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2014年11月23日 (日)

お手紙着いた。

どうもこんにちは、
先週から寝込みっぱなしの黒羊男爵です。

「畜生、この風邪 なかなか治んねえなあ」
せき込みながら、天井を見上げて
世界を呪っていたら。
天井から着物の腕が出てきました。

な、なんだよ?!

ギョッとして見直すと、
腕は着流しの胸につながり、
胸は頭につながり、
「……ぬらりひょんじゃねえか」
驚かすなよ、とわたしは天井から出てきた妖怪に文句を言いました。

そう、こいつの名前はぬらりひょん。
他人の家にあがりこんでご飯を食べていくという
まったく何の役にも立たない仕事(?)をしている妖怪です。
露流しなんかと比べると、明らかにレベル低い仕事だし、
(露流しという妖怪については下記日記参照)
http://blacksheep.txt-nifty.com/blog/2014/08/post-eb69.html

一反木綿に比べると、男気というかカッコよさが劣る。
(一反木綿と飲みに行った話は下記日記参照)
http://blacksheep.txt-nifty.com/blog/2014/08/post-1012.html

じじいの容姿をしているから、悟っているのかと思えば、
そうでもなくて、
オレと一緒にカタツムリに夢中になって、写メしたりする。
ぬらりひょんは、くだらないことを一心にやっている、そういう妖怪です。

そんなぬらりひょんが、天井から出てきて、
ベッドサイドにやってきました。
「で、今日のおやつはなんじゃ?」
「第一声がそれかよ?!
病人、目の前にしておかしいだろ。
それ以前に、友達に言うセリフかよ。
単なる たかりだろうが、おまえ!」
「これがわしの仕事なんじゃ」
「知ってるけど! わかってるけど!
状況を見ろよ、考えろよ。
いまオレはおやつなんか食べられる状況じゃねえんだよ。
喉が痛くて固形物なんて食べられないの!
おやつどころか、おかゆしか食ってねえわ、
ここんところ」
ぬらりひょんは腕組みして顔をしかめます。
「おかゆはおやつとは言えんのう。
チェンジ」
「チェンジできるか!
オレがおまえをチェンジしたいわ」
わたしはぜいぜい言いながら怒鳴りました。

なんでよりによって、こんなときにこんなやつが。
体調のいい時なら一緒に遊べるけど、
いまはそんな状況じゃない。
露流しなら、涙の重さを食べてくれるから、
ちょっとは楽になるんだけど、
ぬらりひょんは、本当に飯をたかっていくだけの妖怪だから、
何の役にも立ちません。

「そうじゃ、お前宛に手紙を預かってきたんじゃった」
突然、ぬらりひょんがそう言って、
着流しの懐から巻紙を取り出しました。
俺は受け取って顔をゆがめます。
「……なんだか、微妙に温かいんだけど、この手紙」
「大事に大事に何日も懐で温めておいたからのう」
「え、それっていやがらせ?
遅配してる時点ですでに十分いやがらせの領域で、
じじいの体温で温めている時点で、
必要以上にいやがらせの領域に入っている気がするのはオレの気のせい?」
「気のせい、気のせい」
ぬらりひょんは断言すると勝手に椅子に座り、
執事が置いておいた枕もとのアイソトニック飲料を飲みました。
まあいいけど、自由すぎるだろ、おまえ。

ベッドで座り込み、手紙を俺は膝の上に広げました。
「達筆すぎて読めねえ……」
なにやら墨の文字でズラズラと書いてありますが、
行の最後の「候」(そうろう)しか読めない。
なにがどうなってんの?
ていうか、この手紙、
「誰からの手紙だよ?」
尋ねるとぬらりひょんは、あっけらかんと、
「露流しじゃ」
と答えました。
「あいつは携帯を持っておらんからのう。
青森で会ったときにお前宛の手紙を託されんじゃ」
「内容がまったくわかんねえんだけど」
「それでいいんじゃ」
ぬらりひょんは飲み物を飲み終わり、
オレの秘蔵のMe●y'sのチョコレートの箱を
本棚の奥から取り出してむしゃむしゃ食べ始めました。
オレはどうにか手紙を読もうとながら言います。
「いや、よくねえだろ。
なんか急ぎの用件だったのかもしれないし」
「預かってからもう何日も過ぎとるで、
急ぎの用件だったんなら、なおさら、もう内容に意味はないんじゃ」
「てめえのせいだろ!」
なに他人事みてえに言ってんだ。
それから、チョコを食いすぎだ。
もうほとんどなくなってるじゃねえか。

