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2014年10月19日 (日)

天高く、馬が。

前回までのあらすじ:
 黒羊男爵は、貧乏時代に仲間と結成した
 「貧乏・友の会」という名のお楽しみ会を主宰している。
 これは「季節感を大事に」
 「貧乏生活でも人生 楽しんでいこうぜ!」という活動をする団体で、
 今までにも、このブログで触れただけでも、
 「黒歴史・闇鍋の会」
 「水遊びの会」
 「3000円で本格的なアフタヌーンティーを楽しむ会」
 などを開催し、都度 様子をブログにアップしてきた。
 なお、友の会のメンバーは
 このブログに何回か出てきて男爵を苦しめている「画家」、
 「パンの配送車の運転手」「大工」「三児の母」「作家志望」
 「歌手志望」などがおり、バラエティに富んでいる。


そんな貧乏・友の会が今年の秋に計画したのは、
「天高く馬肥ゆる秋・焼き芋ハロウィンパーティー」である。
場所はウチの庭で、今日の午後、
友の会のメンバーみんなで楽しく焼き芋しようぜ! という、
聞くだけでも楽しそうな会である。
うん、オレも先週から楽しみにしてた。
闇鍋と違って、破滅の可能性がなく、
安全で安心である。
といっても、
「ウチが誤って全焼する」という可能性がないわけでもないが、
「もう準備しております」と執事が消火器をスタンバッていた。
間違いない。
事故は起きようがない。大丈夫だね。

今日の午後三時(おやつの時間)に合わせて
メンバーが続々とやってきた。
久しぶりに会うメンバーもいて、
「あ、お子さん、大きくなったね。6歳?
早いなあ」とか
「今日はお天気も良くて絶好の芋焼き日和だね」とか、
わいわい雑談しながら、庭に集いました。
庭には穴が掘ってあり、落ち葉が敷き詰められています。
あとは穴にアルミホイルで包んだ芋をセッティング、
落ち葉を乗せて火をつけて、蒸し焼きにするだけである。
楽しみだね! とみんなのテンションも盛り上がる。
オレはホストとしてアイスティーや
キャラメルミルクティーなどを配りながら、
「芋、まだかなあ」とちょっと気にしていました。
そういや、芋は誰が用意するんだ?
オレは場所の提供だけでいいよ、って言われてたけど。

「芋はまだ来ないわけ?」
オレが幹事の大工に尋ねると、大工はメールを確認して、
「道路が混んでてちょっと遅れるみたいだね。
でも掘りたてをゲットしたから、期待してて! だって」
と伝達してきました。
「へええー、掘りたてなの?」
オレが尋ねると大工はうなずき、
「うん、画家が今日の午前中に近所の畑の
掘り出しを手伝う代わりに
分けてもらえるんだって。
だから芋代は無料でいいんだって」と答えました。
「無料? いい響きだね」
オレも力強くうなずき、執事に言ってアルミホイルも用意させました。
子供たちもキャッキャッ言いながら落ち葉を楽しみ、
大人は優雅に秋の薔薇を眺めながらお茶を楽しみ、
みんなで画家の到着を待ちました。

「ごめーん、お待たせ!」
三時十分過ぎに画家が
大きな白いゴミ袋を引きずって登場しました。
え、このゴミ袋いっぱいに芋が?
おおお、大量だな!
みんな、さらにテンションが上がり、画家を取り巻きます。
「どうだった、畑は」
オレが尋ねると、画家は親指を立てて満面の笑顔で、
「バッチリだよ! 掘りたて! きっとおいしいよ!」
と報告。
みんなも笑顔で配られたアルミホイルを手に
ゴミ袋に群がります。
「ほーら、お芋だよー」
三児の母が子供たちに話しながら、ゴミ袋を広げます。
みんなでいっせいにゴミ袋を覗きこみました。

画家が持ってきたゴミ袋の中の写真:
K0120001_s

………………。
えっ、これ、どういうこと?

えっ?

