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2014年2月16日 (日)

バレンタイン遁走曲。

前回までのあらすじ:
 男爵の近所の友達・とある高校生男子。
 彼は来るバレンタインに際し、
 「なにがなんでも奏ちゃん(仮名)のチョコが欲しい」という
 欲望を持っていた。
 相談を受けた男爵は、このまま放置すると
 「欲しい」をこじらせて犯罪に走る可能性もあると判断、
 それは困るので(いろいろな意味で。マンガも貸してるし)
 「チョコを絶対ゲットするぜ」計画のプロデューサーとなって、
 活動することになった。
 果たして男爵は奏ちゃんのチョコをゲットできるのだろうか……?!

「必要なものがある」
とわたしは高校生男子に命じました。
「一つ目:
 三日以内に、奏ちゃんが絶対の信頼を寄せる女友達を男爵に紹介すること。
 二つ目:
 その友達とオレが居合わせたときに
 オレに「どこへ行くつもりだったのか」と訊くこと。
 三つ目:
 それとなく近所の神社の場所を女友達に伝えること だ」
「そんなことをしてどうすんの? その子からチョコもらうの?」
「君を基準に物事を考えないように。
いいか、勝利のためには、敵を知り、己を知る必要がある。
とにかく、奏ちゃんの女友達の信頼は必要だから、
どうにかするように。
それができなきゃ、チョコもない」
「オレ、頑張るよ!」
高校生男子は熱く決意。
俺は俺で、自宅に戻り、色紙を手にして仕込みに入りました。
オーナー、神主様、ちょっと名前と敷地を借りちゃうけど、
ごめんね? 犯罪よりはいいと思うからゆるしてね?

こうして二日後、男爵はたまたま通りかかった高校生男子の家の前で
「あ、このひとだよ、オレに 3月のライオン 貸してくれたの」
と奏ちゃんの友達・C子ちゃんを紹介されました。
幸か不幸か、俺は見た目はいたって普通なので
「どうもこんにちは、黒羊男爵です。
3月のライオン はお勧めです。
名作は誰が読んでも名作だからね。
でも俺、本の方がもっと読むけどね」
と挨拶し、C子ちゃんと知り合いました。
C子ちゃんは初め、わたしが大人なので、
ちょっと警戒していましたが、
オレの軽快なトークに笑い始め、
友達になれました。

そろそろアレを言わんかい。
わたしの鋭い視線を受けて、高校生男子は
「そ、そういえば男爵、どこへ行くつもりだったの?
本屋とは逆方向だよね」
と話を振りました。
こいつ、本当に演技が駄目だな。
だがまあいいか。
「いや、本屋じゃなくてオーナーのところへ行くつもりだったんだよ」
「オーナーって?」
「神社だよ、あの神社。
ほら、神様信じてるかって言われると、ちょっと疑問じゃん?
だから俺は神様じゃなくて、あの氏神様を
オレの『オーナー』って呼んでるんだよ。
そのほうが親しみもてるだろ」
「ああ、なるほど」
「へー、オーナーかあ」
高校生男子とC子ちゃんは納得します。
俺はさらに続けます。
「もっとも、最近はちょっと行きづらいんだけどね。
女子が多くて。
有名になっちゃったからかなあ」
「え、有名って何の?」
「縁結びだよ。
現在 彼氏募集中 って女の子が
紙に名前を書いて、
敷地のハズレの梅の木の枝に結んでおくと
いいご縁に恵まれるっていう噂があってね。
ホラ、そういう縁結びって好きな相手の名前を
書かなきゃならないことが多いだろ。
でもあの神社なら、自分の名前を書くだけで
神様が理想の相手を・運命の相手を探してくれるんだって。
だから女子遭遇率が高くてさ。
ちょっと行きづらい。
まあ、一ヶ月に一回の習慣だから、お参りには行くけどね。
じゃあ、またね」
俺はそう言って二人と別れました。

そして三十分後、俺は高校生男子の部屋にいました。
「どうだ、ちゃんと神社の場所を教えたか」
「うん、聞かれたから教えたよ。
でも、そんでどうするの?」
「女子は群れたがる習性がある。
おそらくあのC子ちゃんから奏ちゃんに、
『ちょっと変わった・でもお願いしやすい』神社のことが
伝わるだろう」
「うん、そうだね」
「すると、C子ちゃんと奏ちゃんは神社へ行くだろう」
「行くだろうね」
「で、ミッション・コンプリートだ」
「へ? どういうこと?」
「まあ、バレンタインを楽しみしているといい」
俺はそう言って、帰宅しました。

仕込みはすでに済んでます。
さらに二日後(これで計五日が経過)、
わたしは神社へ行きました。
「おお、壮観だな」
噂っていうのは、どういう風に拡散していくんだろうね。
俺が流した「縁結びの梅の木」には
色紙がたくさん結び付けられていました。
「もっとも、ほとんどは俺が書いたやつだけどな」
そうです、俺は噂をC子ちゃんに流す前に、
神社の敷地で一番 目立たない隅っこの梅の木に、
自作の色紙祈願紙を百枚程度、結んでおきました。
つまり、サクラです。自作自演です。
オーナー、神主様、本当に申し訳ありません。
ご協力ありがとうございます。
わたしは色紙を全部回収して帰宅しました。
当然、ほとんどはわたしが色々に筆跡を変えて
適当に描いた色紙でしたが、
中に、
「おお、あった、あった」
奏ちゃんとC子ちゃんの祈願紙もありました。
「奏」と綺麗な文字で名前が書いてありました。
よっしゃ、勝った!