「手紙なんていうものはな、
あげることに、もらうことに意味があるんじゃ」
ぬらりひょんはチョコを食べ終わり、
オレの秘蔵のキャラメルミクルティーをポットに用意しながら
言いました。
「おまえさんのことを気にかけていると、
その気持ちが伝われば、内容などどうでもいいんじゃよ」
「……いや、どうでもよくないからね、
いま一瞬だけ、ものすごいいいこと言ったみたいな顔したけど、
どうでもよくないからね」
「ミルクはどこかのう?」
「キッチンの冷蔵庫です!
この部屋には電気ケトルとティーポットはあるけど、
ミルクは要冷蔵だから、キッチンだよ!」
「冷蔵庫じゃな」
ぬらりひょんはあっさり席を立つと、
ドアを開けて寝室から出ていきました。
俺は露流しの手紙をどうにか読もうとしましたが、
やっぱり、「候」(そうろう)しかわかりません。
たぶん、いや確実にぬらりひょんには内容がわかるんだろうけど、
教えてくれないんだろうな。
あいつはそういう妖怪だ。

突然、ドアが開いて、
「低温殺菌牛乳はなかったぞ」
ぬらりひょんがミルクを片手に苦情を言いました。
「わしは牛乳は低温殺菌、コメは魚沼産が好きなんじゃ」
「てめえ、たかりのくせに贅沢言いすぎだろ!
オレがお茶を提供してやってるだけでも
感謝しろよ!」
「じゃが、これもわしの仕事じゃからの、
わしもつらいがしかたないんじゃ」
ぬらりひょんはミルクティーをうまそうにごくごく飲みました。

「おい、ぬらりひょん」
「なんじゃ?」
「おまえ、この手紙、読めるんだろ。
ていうか、おまえのことだから、もう読んだんだろ。
なんて書いてあるんだよ」
「おまえさんは友達じゃ、と書いていある」
「ザックリしすぎだろー!
それ、省略しすぎだろ!
だって候って何回も書いてあるぞ。
なにか細々と書き綴ってんじゃないの?」
「あー、まあ、旅先のことをいろいろと書いておるが、
要するに、おまえさんのことが好きじゃ、ということじゃ」
「要約しなくていいから!
詳細を、ちゃんと内容を教えろよ!」
手紙をもって絶叫したオレに、
ぬらりひょんは、
「大事なことなら、自分でどうにかせにゃならん。
それが世の中の理じゃ」
と言い切り、それから、
「じゃあ、わしはもう行くわ。
手紙は確かに渡したからの」
と言って、ドアに手をかけました。
「ちょっと待て、
お前ほんとに、これじゃ、渡しただけじゃねえか!
え、これで終わりなの?
俺はこの手紙とともに残されてこれで終わりなの?
そんなオチあんのか?」
「まさに風邪とともに去りぬ、じゃ」
ぬらりひょんはいい笑顔で手を振りました。
「たしかに俺は風邪ひいてるけど、
それちっともうまくないからね、
それ全然駄目だからね」
「次はショートケーキと低温殺菌牛乳を用意しておれ。
ご飯は魚沼産コシヒカリじゃぞ」
「二度と来るんじゃねええ!!」
こうして、ぬらりひょんはオレの絶叫とともに
去っていきました。

この読めない手紙、どうしようか……。



以上、ホラ八割程度で。
手紙ってもらうと嬉しいよね。
でもさ、内容もわかったほうが更にいいよね。
ぬらりひょんが言ったことは全部 真実だと思いますが、
それだけでもいけないと思います。
いろいろ足りないと思います。
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ぬらりひょんが去ったのち、
熱が下がったことは秘密です。
本当に、あいつ、風邪とともに去りぬ、だった。
もしかしたら、わざと持ってってくれたのかもしれないけど、
悪い奴じゃないと思うけど、
でもどうなの? あいつ、いいやつなの?
オレにとっては、一言で言えば、「悪友」です。
元気な時は一緒に馬鹿をやるし、
体調が悪いときは、罵声を投げたくなる相手です。

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