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2015年12月

2015年12月27日 (日)

空を飛ぶ方法。その2。

前回までのあらすじ:
 「医療法人●●会●●病院の伝説の二人組」=俺&斎藤君は、
 またしても不可能ミッションに挑む!
 ベッドに釘付けの余命わずかなS村さんを
 家族に内緒でドイツのクリスマス市に連れていくことに!
 今日 クリスマスイブ、果たして奇跡は起こるのか……?!

(ちょっと時間はさかのぼって24日の昼)
「メリークリスマスイブ!」
派手にクラッカーを鳴らしながら、
俺&斎藤君はS村さんの個室に侵入しました。
「あらまあ、斎藤さん」
S村さんは首だけ動かしてこちらを見ました。
S村さんは、小柄で細い、きゃしゃな感じの品の良いおばあさんでした。
かろうじて手と首だけが動くらしく、
ひらひらと骨ばった手を斎藤君に振ってみせました。
S村さんはもう、自力では上体を起こすことすらできないのです。
「こんにちは、S村さん、今日は友達を連れてきたよ」
斎藤君は俺を押し出します。
俺は丁寧に頭を下げてから、
「10分間旅行社・代表の黒羊男爵です。今日はよろしくお願いいたします」
と言いました。
S村さんは首をかしげます。
「10分間旅行社……?」
「はい。どんな人でも10分間だけお望みの場所に連れていく旅行社です」
「えっ、どういうことですか」
「今日はクリスマスイブです!」
俺と斎藤君は声を合わせます。
「いま、ドイツではクリスマス市が最高潮の賑わいです!
よろしかったら、10分間だけ行ってみませんか」
S村さんは寂しげに微笑みます。
「でも、わたしはもう……」
歩くこともできないから。
俺は勢いよく首を振ります。
「いえ、S村さん、あなたはもうすでに移動手段に乗っているじゃありませんか」
「え?」
「そのベッドですよ。
いいですか、ベッドというのは異世界と現実の境にあるもの、
あなたと世界を結ぶ場所です。
たとえば夜になれば、そのベッドであなたは夢を見ますよね?
その間、あなたの体は動いていません。
しかし、あなたの魂は、心はベッドに乗って様々な経験をします。
その経験は嘘でしょうか?
でも夢を見ているその時は、真実のように感じますよね?
だったら、目を覚ましているときだって、
ベッドにいるなら、どこへだって行くことができますよ」
「そんなことって」
「可能なんですよ、わたしにかかれば」
俺はS村さんの手に、数枚の写真を握らせます。
「これは……?」
「今まさに開催中のクリスマス市の写真です。
どうですか、行きたくないですか」
「ああ……」
S村さんは写真を一枚ずつ丁寧にじっくりと眺めて、
「ありがとうございます、この写真だけでもう、行けたような気がします」
と言いました。
うおおお、S村さん、いいひと!
これはぜひとも、10分間旅行に連れて行かねば!

「その”行けたような気がする”が10分間旅行には大事なんです」
俺はそういって、S村さんに耳栓とヘッドフォンを渡しました。
「なんですか、これ」
「これからこのベッドでドイツへ移動します。
猛スピードですから、それなりに音がしますので、
到着するまで耳を保護するために耳栓とヘッドフォンをつけてください」
「でも、わたしにはもう旅行なんて」
「大丈夫ですから!」
俺はどん、と胸を叩きます。
「写真を見たS村さんなら、絶対にドイツに行けますから!
信じてください。
ただ、その気になってくださればいいんです
あと、10分間旅行では、景色を見ることはできません。
世界のどこへでも行ける代わりに、目に目隠しを当てさせていただきます」
「ふふふっ、おかしいな方ですね。変わった遊びですね」
笑いながら、S村さんは写真を置きます。
俺がそっとS村さんの目に三重にしたガーゼタオルを巻きます。
「では、出発します。耳栓をつけますね」
斎藤君がヘッドフォンの装着を手伝います。
いよいよ10分間旅行が始まりました!

