えっ、お金払ったばっかりなのに、もう戻ってくるの? って思った。
だから、おとしだまをもらった、と思うことにしました。
お金は神社に返しちゃったけど、
大吉にさらにおとしだまをつけてくれたオーナーの心意気が嬉しかったです。

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