わたしは状況がまったく把握できませんでした。
えっ? 長くて白い芋?
えっ? なんか違う野菜に見えるけど。
「ちょ……、あのさ、画家」
三児の母が言いました。
「これ、芋に見えないんだけど」
あー、よかった、芋に見えないのは、オレだけじゃなかった。
オレだけ魔法にかかったのかと思った。
「芋?」
画家が思いっきり首をかしげます。
「芋って何の話?」
オレがつっこみます。
「いやだから、今日は焼き芋を楽しむ会だろ!
なのに、おまえがもってきたこれは、なんていうか、
芋じゃないっていうか」
「なにって、大根だけど」
画家はあっさり答えました。
「やっぱりねー!!!」
一同はいっせいに叫び、アルミホイルを落としました。

なんということでしょうか。
画家が「掘りたて野菜!」といって約束していたのは、
「芋ではなく大根」だったのです。
こんな破滅が待ち受けていようとは。
消火器まで用意していたのに、
これは、これは予想外の事態です。

「こ、これでどうやって焼き芋をやれと?」
オレが苦しい気持ちをどうにか言葉に換算すると、
画家は不思議そうな顔で、
「え、焼いてみれば? 同じ根菜だし、
芋とあんまり変わらないでしょ。
きっとホクホクになるよ」
とザックリすぎる発言をかましました。

「やっぱりねー!!!」
二度目に叫ぶわれわれ。
伊達に長い付き合いじゃありません。
画家のザックリしたアバウトな性格はみんなよく知っています。
しかし、ザックリにもほどがあるだろ。
おんなじ根菜とはいえ、
芋と大根を同じ調理方法で焼いて、うまいかどうかは……。
「ほろふき大根とか、大根ステーキにしてみたら?」
三児の母がフォローに入りました。
「ちょっと待てよ、焼き芋に盛り上がったこの気持ちはどうなる」
大工がうなれば、画家はあっさり、
「だから、焼けばいいのに。大根」と言い切りました。
「焼きたてにバターをのせて食べれば、きっとおいしいよ。
お腹がすいてれば、なんでもおいしいよ」
「その『おいしい』は、オレたちが焼き芋に抱いていた『おいしい』とは
結びつかない!」
オレが断言しました。
「たしかに大根はおいしいし、空腹ならなおさらうまいだろう。
しかし、今日の集いの趣旨は
「天高く馬肥ゆる秋・焼き芋ハロウィンパーティー」だろうが!
大根焼きなんて料理、聞いたことねえわ!
これじゃあ、馬が肥えるどころか、脱走してるわ!」
「じゃあ、会の趣旨を変えれば?
「大根を楽しむ会」のすれば問題なくない?」
どこまでも前向きな画家の発言に、
一同は打ちひしがれます。
「今日、集まった、意味がねえ……」
「大根はまだまだいっぱいあるからね!
お土産もあるからね!」
画家は元気よく宣言しました。
オレたちの秋は、こうして、過ぎていきました。



以上、ホラ七割程度で。
焼き芋を楽しむ会なんてさ、破滅のしようがない
(火事くらいでしょ、危険があるとすれば)
と思ってたのに、
画家の天然のせいで、もう会は壊滅状態になりました。
結局、みんなで穴を埋めて、
画家から大根を分けてもらって、それで解散になりました。
アルミホイルも、消火器も、必要ありませんでした。
画家は最後まで、にこにこしてました。
子供たちに「はい、おいしいよ、掘りたてだからね!」と言って、
大根を抱かせていました。
いや、大根が悪いんじゃないよ。
大根だっておいしいよ。オレは大根を否定しているわけではありません。
ただ、大根が焼き芋を楽しむ会にふさわしいかという問題です。
違うでしょ、大根は芋じゃないでしょ。
結局、今日の晩御飯は大根のお味噌汁と
大根おろし添えのサンマになりました。
サンマ、おいしいよね。旬だもんね。
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画家の破壊力たるや、もう、破壊神レベルです。
あいつに関わると、なにもかもが瓦解するわ。
しっかし、この破滅は……予想外でした。
天高く馬肥ゆる秋・大根もふっくりと太っていましたよ。

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