S村さん:「うすぼんやりしてますけど……あ、凄い風!」
びゅうびゅうとS村さんに風が当たります。
ベッドもガタガタと揺れました。
S村さん:「急に寒くなってきました。風が冷たい」
斎藤君が耳栓とヘッドフォンを外します。
俺:「そろそろドイツに着きますよ!」
S村さん:「え、もう?」
俺:「はい、わたしたちはドイツのカウフボイレンのクリスマス市の上空にいます。
  降りますね」
S村さん:「きゃっ、なにか冷たいものが顔に」
俺:「雪です。カウフボイレンはホワイトクリスマスなんです。
  傘をさしましょう。あと失礼して手袋をはめさせていただきます。
  とても冷えますから」
S村さん:「え、本当にここはドイツなんですか」
俺:「はい。音も聞こえてくるでしょう?」
S村さん:「本当だわ、ドイツ語かしら、たくさんの人がいるみたい」
俺:「クリスマスソングも流れていますね。
  さて、S村さんはクリスマス市のどこへ行きたいですか?」
S村さん:「行きたいところ……ああ、もし本当に行けたら……。
  クリスマス市は出店がたくさん出ているんですよね、
  市場のお店もとってもきれいで……。
  ショーウィンドウを見てみたい……」
俺:「旅行の規則なので、お見せすることはできませんが、
  ご希望の場所にはお連れできます。
  まずクリスマス市の出店に行ってみましょう」
S村さん:「出店、なんの出店ですか」
俺:「季節柄寒いですから、温かいものをだすお店に行きますね。
  ドイツと言えば、ビールとソーセージですけど、
  クリスマス市の出店でもソーセージをあぶっていますよ」
S村さん:「本当だわ、お肉の焼ける匂いがする」
俺:「ハーブ入りの太いソーセージですね。
  あと、シュトーレン、ホットワインなんかもよくあります。
  香りがするでしょう」 
S村さん:「お酒の匂いがする……」
俺:「野外ですから、冷えませんか?
  S村さんのご体調ではお酒は無理ですけど、
  あったかいココアなんかいかがですか?」
S村さん:「えっ、いただけるんですか」
俺:「もちろん。ちょっと待ってくださいね、注文しますから」
S村さん:「信じられないわ……」
俺:「はい、熱々のココアです。飲むとき、やけどしないでくださいね」
S村さん:「本当にココアだわ。陶器のマグカップに入ってる……。甘くて温かくて美味しい」
俺:「出店はたくさん出てますけど、旅行の時間は10分間だけですから、
  せっかくですから、どこかお店に入りましょう。
  いいですか」
S村さん:「はい!」

俺:「ここはクリスマスのオーナメント(飾り)を売っているお店です。
  室内なので、手袋は外しましょう」
S村さん:「空気が暖かくなってきたわ……それにさっきよりも明るい」
俺:「店内にはオーナメントがたくさん飾られています。
  お店の中央にはS村さんより大きなツリーがありますよ。
  市場に面したショーウィンドウには天使の飾りと楽団の人形が置かれています。
  照明にオーナメントがキラキラしていて、とてもきれいですよ」
S村さん:「ああ、見てみたい……」
俺:「じゃあ、オーナメントをいくつかお渡ししますね。
  旅の記念に本場のクリスマス市の飾りを触ってみてください」
S村さん:「触れるんですか?!」
俺:「もちろん。これは何だと思います?」
S村さん:「尖ってる……。五芒星の形……。
  わかったわ、ツリーのてっぺんに飾る星ですね!」
俺:「そうです。ではこれは?」
S村さん:「人形……羽根がついてる。天使だわ。
  足のクリップでツリーに留めるんですね」 
俺:「こっちはなんでしょう」
S村さん:「ベルだわ! 本当にちりんちりん可愛い音がする」
俺:「ではこれは?」
S村さん:「長くて手触りがいい……リボンですね?」
俺:「そうです。金糸を織り込んだ赤いリボンです」
S村さん:「緑のツリーに映えそうですね」
俺:「はい。では最後にこれは?」
S村さん:「台座みたいなものの上につるつるの丸い玉……。
   なにかしら?」
俺:「これはスノードームというおもちゃです。
  玉の中に水と雪と人形が入れてあって、
  振ると、雪が舞い上がって、雪景色を楽しめるミニチュアの世界です」
S村さん:「まあ、素敵だわ。見てみたい」
俺:「残念ですが、決まりですから、ここでは見られません。
  名残惜しいですが、そろそろ10分ですね。
  日本に帰りましょう」  
S村さん:「えっ、もう時間ですか。ああ、もっといろいろ回ってみたい」
俺:「また来年、今度は違う街のクリスマス市にお連れしますよ。
  では耳栓をつけます」
S村さんの耳に耳栓とヘッドフォンが装着されます。
S村さん:「また凄い風だわ」

