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2014年4月13日 (日)

みたいな。

前回までのあらすじ:
 日ごろの行いか、誰かの呪いか、
 またまた入院してしまった黒羊男爵。
 しかしその病院は何度も入院したホームグラウンド、
 斎藤君という、ツーカーの仲間もいる病院だった。
 はたして、男爵は婦長の言う通り、
 おとなしく病人をやっているだろうか。
 今週の男爵の様子を見てみよう!

どうも、こんにちは、黒羊男爵です。
ええ、入院中です。
病人やってます。

が。
ひたすら病人だけやっててもツマラナイよね!
だって、病人歴が長いから、
病人だけに集中してるとネガティブになってしまう。
そんなときこそ、非日常を創造して楽しまないとね!
え、病人は寝てろって?
そんなこと言ったら、オレは一生 寝たきりだよ!

てなわけで、先週の木曜日、
わたしと斎藤君はまたヤッちまいました。

先週の日曜日:
斎藤君:「男爵、ホントに大丈夫なわけ?」
わたし:「大丈夫、大丈夫。発注はもう済んでて、
     ウチに水曜日には届くから。
     執事にもって来させるよ」
斎藤君:「執事さん、協力してくれるの?」
わたし:「心から協力しないだろうけど、
     A●Bの握手券で買収したから、大丈夫」
斎藤君:「あの堅そうなひとがAK●……」
わたし:「人間だれしも、弱点はあるってこと。
     それさえつかめばこっちのもんだよ、
     はっはっはっは」
斎藤君:「合言葉は?」
わたし:「みたいな!」
斎藤君:「みたいな!」

先週の水曜日:
斎藤君「男爵、そろそろいいかな?」
わたし:「ええと、壺にポットに脚立、扇……。
     今日アレも来るはずだから、
     バッチリだね!
     明日 実行しよう」
斎藤君:「合言葉は?」
わたし:「みたいな!」
斎藤君:「みたいな!」

そして先週の木曜日、
ついに実行当日となりました。
わたしがいる大部屋が会場となります。
まず部屋のドアを締め切り、
六人いる同室の方にはすべて
ベッド回りの個別カーテンを閉めてもらいました。
部屋の中央でする作業が見えないようにです。

わたしと斎藤君は大部屋の中央に
執事がこっそりと運んできた物資を配置します。
斎藤君:「男爵、脚立はこのへん?」
わたし:「ああ、いいんじゃないかな。
     斎藤君、お湯は?」
斎藤君:「さっき沸いてたよ。早い、さすがティフ●ール」
わたし:「これ、ちゃんと中央に敷けてる?」
斎藤君:「もうちょい左かな? 壺はいい感じ」
わたし:「よっしゃ、じゃあカーテンを開けよう」
斎藤君:「合言葉は?」
わたし:「みたいな!」
斎藤君:「みたいな!」

「いいですかー、
まだ目を開けないで下さいよー。
カーテンだけ開きますからねー」
私と斎藤君は同部屋の六人のベッドカーテンを
開けて回ります。
ベッドの上にはおじさんやらおじいさんやらが
律儀に言われたとおりに目をつぶって
横たわっています。
これからなにが始まるのかは
まったく聞かされていません。

よっしゃ、準備完了!

斎藤君:「それでは合言葉を言ってください!」
部屋のみんな:「みたいな?」
わたし:「目を開けてください!」
部屋のみんな:「おおおおおおお!」

合図で目を開けたみんなは、
目にした光景にどよめきました。

大部屋の中央に緋毛氈(ひもうせん。赤いじゅうたんみたいなの)が
一面に敷かれています。
その上には信楽焼の大きな壺が置かれ、
壺には、いまがさかりと満開の花をつけた
桜の枝が八本 活けられていました。
設置された脚立にのぼった斎藤君が
大きな緋色の扇で桜をあおぐと、
桜の花びらが、はらはらと緋毛氈に舞い落ちます。

