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2014年12月28日 (日)

『楽しく帽子を作る会』改め。

前回までのあらすじ:
 知人・画家の『楽しく帽子を作る会』の幹事に無理やり就任させられた男爵。
 三人目のメンバー・奈落鬱子さん(仮名)とバトリながら、
 どうにか帽子を作ろうとするが、
 絵筆一本人生の画家も、
 「自称女神予備軍」「男性が育成してくれるのを待っている」奈落鬱子さん(仮名)も、
 家庭科というか、針と糸にまったく興味もない。
 そんなこんなで果たして帽子はできるのか……?!

「簡単に一言で言えば、おまえらは人間のクズだ」
わたしは宣言しました。
「かく言うオレも、自他ともに認める人間のクズ、
人間失格人生まっしぐらだが、
おまえらもクズだ。実に見事な救いようのないクズだ。
まずはそれを直視するところから始めよう」
「ちょっと待ってよ、男爵、なんでわたしがクズなの?
わたしはちゃんとした画家だよ!」
画家が言い張れば、
「そうよ、わたしだって立派な女神予備軍、
磨いてさえもらえれば光り輝く原石よ!」
奈落さん(仮名)も貧相な胸を張って主張しました。
オレは冷静に、碇ゲン●ウのポーズで分析します。
「画家、おまえは画家であるがゆえに、
それ以外のことはまったくなにもできない。
能力的にも人格的にも評価すべきところがない。
ゆえに、クズ認定。
奈落さん(仮名)、あんたにいたっては、
唯一のとりえすらない。
美貌もなければ、性格もよくないし、頭も悪い。
年齢だってかなりいってるのに、
いまだにウェイティング中、自分磨き・自助努力ゼロ。
ゆえに、クズ認定。
なにか異論でも?」
「あるに決まってるでしょ!」
「あんたにクズだって言われたくないわ!」
二人は口々になんだかんだとわめきますが、
オレは一切を耳からシャットアウト。
次の一言で、二人を黙らせます。
「クズがくやしければなあ、オレ抜きで帽子を作ってみろ!」

「!」「!」
額に青筋を立てて二人は黙り込みます。
握った拳がブルブル震えているので、
もし殺人が合法だったら、オレは二人に撲殺されているでしょう。
「そもそも、みんなで帽子を作ろうとしたのが、間違いだったのだ」
オレは言いつのります。
「奈落さん(仮名)の頭に王子様が来ないストレスから
円形●毛ができた。
それを隠すためにオシャレな帽子が必要だ。
うん、一見、論理は破たんしていないように見える。
オレも一度はうなずいた」
「……だったら、帽子を作ってよ、男爵!」
「だが、『楽しく帽子を作る会』には大きな誤算があった。
それは、会員であるおまえら、
一番帽子を必要としているおまえらが
帽子を作れない、
作る気もない、ということだ。
だったら! オレが帽子を作らねばならない理由は
1ミリグラムもない!
作りたいけど作れない・教えてほしいって言うんならなあ、
オレも考えないでもないけど、
おまえらクズの態度には謙虚さが皆無!
お願いする姿勢も皆無!
よって! オレは今回、断固として帽子を作りません。
ええ、作ろうと思いません。
帽子が欲しければ、自分で作るんだな。
『楽しく帽子を作る会』はこれにて解散!
あとに残ったのは、
人間のクズ三人、いや、哺乳類三匹、
『楽しく帽子を作る会』改め、
『人間失格・クズの会』が大結成されました!」
「!」「!」
オレの言葉に、二人の顎が落ちました。