「はい、日本に戻ってきました。
いかがでしたか、10分間旅行は」
目隠しを外されて、眼をぱちぱちしているS村さんに俺は訊きました。
S村さんはうっすらと涙ぐみながら、言います。
「素敵だったわ、本当に素敵だった。
何十年ぶりに雪を感じて、ココアをいただいて……お店では飾りまで触って。
どうやったんですか?
まるで本当にベッドごとドイツに行ったみたいでした」
「ですから、10分間旅行社ですから。 
どんな方でも、どんな場所へでも、10分間だけお連れします。
嘘ではなかったでしょう?」
「ええ、本当に。本当にわたし、ドイツのクリスマス市に行ったのね」
これが事実だったら、どんなによかったでしょう。
S村さんはそっと目を伏せました。
俺は言います。
「S村さん、わたしたちは嘘はついていませんよ。
あなたは本当にドイツに行っていたんです。
それが真実ですよ」
「え、でも、まさか」
「その証拠にホラ」
俺はS村さんのベッドサイドテーブルを指さします。
「ちゃんとお土産まで、ありますよ」
テーブルの上には、赤いリボンが巻かれたあのスノードームがありました。



以上、ホラ九割程度で。 
この話、具体的になにをどうやったのか、ネタバレしてもいいんですけど、
しないほうが楽しいと思います。
今回のドイツ訪問、これは無理ではありません。
準備さえしておけば、まったく問題ありませんでした。
あとは俺の話術というか、演出ですね。
これは嘘ではなく、ホラだからこそ、できた奇跡です。
S村さんはこの日、スノードームを抱きながら眠ったそうです。
きっとまたドイツへ行ったんでしょうね。
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どうしても真実ではなく、事実が知りたい、という方へ。
世の中、そっとしておいたほうが楽しい場合もありますよ。
何をどう使ったとか、知ったら、しらけちゃうかもしれないですからね。
ただヒントとして言えるのは、
「男爵が話している間、斎藤君は大活躍していた」ということです。
「医療法人●●会●●病院の伝説の二人組」は、
今回も新しい伝説を作りました。
次の伝説がどんなものかは、神の味噌汁です。

2015年12月20日 (日)

空を飛ぶ方法。その1。

どうもこんばんは、
「福ロス」(福山雅●氏の結婚により精神的なダメージを受けること)を
「副都心線の遅延状況」だと思っていた黒羊男爵です。
使用例:
大学生1:「いやー、今日も副ロスがひどくってさ」
大学生2:「あー、まあな、人によってはひどいらしいよな」
大学生1:「ホント、かんべんしてほしいわー」
大学生2:「ホントな」
ね! 違和感ないでしょ?! 会話として成立するでしょ?!
俺、おかしくないよね?!
執事の野郎、「これはこれは」とか言って、
メモ帳にごそごそ記入してやがりました。
(注意してくれない!)
どうやら俺の間違いを書き留めておいて、
どこかにUpするつもりらしい。
おまえはそれでいいのか、
それが主人に誠実な執事のありかたか!
いろいろ問題の多い男爵家です。
来年のお願いは「家内安全」「試験合格」で決まりです。

そんな俺が毎月の定期検診のために病院行き。
毎回入院するおなじみの病院なので、
「よう!」
とハイタッチする友人「斎藤君」がいます。
今日も後ろに点滴棒を引きずりつつ、
顔色が悪い笑顔の斎藤君とハイタッチ。
俺が後衛型自宅待機病人なら、
彼は前衛型通年入院病人です。
まあ、いろいろと悪いらしいです。
お互い、病状については
「俺ってホントに、病人でさ、アハハハハハ」
「俺もだよ、あはははは」で
済ませてしまうので、詳しくは知りません。
本人が言わないのに、別に知る必要ないしね。
そんなん知らなくても、
斎藤君がいいやつだって知ってるからいいしね。