「すごい、本物の桜だ!」
同部屋のみんなは思わず起き上がって、
まじまじとその光景を見つめます。
わたしは号令をかけます。
「さ、起きられるひとはもっと近くへどうぞ。
触ってもいいし、じっくり見てください。
合言葉は?」
同部屋のみんな:「みたいな!」
みんなで桜を囲んで車座になります。
わたしはテ●ファールで沸かしたお湯で
桜茶(塩漬けの桜にお湯を注いだもの)を作り、
配って回ります。
塩分が気になる方には、
わたしがたてたお抹茶を配ります。

みんなは手の内の井戸茶碗の桜茶の桜を見て、
頭上の桜を眺めて、
ため息をつきました。
「きれいだなあ」
「まさか、本物の桜をこんな近くで見られるとは思わなかった」
「桜、遠いもんなあ。本当に何年ぶりだろう」
中には涙ぐんでいる方もいました。
病人生活の楽しみといえば、お見舞いとテレビだけ。
桜を見るのも、テレビの中継か、
窓の外の遠い桜を眺めるだけ。
桜吹雪なんて、もう何年も経験していません。
同部屋の仲間の中にはご家族がすでに亡く、
お見舞いすらほとんどないという方もいます。

「まさか桜を見られるとは思わなかった。
ありがとう、男爵君、斎藤君」
誰ともなく感謝の言葉と拍手が沸き上がりました。
わたしと斎藤君は首を振ります。
斎藤君:「いいえ、お礼なら、竹内さん(仮名)に言ってください」
わたし:「今回のプロジェクト『みたいな』は竹内さんのおかげで
     始動しましたから」
みんな:「え?」
竹内さん:「え、オレ?」
みんなの視線が竹内さんに集まります。

わたしは説明しました。
「今回の『みたいな』プロジェクトのアイデアは
竹内さんからです。
竹内さん、この前、言っていたじゃないですか。
「桜がみたいな」って。
だから、斎藤君とわたしで魔法をかけました。
竹内さんのあの一言がなかったら、
いまのこの光景はありませんよ」
竹内さんは慢性病で入院歴が長く、
またご家族が亡くなっているので、
お見舞いも差し入れもほとんどありません。
わたしと斎藤君は竹内さんの一言を
かなえるべく、今回 奮闘したのでした。

「ありがとう、ありがとう」
竹内さんは涙を浮かべて、
わたしと斎藤君に頭を下げました。
わたしたちはあわてて手を振ります。
わたし:「竹内さん、わたしたちは便乗しただけなので、
     むしろお礼を言うのはこっちですよ」
斎藤君:「そうですよ、楽しかったですよ」
竹内さん:「本当にありがとう」
みんな:「ありがとう」
わたし:「いやもう、お礼なんてお互い様ですよ。
     同じ病人仲間じゃないですか。
     さ、そんなことより、桜を楽しみましょう。
     屋外が遠いんなら、屋外を室内に入れればいいんですよ。
     合言葉は?」
みんな:「みたいな!」

こうして、男爵&斎藤君プロデュースの
プロジェクト『みたいな』は無事完了しました。
正確にいうと、この後、
どんちゃん騒ぎになって、
婦長が鬼の形相で乗り込んできて(二回目)
わたしと斎藤君はまたリノリウムの床で
正座させられて、説教を食らいました。

婦長は半ば呆れてました。
婦長:「よくもまあ、室内で花見なんて思いつきますね」
わたしと斎藤君:「いやあ、それほどでも」
婦長:「褒めてない!」(拳骨がわたしたちの頭に落ちる) 
日常の中の非日常って大切だよね。
まして病気なんてネガティブなもの抱えていたら、
心の持ちようで人生が変わってしまいます。
たまには はめを外してもいいんじゃないの。
桜の季節くらいはさ。


以上、ホラ九割程度で。
まあ、仮名が多いし、そもそも病院名も伏せてるから、
ホラが多くなります。
でも、お花見はしたよ。
桜っていいよね。
それでは最後に合言葉は?
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「みたいな」はあえて平仮名です。
「見たいな」と「~みたいな」(花見みたいな)(女子高生風)を
かけてます。
竹内さんは桜の下で笑ってました。
それだけでわたしと斎藤君は満足です。

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