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2015年3月 1日 (日)

どこかで会いましたか?

前回までのあらすじ:
 ごくごくありふれた平凡な毎日を送っているはずなのに、
 なぜかス●ーカー・近藤裕子(仮名)様から熱烈なファンレターをもらってしまった男爵。
 え、なんで俺にストー●ー?
 別に美貌もカリスマとかもないし、
 ステキ収納術とかで講演を開けるわけでもないし、
 俺の、なににそんなに、惹かれているのかわからない。
 わからないけど、近藤様(仮名)は男爵を確実にストーキ●グしているので、
 ストーカ●に男爵に失望してもらい、去ってもらうべく、
 とりあえず「男爵は普通人だよ?」計画を発動。
 今まで以上に、常識人・普通人を装った生活が続いている。

いやまあ、先週は寝込んでたんで、アレですけど、
でも一応、ゴミ出しの内容とかには気を付けて、
普通人が出すようなゴミしか出してません。
近所の人とも立ち話するようになりました。
読んでるマンガと本も、理性ある・規律に満ちたものばかり。
うん、俺、普通人できてる。
PTAに「理想的な課題」として俺自身が推薦されてもいいくらいだ。
で、まあ、そんな生活を三週間くらい送っていたところで。

昨日。ついに出会ってしまいました。
初めは誰だがかわかりませんでした。
ゴミ出しして帰ろうとしたら、中肉中背の男性が
「よう」と片手を上げて声をかけてきたのです。
……誰だ、このひと。
いや、俺の記憶力のなさには定評があるので、
俺が忘れている近所の人という可能性もある。
なので、「よう」の返答として、
「おはようございます」と返事しました。
すると男性はもう一度、
「よう」と言いました。
なんだかこの挨拶、聞いたことある気がする。
どこで聞いたんだ? どこかで会いましたか?
首をひねって、俺は絶叫しそうになりました。
聞き覚えがあるはずです。
この「よう」は俺自身が友人に話しかける時に使ってる言葉でした。
男性は手をあげる仕草まで俺の鏡みたいな感じで話しかけてきたのです。
てことは、もしかしなくても、
「……えー……っと、まさか、あなたは」
「近藤(仮名)だけど」
「!」
なんですと。
近藤裕子(仮名)ってあのファンレターには書いてあったじゃないですか。
なのに、どこからどうみて、普通の二十代くらいの男性です。
「え、だって、裕子(仮名)って」
「うん、ホラ八割くらい?」
「!」
うわあ、うわあ、本物だよ、こいつ、本物の●トーカーだよ!
ついに出会ってしまった。
モノホンのストー●ー。
しかもなんだかこいつ、心の底から、ヤバイ、本当に俺に心酔してるっぽい。
俺という船は●トーカーの出現でもう浸水しているのに。
沈みそうになっているというのに。

「最近、あんまりとがったマンガ読んでないんだね。
どうしたの」
近藤(仮名)は親しげに話しかけてきます。
いや、俺とお前は初対面だから。
一方的に向こうは俺を知ってるけど、
俺はおまえのこと全然知らないから。
「……とがったもなにも、好きな漫画を好きなように読んでるだけだけど」
「前はもっと変わったマンガ読んでたじゃん。
小説だってさ、うなるようなヤツ読んでたのに、
なんで最近は岩波●庫とか、婦●画報とか読んでるの?」
「好きだからとしか答えようがないんだけど。
俺はもともと平和と平穏を好む普通人なんだけど」
「まったまたー! 孤高のカリスマじゃん、男爵は。
理解し合えるのは俺くらいでしょ」
「カ、カリスマ?! そんなの聞いたことないよ」
「周囲から浮いちゃって、孤独でさ。
でも本当は理解者を求めている。
俺たちは補い合える存在だよ」
「ちょま、ちょっと待って!
俺は本当に普通人なんだけど。
友達だってそこそこいるし、
近所の人ともうまくやってるし、
君、誰かと勘違いしてない?」
「……そりゃ、なんか最近は近所ともうまくなじんでるみたいだけど」
男は不満そうにつぶやきました。
「俺は別に孤高じゃないよ。
ボケとツッコミが大好きで、冗談言い合うような友達にも恵まれてるし、
家族にも恵まれてるし。
ごく普通の生活を送ってればそれで幸せなんだ」
あとはアンジェリーナ・ジョリーかキアヌ・リーブスが来れば完璧ですが、
それは言わないでおきます。