そんな斎藤君が「あのさー、男爵さー」と切り出しました。
うぬ、これはお願いの声音!
俺:「断る!」
まず最初に用件を聞く前に断ります。
彼はいいやつですが、ろくでなしなんで。
斎藤君:「ええー、そこをなんとかさー」
俺:「い、や、だ! どうせまた無理難題なんだろ!
   『このはし渡るべからず』を泳いで何とかしろ! みたいな!」
斎藤君:「そこまで鬼じゃないよー。
    たださー、他の人にはちょっと難しくてさー」
俺:「他人には無理で、なぜ俺なら可能だと思うのだ?!」
斎藤君:「そこはホラ、男爵ってろくでなしだからさー。倫理とか甘めじゃん?」
俺:「俺もか! 俺もろくでなしか! まあ否定しないけどな!」
ここまでが用件を聞くまでの準備運動です。

俺:「で、なにをどうしたいのよ?」
斎藤君:「簡単なことだよ! 旅行に行きたいだけだから」
俺:「旅行……? 行きたきゃ行けばいいじゃない?
   それともなに、金がないの? 俺もないよ」
斎藤君:「違うよー、ないのはお金じゃなくて、余命だよー」

俺:「余命?! ヤバイ案件の匂いがするぞ!」
斎藤君:「ヤバイのは男爵じゃなくて、S村さんだよー」
俺:「もう話すな! その先を聞きたくない」
斎藤君:「じゃあ話すね。S村さんは長く入院してて、旅行経験がほとんどない。
    でも旅番組が大好きで、本当はドイツのクリスマス市に行きたいって思ってる。
    実際には旅行どころか、移動もままならなくて、ベッドに釘づけだけど。
    家族に心配させちゃうから、旅行に行きたいってことすら黙ってるけど。
    そんなS村さんを! 俺は旅行に連れていきたい!」
俺:「ベッドに釘付けの余命わずかな病人を家族に内緒でドイツ旅行?!
   何重に不可能が重なってるんだよ?!」
斎藤君:「だからさー、そこを男爵がなんとかすればいいんだよ!」
俺:「えっ、そこで俺の出番なの? 俺が出てきちゃうの?
   もうちょっと後でもよくない?
   たとえばS村さんのベッドにすがりついて泣きながら、
   「いいひとでした~」って言うくらいなら俺にも可能だけど」
斎藤君:「なんとかしてよ! 男爵は病人の星じゃんか!」
俺:「その星、スターじゃなくて、死●星じゃね?!」
斎藤君:「違うよ! 死兆●じゃなくて、冥王星だよ」
俺:「冥王星は惑星の定義から外れました!」
斎藤君:「男爵も人の定義から外れてるから大丈夫」
俺:「それ、ぜんぜん大丈夫じゃなくね?! むしろヤバくね?」
斎藤君:「で、俺はなにを準備すればいい?」

もう駄目です、斎藤君は完全にヤル気です。
眼がマジになってます。
こうなったら「医療法人●●会●●病院の伝説の二人組」としては、
やらざるをえません。
S村さんをドイツに連れていくしかありません。

俺:「うーん、方法はないこともないけど。本人が納得してくれるんならね」
斎藤君:「よっしゃあ!」

こうして、俺&斎藤君による「S村さんをドイツに連れていく会」が
結成されました。
はたして男爵はS村さんをどうやってドイツに連れていくのでしょうか。


以上、ホラ八割五分程度で。
旅行に行きたいってのは病人の夢だよね。
なかなか動けない・動くことができない病人の憧れです。
普通の生活がしたい、とか、
旅行に行きたい、とか、
ホントささやかな夢なんだけど、それが遠いんです。
だから俺はS村さんをドイツに連れていくことにしました。
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確かに、不可能は不可能でしょうね。
でも本人の了承があれば、
柔らかな心があれば、無理ではないとは思いますよ。
「このはし渡るべからず」って書いてあったら、
「じゃあ違う橋かければいいじゃんね」と思うのが俺です。
それでは 空を飛ぶ方法 その2 でまたお目にかかります(低頭)。

2015年12月13日 (日)

「貧乏・友の会」特別会 第53回「な●でも鑑定団」!