さてここで、みなさまにひとつ
ご理解いただきたいことがあります。
まず、高校生男子は
「絶対に奏ちゃんのチョコが欲しい、
義理でも本命でも何でもかまわねえ!」という
とても強い願望を持ってます。
このまま放置すると危険です。奏ちゃんが。
一方、奏ちゃんは現在彼氏がいませんが、
高校生男子のことをどう思っているかわかりません。
しかし高校生男子の話を聞くかぎり、
特に高校生男子を異性として意識していないようです。
つまり自然の流れに任せると、奏ちゃんは
高校生男子には、バレンタインに
「義理も本命も、チロルチョコもくれない」でしょう。
高校生男子が思い切って告白すると言う手もありますが、
それはあまりにもリスキーです。
だって、もし奏ちゃんが高校生男子のことが好きだったら、
とっくにうまくいってるはずだもんね。
そうなってないってことは、見込みがないってことだよ。
見込みがないけど、チョコを入手しないと、
罪のない女子が危険にさらされる。
幸い、高校生男子は「チョコなら、なんでもかまわねえ」と断言し、
もらったチョコは食べずに手をつけずに「神棚にまつる」と言っている。
てことは、

アレをこうして、こうすれば彼も彼女もうまくいくってことで、

ということで、
俺はバレンタイン当日に、
高校生男子に、「奏ちゃんのチョコ」を手渡しました。
「うわ、マジで?! マジで奏ちゃんのチョコ?」
「間違いないよ」
わたしは断言し、
「これを一生の宝物にするといい。
大切にしろよ。
けど、もう思い出にしろ。
いつか君にも、初恋の奏ちゃん以上に好きになれる
運命の人がきっとでてくるから、
このチョコは青春の欠片としてそのまま取っておけ」
と言いました。
高校生男子はコクコクとうなずいて、
チョコの入った包みを震える手で抱きしめると、
大切そうに、神棚に置きました。
「感動した。大事にする」
高校生男子が言ったので、
わたしは「一生恩に着ろよ。感謝しろ」と答えて、
高校生男子の家から 全速力で逃げ帰りました。

さて、みなさま、ここまで読んで、
男爵の錬金術がおわかりになりましたか?
恵まれない男子にどうやってチョコを提供したのか、
おわかりになりましたか?
え、わからない?
では、大ヒントを出します。
下記です。








Gift

はい、チョコレートケーキですね。
俺が焼きました。

つまり、そういうことだったわけです。

「奏ちゃんのチョコ」=
「奏ちゃんの名前入りカード」+「男爵製のチョコ」 です。

繰り返しますが、高校生男子は
「義理でも本命でも、なんでもかまわねえ!」と言っていました。
このカード=奏ちゃんが「運命の彼氏ほしいな!」と思って、
梅の木に結んだ色紙 には、
彼女の恋心がこもっているわけです。
つまり、これが高校生男子が欲しくて欲しくてたまらないものですね。
チョコは「なんでもかまわねえ」わけです。
「奏」という署名があれば、=彼女のチョコ と言えないこともありません。
「なんでもかまわない」「いえないこともない」 というところがミソです。
今回俺は
奏ちゃんには
「神社の不思議な『縁結びの木』」
というホラを吹き、
高校生男子には
「『部分的に彼女のチョコ』=全部彼女のチョコ」
というホラを吹いたわけです。
フィフティ・フィフティということで、
両者 痛みわけっつーことですね。

別にチョコレートケーキそのものに署名があるわけじゃなし、
また、高校生男子は絶対に包みを開けません。
なんつっても、神棚行きですから。
この程度のホラで、乙女のピンチと男子の欲望を満たせるんなら、
いいんじゃないですか。
だって、高校生男子を放置しておいて
欲望をこじらせたほうが大変でしょ。
前にもちょっと書いたけど、
「チョコ欲しい!」が「パンツ欲しい!」になったら、
通報するしかなくて、彼の人生と彼女の人生が狂います。
だったら、部分的にホラでできたバレンタインチョコでも
いいんじゃないの。

友人にホラを吹くことが道義的に、いいかどうかは別として。
それはオレの良心の問題ですね。




以上、ホラ七割五分くらいで。
みなさんは初恋の人からチョコをもらったことがありますか?
わたしはないです。初恋がまだなんで。
でも、初恋は大切な思い出にして、
大事にしていきたいですね。
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どうですか、オレのチョコレートケーキ。
よくできてるでしょ。マジでうまいですよ。
俺は今年のバレンタイン、自分で自分に
「よく頑張った!」とケーキをあげました。
そこ、「わー、寂しい」とか言わないように!
おいしいお茶とお菓子と本があれば、
俺は幸せです。
誰が作ったお菓子でも。

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