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2015年2月 8日 (日)

普通人。

前回までのあらすじ:
 黒羊男爵を襲った新たな不幸・『スト●カー』……!
 世の中には物好きがいるもんだよ、という執事の率直な感想はさておき、
 男爵と「とっても親しくなりたい」と手紙を書いてきたストー●ー・近藤裕子様(仮名)に
 男爵はどう接するのか……?!

「要するに、大事なのは、傾向と対策だ。
とりあえず、この手紙からわかったことをあげていこう」
俺は恐怖でガクガク震える手を碇ゲンド●風に組んで宣言しました。
「わかることといえば、男爵様の最近のプライベートが
ほぼ筒抜けになっていることですね」
執事が応えました。
俺は言います。
「もう一つあるだろ、
つまり、この手紙を書いてきた近藤さん(仮名)は
俺ととっても親しくなりたいと言ってきている。
俺のことが大好きで、
好きで好きでたまらない、ぜひお話ししたい、と」
「本当に、物好きもいるものですねえ」(深いため息)
「感心してる場合か!
執着をこじらせて刃傷沙汰になったらどうすんだ!」
「そうなったら、そうなった場合でございますね。
救急車を手配いたします」
「心の底から、霊柩車じゃないことを祈ってるわ!」
俺はふう、と大きく息をついて自分を落ち着かせ、
「だから」とつづけました。
「だから、事態を打開するために、対策としてある作戦をとろうと思う」
「作戦……?」
執事は目を丸くしました。

「これから言うことは、俺の感想だぞ、あくまでも。
ストーカ●には千差万別があり、
それぞれ個別対応が必要だと思う。
だから、どの●トーカーにも有効な対応はない、と思う。
で、あくまで、この近藤さん(仮名)に限定した場合の話だが、
この近藤さん、俺に対して著しく夢を見てると思う」
「それはさようでございますね。
ただの変人、変わり者のごく潰しのご主人様のことを、
選ばれし人とか呼ばれていましたね」
「ああ、どうやらアウトサイダーに対する憧れがあるらしい。
もっとも、俺は別にアウトサイダーになろうと思ってなってるわけではなく、
単なる変人だから、結果的にアウトになってるだけなんだが、
近藤さん(仮名)はそうは思わなかったみたいだな」
「しきりに、
あなたと話したい、あなたにならわかってもらえる・
あなたとわたしはわかりあえる、と書いておりましたね」
「話せばなんでもわかるってのは幻想だがな。
残念ながら、俺自身にはアウトサイダーへの憧れが皆無なため、
近藤さん(仮名)と共感し合うことは永遠にないと思う」
「で、どうなさるのですか」
「要するに、憧れがなくなればいいんだ」
俺の言葉に、執事は瞬きします。
「憧れを、なくす、ですか?
どういう意味でございますか」

「つまり、近藤さん(仮名)は俺がアウトサイダーだから憧れて、
執着して、手紙を書いてきたわけで、
俺が普通の一般人だとわかったら、失望するだろう。
失望して去っていくだろう。
失望して、殺しちゃう場合もあると思うから、
そこらへんのさじ加減を慎重にしなければならないが、
とりあえず、『男爵は普通人だよ?』作戦を展開し、
近藤さん(仮名)の幻想を慎重に、崩していかねばならない」
「具体的にはどうされるのですか」
「毎日 家の前を掃除して、近所の人には にこやかに挨拶する。
可能ならば立ち話もしたい。
それから、本や漫画も、そうだな、
当面は教育委員会が推薦するような作品を買って読む。
もちろん、買った際のレシートは必ずゴミに出し、
近藤さん(仮名)の眼に触れるようにする。
公園を散歩する場合は、必ず一度は、
「かわいいわんちゃんですね」と言って誰かに話しかけるようにする」
「つまり、社交的な一般人という仮面をかぶるわけですね」
「仮面とは人聞きが悪いな」
俺は真剣な表情で言います。
「確かに俺にはアウトな一面がある。
実際問題、おまえは人間失格と言われたら、
「イエッサ!」と笑顔で返答するしかないかもしれない。
だが、やろうとおもえば普通人であることもできる。
面倒くさいから、今までは自宅内ではやらなかっただけだ。
それをやろうと思う」
「問題は、失望が暴走して裏切られた、と思われた時ですね」
「そうだな、その場合、殺意をいだかれることもあるからな。
適度に、適切に、ゆっくりと憧れを削っていかねばならない。
これはもちろん、全部のストーカ●に対応できる策ではない。
たまたま、今回の近藤さん(仮名)が俺に憧れていて、
その内容が手紙でわかったからできることだ。
恋愛がこじれたり、暴力が関係するような場合は、
当然のことながら、別の対応、別の手段をとるべきだ」
「つまり、近藤さん(仮名)はス●ーカーとしては
まだまだぬるい、ということでしょうか」
「そうとも言える」
俺は額の冷や汗をぬぐい、大声で断言します。
「ここに! 『男爵は普通人だよ?』作戦の開始を宣言する!」
「またまた、妙なことになりましたね」
執事はシニカルに笑い、低頭しました。
「かしこまりました、ご主人様」
――てなわけで、作戦開始となりました。次週へ続く。


以上、ホラ八割程度で。
本当にストーカ●に悩まれてる場合は、
安易に俺のような対応は取らないでくださいね。
マジ、失望から殺意に変わる場合もあると思うので。
つまり、あくまでも俺のこの話はホラだから成立しているということです。
現実問題を処理するときに、
ホラ話は 絶対に、参考にしないでください。
男爵からの真面目かつ真剣なお願いです。

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憧れってのは儚いものですよ。
儚いから、いいんですよ。シャボン玉と同じです。
本当なら、そっと、セピア色になるまで、いい思い出になるまで、
自分の胸だけにしまっておくのが、ベストだと思います。

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