« みたいな。 | トップページ | 美しいこころ。 »

2014年4月20日 (日)

オレたちのこと。

前回までのあらすじ:
 毎度のことながら、持病が悪化して入院した男爵。
 ホームグラウンドのいつもの病院で
 婦長に怒られたり、
 看護士さんに怒られたり、
 執事に怒られたり、という日々。
 つまり一言で言えば、
 「入院してるけど、ろくでなしだよ!」ってことです。
 ろくでなしは、どこへ行ってもろくでなしだね!

この病院での病人仲間に
「斎藤君」という青年がいます。
初回の入院時に同じ部屋だった彼は、
初めての挨拶から男爵と意気投合、
医療法人●●会●●病院の伝説、
「男爵&斎藤君」コンビが結成されました。

オレがたまに入院する(メインは自宅療養)の後衛型なら、
斎藤君は常に入院している戦地常駐・前衛型病人です。
オレより入院歴は長いけど、
オレと同じくらいユーモアのセンスがある斎藤君。
いままで二人で、
「(病室での)真昼のパーリー」
「(夜中の病室での)ゾンビゴッコ」
「(病室内での)お花見」
などを演出してきました。
そのたんびに、婦長には物凄い量の説教されましたが、
斎藤君も俺も こりません。
なにせ灰色の病人生活、
それを明るくするには、
「ユーモアと非日常が必要だよね!」。
そんな楽しい相棒の斎藤君について、
オレの知っていることを語ってみましょう。

斎藤君の病気は不治の慢性病です。
珍しい病気(厚労省指定)なので、
よく効く決定的な薬とか、
治療法とかはまだ確立されていません。
対症療法的に、点滴や投薬でその場をしのぐ状況です。
だから彼の後ろには常に点滴棒(正式名称不明)が
あります。
手首には点滴用の穴が開けられています。
体型は痩せ型で頬が少しこけています。
ですが彼の眼にはいつも明るい光があり、
口元には笑いじわがあります。
笑うことが大好きで、冗談ばかり言います。
彼が来ると場が明るくなる。
そんなひとです。

彼がいると、オレのホラはとめどなく流れます。
ある日、ナースステーション前にて。
オレ:「ここさ、二階に開かずの扉があるでしょ」
斎藤:「あるねえ。それで?」
オレ:「昨日どうしても我慢できなくてね、開けちゃった」
斎藤:「へえ! どこにつながってたの?」
オレ:「驚くなよ」
斎藤:「なになに?」
オレ:「なんと、院長室につながってたんだよ!」
斎藤:「院長室に?!」
オレ:「せっかくだからさ、院長の椅子に座ってみて、で、
    『怪盗バロン参上。大切なものをいただいた』って紙を置いてきたよ」
斎藤:「ああ、それでか! やっとわかったよ」
オレ:「そうなんだよ」
斎藤:「だから院長は入れ歯をなくしていたんだね!」
オレ:「オレが盗んだのは入れ歯じゃないよ、カツラだよ!」
斎藤:「てことは、入れ歯はあのひとが……?」
オレ:「信じられないよね」
斎藤:「まさか婦長さんがコレクションしていたなんて……!」
オレ:「そんな習癖があの婦長さんに?!」
婦長:「――もういいから、二人ともそこに正座して歯を食いしばれ」

こんな感じで、オレと斎藤君がそろうと、
話がどんどん飛躍して膨らんで
制御不能になっていきます。
必然的に拳骨をもらう機会が増え、
正座の回数も増えていきます。

別のある日、ナースステーション前にて。
斎藤:「オレ、ついに告知されちゃったよ」
オレ:「ああ、やっぱりこの日が来てしまったか……」
斎藤:「前々からそうじゃないかなとは思っていたんだけど」
オレ:「まあ、ね」
斎藤:「ビックリだよね」
オレ:「ホントに」
斎藤:「オレが魔王の生まれ変わりだったなんて……!」
オレ:「オレは勇者の生まれ変わりだから、
     オレたちは戦わねばならない宿命を背負っていたんだね」
斎藤:「友よ、できれば永遠に友でいたかった……!」
オレ:「オレもだよ、魔王。だが宿命には逆らえない」
斎藤:「こうしてオレたちの戦いが始まる……!」
婦長:「――二人とも、脳のレントゲンを撮ってもらいましょうか?」

なんで毎回ナースステーション前かというと、
オレたちは観衆(ギャラリー)を欲しているからです。
だから毎回 婦長に殴られてますが、
別にマゾではありません。
婦長の背後で机に突っ伏して笑ってる看護士さんや、
あっけにとられて茫然としている見舞客のために
オレたちは真顔でホラを吹きまくります。
こうして日々 伝説は作られていきます。
オレが退院するまで伝説は続きます。


以上、ホラ九割程度で。
斎藤君は自分が完治して退院する日が
永遠に来ないことを知っています。
自分が病院で死ぬことを知っています。
「でもさ」と彼は言います。
「だからどうしたって言うんだ?
人間はみんな誰だって死ぬんだ。
オレも同じだよ。人間だよ」
彼は生きることを、けっしてあきらめません。
オレは彼の生きざまが大好きです。
彼のように生きて、彼のように死ねたら、と思います。
ブログランキング参加中にて
お気に召したら、下記をクリック。
にほんブログ村 その他日記ブログ たわごとへ
にほんブログ村

« みたいな。 | トップページ | 美しいこころ。 »

「医療法人●●会●●病院の伝説の二人組」」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/568051/59502377

この記事へのトラックバック一覧です: オレたちのこと。:

« みたいな。 | トップページ | 美しいこころ。 »