「違うじゃん、違うよ!」
近藤(仮名)は声をあげます。
「俺が気に入った男爵はさあ、もっと特別なんだ。
もっと変わってて、選ばれた、特別なひとなんだ」
「なんか誤解させてたら、ごめんなさいとしか言いようがないけど……。
でも俺は普通人なんだよ。
小さな幸せが大事な、大好きな普通人なんだよ。
俺みたいな器の小さな人間は選ばれた特別な人間にはなれないと思うな。
そういうのは、やっぱり君みたいな特別な人が選ばれるんだと思う」
「……俺が特別だって思うの?」
「思うよ。やっぱ俺とは違うなって。
なんていうの、特別なオーラってやつが出てるよね」
ス●ーカーという名の。
「俺が特別なのは知ってたからいいけど。
けど、男爵だって特別だったんじゃ」
「俺は君と釣り合うほど、特別な何かを持ってないかもしれない。
正直、自信がないよ。
だって君は本当に輝いているし、
それに引き換え、俺は普通人だし。
俺なんか、君と対等に話すことも実はできないんじゃないかな。
そんな資格がないんじゃないかな」
「え」
「君の目に留まるほどの輝きが俺にあればよかったんだけど、
俺には……残念だけど、輝きなんて……。
君ほどの輝きなんて……」
俺は落ち込んだ様子で顔を伏せます。
もう内心、ドッキドキです。
どうにか●トーカーを失望させて、
かつ殺意には至らぬようにして帰宅させなければなりません。
「俺の輝きに、男爵は釣り合わないの」
「残念だけどね、本当に。
もしかしたら、俺にもちょっとはなにか光るものがあるかもしれない。
可能性があるかもしれない。
けど、君ほどの輝きを持つことは、たぶん俺には不可能だ。
そうとしか思えないんだよ、
君を前にしていると」
「そんな……」
近藤(仮名)は愕然とした様子で、
「俺の輝きが男爵を消してしまうなんて」と言いました。
俺はうなだれます。
「本当に、残念だけどね……。
ただ、これだけはわかる、俺にもわかる。
君ほどの輝きがあれば、いつか絶対にふさわしい人が、
理解者が現れる。
そして君の輝きをもっと高めてくれるだろう。
俺は君の幸せを祈ることしかできない。
普通人の、価値のない俺にできる精一杯は、それくらいなんだよ……。
とても、とても残念だけど。
君の輝きを前にしてしまったら、こうとしか言えない」
「俺の輝きゆえに、俺に男爵はついていけないってこと……?」
「そうだよ。やっぱり、生来持って生まれたもののレベルが違うんだね。
もしかしたらと俺も思ったけど、
やっぱり本物である君にはかなわない。
俺みたいな、ごくありきたりな、偽物はね」
俺は悲しげに微笑みます。
「けど、君に見つけてもらえて嬉しかったよ。
俺はいつだって君の幸せを願ってる。
君の輝きにふさわしいひとに早く出会えることを祈ってる。
これが偽物にできる精一杯の気持ちだ。受け取ってくれ」
俺は両手を差し出します。
近藤(仮名)はかすかに目を潤ませながら、俺の手を取ります。
二人はがっつりと握手しました。
「じゃあ、元気で。いつでも祈ってるから」
俺は近藤(仮名)に手を振ります。
男は振り返り振り返りしながら、我が家の前を去っていきました。

俺は自宅に入り、鍵を厳重にかけ、
トイレの個室にこもりました。
そして洋式便器の底へ向かって、
「王様の耳はロバの耳ー!!!!!」と叫びました。
「王様の耳はロバの耳ー!!!!!」
「王様の耳はロバの耳ー!!!!!」
と繰り返し絶叫しました。
ああもう、ホントにもう。
こんな危ない橋を渡るのはもう二度と嫌です。
成り行きで握手までしてしまった。
とはいえ、どうにかなんとか近藤(仮名)は去りました。
これでまた好きなようにマンガと本が読める。
こうして、平穏が生活がようやく戻ってきたのでした。


以上、ホラ八割程度で。
今回みたいな撃退方法は、
本当にストーカ●に悩んでいる人は絶対にしないでください。
ホラ話で現実を処理しちゃいけません。
ろくな結果になりません。
男爵とのお約束だよ!

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自分の模倣品みたいな存在って、びっくりしますよ。
ホント マジに度肝を抜かれます。
好意を持てるかって言われたら、俺は持てないですね。
なぜなら俺は真正のナルシストなんでね。
(マイナス方向の)
誰かの真似なんかするより、
自分のオリジナリティ出して、もっとおもしろいことしようせ! って思います。
まあ、みんながみんなオリジナリティ言い出したら、
社会が成立しないかもしれないけどね。
そのへんはオトナとして節度を持って行動したいものですね。

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