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2013年7月14日 (日)

雷雲の作り方。

今日も暑いですね。
先週の負け犬状態からちょっとだけ浮上した男爵です。
まあ今日もなんとか生きてるから、笑っていこうぜ。
そうしようぜ。

今日みたいに暑い日は夕立に注意です。
日本には夕立を作る妖怪がいます。
あめふらし、と呼ばれる妖怪です。
海にも同じ名前のアメフラシという生物がいますが、
あれとは別物です。
あめふらしは、前髪がぞろっと長い、
いまいち さえない女性みたいな妖怪です。
狭い湿った場所を好むので、
トイレにも住んでいることがあり、
「花子さん」と呼ばれることもあるようです。
が、本人いわく、それは芸名のようなもので、
本名はあくまで「あめふらし」であり、
「わたしが本家本元のあめふらし」とのことでした。

それが今日、うちに来ました。
メイドがトイレ掃除と換気を何日かさぼっていたらしく
(トイレはクーラーがきかなくて暑いから)
今日、わたしが湿気のこもったトイレのドアを開けたら、
ばったり 目の前にあめふらしがいました。

「び、びっくりさせるなよ」
わたしは言いました。
「なんでこんなところにいるんだよ。
遊びにきたんなら、ちゃんと玄関から来いよ」
「遊びじゃないわ。わたしの仕事だもの」
あめふらしは陰気に答えました。
「ここのトイレ、湿っていてこもっていて
いい感じなのよ。
わたし、トイレに呼ばれてきたの」
ひえええ、トイレ掃除さぼっただけで来たんかい。
あとでメイドに説教しないと。
わたしはとりあえずあめふらしにトイレから出るように言いました。
が。
「いやよ、ここのトイレ、居心地いいんだもの」
あめふらしは便器に座り込んで言いました。
「おまえ、客なら客らしくしろよ。
男爵家は客をトイレに通す家だと思われたらどうすんだ。
麦茶くらい出してやるから、出ろよ」
「いやよ」
あめふらしは天井に貼りつきます。
「おまえなあ」
わたしは困惑しました。
基本的に妖怪って流されやすいタイプが多くて、
説得するとけっこう素直に言うことを聞いてくれるんですが、
あめふらしはなかなか話を聞いてくれません。
わたしは仕方なく、奥の手を出しました。
「これからわたしがトイレを掃除するから出ろ」
「なんですって、こんなにいいトイレなのに」
じめじめしてるわー、と嬉しそうに言うあめふらし。
わたしはもう決心して、換気扇を回しました。
「なんてことすんのよ!」
「その台詞はオレの台詞だ。
わかったら、トイレを出ろ」
「いやよ」
「じゃあもう、奥の手だな。強硬手段だ」
わたしはトイレブラシを手にすると
便器に洗剤をまき、トイレ掃除をはじめした。

「いやあああ、清潔になっていくぅ」
あめふらしは絶叫しました。
どうやら本当に嫌らしい。
そのとき、あめふらしの目に涙が浮かびました。
同時に、
「うお、なんだ、何の音だ」
どん、ごろごろごろ という音が外から響いてきました。
トイレの窓から見ると、
空が真っ黒になっており、
雷雲が発生していました。
「だめよ、湿度をあげるのよ!」
あめふらしは必死に泣きながら抵抗します。
雨が降り始めました。
あめふらしが泣けば泣くほど、
滝のような雨が降ります。
こ、こいつは……。
最近 日本で発生していたゲリラ豪雨の正体は
こいつだったのか。
あめふらし、という名前を知っていたが、
実際に雨を降らすところは はじめて見た。
まさか、雷雲=あめふらしの涙=トイレ掃除だとは
思わなかった。
わたしは内心 あめふらしの力にかなりビビりましたが、
トイレ掃除を続行しました。

洗剤で便器を綺麗にして、
窓と壁を洗浄用のペーパータオルで拭いて、
床もきちんと磨きました。
最後に底をぬぐったトイレ用のスリッパを置いて、
「完了だな」
汗をぬぐいました。
あめふらしはもうボロボロに泣いていました。
雨はざあざあと降っていました。

「ひどい、快適なトイレだったのに」
もういられない、とあめふらしがようやくトイレから出てきました。
わたしはあめふらしのひやりと冷たい腕を握って、
客間へ導きます。
「ほら、ちゃんと歩いて。麦茶出してやるから」
「……お菓子もなきゃイヤ」
「かっぱ●びせん、出してやるよ」
「いやあ、湿ったお菓子じゃなきゃいやあ」
「わかったよ、上生菓子を出してやるよ」
「それならいいわ」
あめふらしの涙がおさまりました。
外を見ると、雨は小康状態になっていました。

それから、あめふらしは冷水筒二本分の麦茶を飲み、
わたしの秘蔵の上生菓子を全部平らげ、
「トイレがきれいになっちゃったし、しかたないから、もう行くわ」
と言いました。
「次のアテはあんの?」
とわたしが尋ねると、
あめふらしはにやりと細く口をあけて笑いました。
「ここだけの話、●●町の森●さんの家のトイレ、
けっこうヤバイわよ」
「え、マジで? まめな人だと思ってたのに」
「人は見かけによらないわよ」
「妖怪もだろ」
わたしはこの目の前の陰気な女性みたいなあめふらしが
大豪雨を引き起こしたことを思い出して言いました。
あめふらしはもう一度、にやりと笑い、
「局地的に雨が降っていたら、その下にわたしがいるわ」
と言いました。
ええー、そんな豆情報いらない。
「おまえ、気象庁の職員になれよ。
もしくは砂漠へ行け」
「わたしは湿ったところが好きなの」
あめふらしは消えていきました。
●●町の森●さんの家のトイレへ行ったのでしょう。

もしあなたがトイレ掃除をさぼっていたら、
そしてトイレが適度に湿ってしまったら、
あめふらしがやってくる可能性があります。
あいつは掃除されるまでトイレに居座り、
掃除されると涙とともに豪雨を呼んで去っていきます。
会わないに こしたことがない妖怪です。
でも、根は悪いやつじゃないです。
だからもし現れたら、麦茶と生菓子を与えてください。
きっと誰の家のトイレがヤバイか教えてくれます。
(そんな豆情報いらないけど(二回目))
それからトイレを掃除してください。





以上、ホラ九割程度で。
トイレ掃除なんてめんどくせえ、と思っている方は
要注意です。
トイレには妖怪と神様が住んでいます。
きれいにしないとね。
でもめんどくせえよな。
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遅かれ早かれ、あなたの家の真上で局地的豪雨が発生するでしょう。

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コメント

昨日と今日、激しいゲリラ豪雨でした。
トイレは湿ったままですが。
そろそろ彼女が来るでしょう。
てか、気付かないだけで、
すでにいるのか?
アメフラシ困るなー。

jun様、こんにちは。
ご自宅のトイレは快適に湿っておりますか?
それはマズイです。
もしかしたらおっしゃられるとおり、
すでにあめふらしがいる可能性もあります。
でもトイレ掃除って面倒くさいですよね。
わたしも面倒くさいから人任せにしていたら、
あめふらしが来ました。来なくてもいいのに。
この時期のトイレと豪雨は要注意です。
コメント、ありがとうございました!

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