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2013年3月24日 (日)

桜下の尋ね人。

今日は桜を見に公園まで行きました。
天気はイマイチでしたが、花は九分咲きで美しかったです。
とっておきのお取り寄せ弁当を手にベンチに座り、
「いいねえ」と花を堪能しながら食べようとしたら、
「ワン!」
見知らぬ白い小型犬が話しかけてきました。
わたしは当然の帰結として、
「君、誰?」と尋ねます。
「ワン」
どうやら犬は、名前は言えないが、腹が空いている、
なにかよこせと言っているようです。
駄目です。
人間用の食物は塩分や糖分、油分が多いので、
他の生物にはNGの場合もあります。
この松花堂弁当ですら、
犬にとって致命的な食材を使っているかもしれません。
あげることはできません。
「ご飯をあげることはできない。
他になにかできることがあれば、してあげるけど」
わたしが真面目に答えると、
犬は尻尾をふりふりして「ワン!」と言いました。
「あー、ご主人を探してる? ってこと?
首輪があるから飼い犬だってことはわかるけど、
リードがついてないもんね、君。
で、ご主人はどんな人? どこに住んでるの?」
「ワン」
「匂いで言われてもわかんないよー」
わたしはから揚げを食べながら、犬にツッコミを入れます。
犬はちょっと首をかしげて、それから元気に、
「ワンワン!」と言いました。
「え、片っ端からあたればいいって?
ちょっと待ってよ、今日は桜見物で公園の人、多いじゃない。
全員に当たるのは無理でしょ。
もうちょっと絞ろうよ」
「ワン」
「わかればいいよ」
わたしは弁当を食べ終わると、
ため息をついて立ち上がりました。
なんてこった、ゆっくり花見物する予定が
尋ね人することになるとは。
おともにはサルとキジとイヌの代わりに、
イヌが一匹。

最初に当たったのは家族連れでした。
公園にイヌを連れてきたということは、
散歩か、ドライブに違いない。
だったら家族連れの可能性が高い。
ということで、レジャーシートを広げている家族連れに
近づいては、
「お宅のイヌじゃありません? え、違う?
失礼しました」
と頭を下げることの繰り返し。
途中で正直 イヤになり、
「駄目だ、この方法は間違っている」と
ベンチに座ってイヌに説教しました。
「もうちょっと考えて行動しないと、
飼い主見つからないよ。
アイデア出そうよ」
「ワン」
「子ども? 子どもなら知ってるかも?」
次の策として、今度は子どもを捕まえては
「このイヌ知らない?」と聞きまくりました。
すると
「ちょっとウチの子に何の用ですか」
缶ビール片手にお父さんが登場。
「いや、ちょっと人を探してまして、
あやしいものじゃありません。
ええ本当に、すんませんっした!」
あわててわたしは逃走。
子どもも駄目です。

「困ったなあ。わたしはこのあと予定があってだね、
あと十分くらいしか君には付き合えないんだよ」
わたしは公園の時計を確認してイヌに言います。
「ぬらりひょんが桜餅持ってくるって約束してるから、
家に帰らないといけない。
それまでに君の飼い主を探さないと」
「ワン、ワン!」
「今度はお年寄りに聞け?
あーもう、ちょっとはヒントとかないの?
さっきからわたしは不審人物だよ。
もう仕方ないから、付き合うけど」
てなわけで、わたしはイヌと一緒に
公園のベンチで光合成中のお年寄りに近づいては、
「このイヌ、知りません? あ、知らない?
失礼しましたーっ」
何が悲しゅうて、赤の他人(イヌ)のために
ここまでせにゃならんのだ。
オレって本当にいいやつ。
誰も言ってくれないから、自分で言うけど!

でも残念ながら、タイムリミットです。
わたしは帰宅しなければなりません。
「大丈夫かなあ」
わたしは不安になりました。
イヌは保健所に連れていかれたら、
ほぼ殺されてしまいます。
飼い主を探してやらないと、イヌの生命にかかわります。
でも、家族連れNG、子どもNG、お年寄りNGときては、
もう公園には誰もいません。
そうこうしているうちにイヌと別れる時間になりました。

「じゃあ、保健所の人には気をつけるんだぞ。
あと誰かに噛み付いたりするなよ、それ死亡フラグだから。
飼い主さんに会うまでは、
誰でもいいからひっついていて、
飼い犬のふりをするんだ。
元気でな」
わたしはイヌの頭をはじめて撫でました。
そして気づきました。



「おまえ、首輪に名札がついてるじゃねえか!」



……結論から先に言いますと、
桜餅はぬらりひょんからではなく、
イヌの飼い主からもらいました。
はい、携帯で連絡したら、
飼い主は涙目になって公園に現れて、
「シロちゃーん」とイヌを抱きしめました。
涙の再会になるくらいなら、
はじめからイヌを脱走させるな。
わたしは飼い主に説教し、
(なんつっても今年の花見タイムを台無しにされましたからね)
代わりに桜餅をもらって、帰宅しました。

家にやってきたぬらりひょんは
わたしがすでに桜餅を持っているのを見て、笑い、
事の次第を聞いてまた笑いました。
「桜の下で尋ね人なんて風流じゃないか」
「そんないいもんじゃなかったよ。余計な汗をかいた」
「でもまあ、おかげで塩味がきいたおいしい桜餅だよ」
ぬらりひょんは緑茶をすすって感想を述べました。

桜は来週末までもちますかね。
今度こそ、安心して見に行きたいんですけど。
もう家族連れも、子どもも、お年よりもたくさんです。
ひとりでいいから、じっくりとまったりと桜を堪能したいです。
そんなことを思った、今日の花見でした。




以上 ホラ八割程度で。
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コメント

「名札ついてるじゃねえか」
のところで、声出して笑っちゃいました。
飼い主見つかってよかったですね。

その後のぬらりひょんとの団欒。
ほんのりしました。

しかし、ジェラシーです。
ぬらりひょん、「その内、行くからさ―」
と言いながら、全然来ません。

ゴ―ヤチップスが気に入らないのかもしれません。

jun様、こんばんは。
え、ぬらりひょんが「ぬらりくらり」してますか。
それはたぶん、やはりゴーヤのせいではないかと……。
やつは甘党でして(なぜか妖怪は甘党が多い)
ニガいのが駄目なのではないかと思われます。
今の季節でしたら、桜餅、草もち、
五月前でしたら、柏餅を月夜の窓辺にセッティングしておくと、
おもしろいように釣れるはずです。
お試しください。
コメント、ありがとうございました(敬礼)!

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