前回までのあらすじ:
 黒羊男爵は貧乏時代に仲間と創設した
 「貧乏・友の会」というお楽しみ会を主宰している。
 この会は「金はないけど、人生楽しんでいこうぜ!」という会で、
 今までに 黒歴史・闇鍋の会、「天高く馬こゆる」秋を楽しむ会、などなどが
 開催されている。

どうもお久しぶりです、黒羊男爵です。
はい、どうにかベッドから離れられるようになりました。
で、早速 企画しました 第53回「なんで●鑑定団」!が
開催されました。
JUN様を特別ゲストにお迎えして行われたこの会は、
つまり、
「箱の中身はなんじゃいな!」という会です。

男爵:「では、開催いたします、第53回「●んでも鑑定団」!
    司会はわたくし黒羊男爵、
    今回は特別ゲストにJUN様をお迎えして行います!」
JUN様:「すみません、ちょっと質問があるのですが」
男爵:「はい、なんでしょうか」
JUN様:「箱の中身はなんじゃいな、という会だと聞いてきたのですが、
     これはいったい、なんの会合なんでしょうか」
男爵:「あ、これは失礼いたしました、言葉が足りませんでした。
    つまり、貧乏・友の会の会員が自慢のお宝を持ち寄り、
    それがなんであるかを当てる、という会です」
JUN様:「お宝ですか。というと金目の……」
男爵:「いえ、それはありません。ウチは貧乏・友の会なんで。
    金でははかれないようなお宝が登場いたします」
JUn様:「ちょっとどういうものか、よくわかりませんね」
男爵:「それでは、実際に品物を見てみましょう!
    エントリーNo1:大工 のお宝です!」

大工:「ウチの倉庫にあったぜ。自慢の逸品だ」

運ばれてきたのは、腰ほどの高さの木製の箱で、
取っ手のようなものと吐き出し口のようなものがついています。

JUN様:「これはなんですか?」
大工:「知らねえ!」(力いっぱい)

JUN様:「えっ」
男爵:「JUN様、これが何かは我々審査員が判断するのですよ」
JUN様:「もしかして価値も……?」
男爵:「はい。このような正体不明のお宝が続々と登場いたしますので、
    テンポよくさばいてまいりましょう」
JUN様:「でもこんなの、見たことないですよ?」
男爵:「それでいいんです。さばけばいいんで。
    JUN様はこれがなんだと思われます?
    ぼやっとでもいいんで」
JUN様:「大工さんの家にあったんですよね?
    というと、なにか大工に関係するアイテムでは」
男爵:「いいところ来てますね! 惜しい!」
JUN様:「えっ、これがなにか知ってるんですか」
男爵:「はい。なんでも知ってるんで、わたしが審査員役なんです」

男爵:「ズバリ、申し上げます。このお宝は、「とうみ」ですね!」

JUN様:「とうみ……?」
男爵:「どういう漢字かまでは知りませんが、
   TVの鉄腕ダ●シュのダッシ●村で脱穀に使われていました。
   金銭価値的には、欲しい人があんまりいなそうなので、
   1000円くらいじゃないですか」
JUN様「1000円ですか。ちょっとそれは安すぎるのでは」
男爵:「じゃあ、このお宝は10000円で!
   よかったね、大工、暫定1位だぞ!」
大工:「やった! 10000円か、けっこうな金額だな!」
JUN様:「ええっ、そんなアバウトに?!」
男爵:「さあ、続々とやってきますよ、テンポよくさばいていきましょう」

貧乏・友の会が誇る天然の破壊兵器・画家、登場。

画家:「これはねー、もう値段がつけられないと思うよ!」
男爵:「では、お宝を、どうぞ!」

紙粘土で作られた左手らしき物体が登場。

JUN様:「あ、これはわかりました、紙粘土細工ですね」
男爵:「そうですね! 俺が中三の時に作りました」
JUN様:「えっ! 男爵さんが作ったんですか」
男爵:「学校の課題で作りました。
    で、学期末に重くて持ち帰るのが面倒なので、捨てようとしたら、
    画家が欲しいと言うのであげました」
画家:「なかなかよくできてると思うよ! 芸術家の目から見てもね。
    価値があると思うな!」
JUN様:「ええー……」
男爵:「JUN様、これ、いくらくらいなら買います?」
JUN様:「画家さんはタダでもらったんですよね?」
画家:「うん! でもいいものだと思う」
JUN様:「300円くらいじゃないですか。当時の紙粘土代として」
男爵:「そうですね! JUN様がおっしゃるので、300円で!」
画家:「あ! 暫定2位だね! さっすがわたし!」