「そ、そんな……。
クズだなんてひどい……」
奈落さん(仮名)の眼に涙が浮かばず、
激しく嗚咽だけ漏らして、嘘泣きをします。
うん、それ全然、泣いてないね。
画家が奈落さん(仮名)の背中をさすりながら、
同じく泣いているフリをします。
「そうだよ、奈落さん(仮名)はただ王子様を待っていただけなのに。
それなのに、王子様がまだ来ないなんて。
心痛から病気になってしまったのに、
帽子を作ってあげないなんて。
ひどいよ、男爵、この人間のクズ!」
「ええ、オレはクズですが、なにか?」
オレは落ち着き払って、応えます。
「オレは自分が人間失格でも別にかまいません。
だってそれで迷惑するのは、周囲の人間であって、
オレ自身じゃないし。
第一、おまえらには迷惑をかけられても、
かけたことはない」
「帽子を作ってくれないのに……?!」
「買えばいいだろ、そんなに欲しけりゃ」
オレは教本を閉じ、材料と一緒に袋に入れて、
画家に押し付けます。画家は言います。
「帽子ってけっこう高いんだよ!」
「知ってる。だからオレに作らせようとしたんだろ?
いやなこった、自分でどうにかしろ」
「どうして、友達じゃないの?!」
「友達は友達を利用したりしない!
そもそもなあ、オレは、自分で努力もしないで、
他人におんぶにだっこで助けてもらいたがる人間が
大嫌いなんだよ、
自分を見ているようで!
はい、俺の性格の悪さがわかったら、
今回はおとなしく引き上げてください。
これにて『楽しく帽子を作る会』も『人間失格・クズの会』も
解散です。
はい、帰った、帰った!」
オレは二人を家から押し出します。
ついでに二人にコートとマフラーも投げつけます。
「それじゃな、メリー・クリスマス!
サンタも王子も来ないけどな!」
画家がわめきます。
「男爵のバカア! 人でなし!」
「あんたなんか、あんたなんか、永遠に王子様が来なきゃいいのよ!」
「はいはい、オレには王子は必要ありません。
オレが待ってるのは
アンジェリーナ・ジョリーとキアヌ・リーブスなんで。
じゃあね、よいお年を~」
オレは二人にバイバイと手を振り、扉を閉めました。

ホント、どうしようもないよね。
人間のクズが三匹集まって、
どうしたら仲間のクズが幸せになれるかって言い合って、
どうしようもないよね。
だから俺は、二人を蹴りだした後、
Amazonを開き、あの教本を自分で購入しました。
「ホント、どうしようもねーなー」
我ながら、そう思う。
あんなこと言って、画家と奈落さん(仮名)を蹴りだしておいて、
帽子を作ってやるなんてな。
我ながら、お人よしにもほどがある。
黙って作らされるだけじゃ、腹立たしいから、蹴りだしたけど、
でもさ、
「奈落さん(仮名)にもいつか、王子様が来るといいな」
オレにアンジェリーナ・ジョリーが来るといいように。
でもま、クズのオレとアンジェリーナ・ジョリーじゃ釣り合わないけどね。
それでも、夢見るのは自由でしょ。
だったら、奈落さん(仮名)が夢見ているのは別に悪くないさ。
彼女の人生だ、好きに浪費すればいい。
自分で納得できるまで、やればいい。
他人に、それも人間のクズのホラ吹きにできることなんて、せいぜい、
「帽子を作ること、くらいだよな」
王子様が思わず寄ってきてしまうような、素敵な帽子を。



以上、ホラ八割程度で。
『人間失格・クズの会』では随時 会員を募集中。ではありません。
もう解散したんでね。
十五分程度の活動期間でしたね。
こうして、『楽しく帽子を作る会』をめぐる冒険は終わりを告げたのでした。
結局、三人で帽子、作らなかったね。
まあ、こんな日もある。
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クズでも、夢とロマンと心のゆとりは大切にしたいよね。
ホラ吹きはさ、夢とユーモアがあるから、嘘つきじゃないんだから。
『帽子を作る会』は辞めたけど、
それだけじゃ世知辛いよね。
帽子くらい、作ってやるよ、
仕方ねーから。ホント仕方ねーから。
奈落さん(仮名)の笑顔が、これでちょっとでもマシになればいいな、と思う。

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