JUN様:「(大丈夫だろうか、この集団……。
     ボケしかいないような気がする……)」

男爵:「次の方、どうぞ!」

パンの配達車の運転手が登場。
なにやら紫の布をかぶせた物体を捧げ持っている。

男爵:「おっと、これは貴重品の予感……!」
運転手:「さっすが男爵、イイ勘してる。
    これは我が家に先祖代々伝わるお宝だ」

布の中から、出てきたのは、

JUN様:「なんですか、これ。なにかのミイラみたいな……」
男爵:「あ、わかりました。これはあれですね」
JUN様:「あれ、ですか」
男爵:「はい、あれですよ、うろこもついてますしね、間違いないですね!」
JUN様:「ヒントがうろこですか。でもなんか小さな人の顔みたいなのもついてますね」
男爵:「ええ、人間と魚を混ぜたんですね。気持ち的には。
   実際には、たぶん、猿と鯉じゃないかと思いますけど」
JUN様:「ま、まさか、人魚のミイラ……?」
男爵:「正解です! いやー、珍品ですね。
   運転手、これはいい仕事だよ!」
JUN様「(は、初めて見た……)これに値段付けるんですか」
男爵:「JUN様だったら、いくらなら買います?」
JUN様:「……タダでもいらないです……」
男爵:「おっと査定金額は0円です! 運転手、残念!」
運転手:「くっそお、もっといくと思ったんだけどなー」
男爵:「JUN様が駄目って言ったら、駄目だから。残念」

JUN様:「それにしても男爵さん、全部ご存知でしたね」
男爵:「無駄に物知りですから! 一銭の得にもならないですけどね!
    今まで、俺の知らない出品物が展示されたことはないですよ。
    じゃあ最後、最後の方、どうぞ!」
三児の母:「ウチにはこんなものしかなくて」

なにやらかぎ爪的な曲がった鉄の棒がついたシャベル的なものが
やってくる。

JUN様:「あ」
男爵:「おっとこれは……。かなりな変化球が。
   うーん、これはすぐにはわからないかもしれない。
   形状から察するに握って使うもの、たとえば園芸とか、農作業とかで」
三児の母:「違います」
男爵:「えっ、違うの?」
三児の母:「ぜんぜん違います。方向的には逆かな」
男爵:「逆? うわ、初めてだわ、この俺がぜんぜんわからないなんて」

JUN様:「あの」

男爵:「はい?」
JUN様:「わかった、気がします」
男爵:「え、これがなにかわかったんですか?
   だって園芸と関係ないんですよ?
   地面を耕す系じゃないんですよ?」
JUN様:「言ってもいいですか?」
男爵:「どうぞ!」

JUN様:「これ、潮干狩り用のシャベル、ですよね」

三児の母:「当たりです!」

男爵:「うーん、そっちかあ、海系だったかあ!
   これは一本取られましたね!
   JUN様、おさすがですね!
   じゃあこれ、おいくらだと思われます?」
JUN様:「あの、違ってたら失礼なんですけど、
   潮干狩りのシーズンに百●均一でご購入されたのでは?」
三児の母:「すごい。当たってます!」
男爵:「つまり、100円ということでしょうか。
   では、第53回「なんでも鑑定●」一位は、
   大工の出品した10000円の とうみ で決定です!
   おめでとうございます!」
大工:「ありがとうございます」
男爵:「大工、記念にこれをあげる」
JUN様:「えっ」
画家:「えっ」

俺は大工に画家が出品した紙粘土細工を渡しました。
だってこれ、元は俺のもんだし。
だったら、あげてもいいじゃんね。

画家:「男爵、わたしにくれたじゃん!」
男爵:「気が変わった。あとやっぱりなんか特典があると盛り上がるから。
   それでは第53回「な●でも鑑定団」」はこれにて終了です。
   特別ゲストJUN様、ありがとうございました!」
JUN様:「いえ、こちらこそありがとうございました」



以上、ホラ九割五分程度で。久々なんでホラ度が高めで。
JUN様、お名前を貸してくださり、ありがとうございます。
JUN様抜きには今回のホラはありえませんでした。
本当にありがとうございます。
失礼の段は、どうか、お許しください。
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「おお、久々にホラ吹いてるな!」と思われた方、
「JUN様がいいところどりしてる。私もゲストに参加したい」と思われた方、
JUN様ご本人は、下記クリック。
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JUN様、やりすぎてたら、本当に申し訳ありません。
悪気はありませんので、ご容赦いただけれ幸いです。
ちなみに、「これはお宝ではなく、ゴミなのでは……」と思われた方、
第53回というところにご注目ください。
はい、初めからネタバレしておりましたよ。
貧乏・友の会では、こんなお宝がでてくる日もあります。

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