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2013年2月10日 (日)

露流しがやってきた。

昨日、我が家に露流しがやって来ました。
え、露流しってなにか知らない?
知らないですか?
けっこうメジャーだと思ってたんだけどな。
「露流し」ってのは、妖怪です。
見た目は空色のゾウみたいな感じです。
牙はないですけどね。
好きなものは大福とみたらしあん。
そうです、露流しは和食党の妖怪なんです。

で、露流しは肺炎+肋間神経痛のあわせ技に苦しむ
わたしのところへお見舞いにやってきて、
団子と引き換えに吸い取ってくれました。
はい、もうそりゃあきれいさっぱりと、
吸い取ってくれました。
まあ、露流しはプロですしね。
仕事はきっちりやりますよ。

あ、露流しの仕事がなんなのか、知らない?
おっかしいなあ、本当にメジャーな妖怪なんだけどな。
知りませんか? じゃあ仕方ない、説明します。
露流しは、「涙を吸い取る」妖怪です。
獏が「悪夢を食べる」ように、
露流しはいろんな涙を吸い取って、もってく妖怪なんです。
だから、病床で咳き込みながら涙目になってたわたしから、
涙を吸い取っていきました。
病気は治らないけど、ちょっと心が軽くなりました。
病気のときってどうしてもひがみっぽくなるけど、
そこを「そんな悪いことばっかりじゃねえよな」と思えるように、
涙を吸い取ってくれました。

それから、露流しは団子を食べながら、
最近の仕事について語りました。
親に大好きな本を「勉強に役立たないから」と捨てられた女の子の涙、
飼い犬が事故で死んでしまった男の子とその家族の涙、
上司に恵まれず、ストレスをためながら深夜残業しているサラリーマンの涙、
孫を亡くしたおばあちゃんの涙、
娘が嫁にいってしまったお父さんの涙、
ようやく試験に合格して大学が決まった浪人生の涙、
いろんな涙を、吸い取って回ったそうです。
「悲しい涙、苦しい涙は甘い。
嬉しい涙はからいし、にがい」
甘党の露流しは言いました。
「そうなの? 逆なのかと思ってた。
苦しい涙のほうがまずそうじゃない?」
「そんなことはないんだよ」
露流しは笑って、緑茶をすすりました。
「君は涙を吸い取るけど、その涙の理由までとっていくのかい?」
わたしが尋ねると、露流しは首を振りました。
「そんなことはしてはいけないよ。
涙の理由は、その人を作る部品のひとつ、
大切なものだから。
ボクが吸い取るのは涙の重さだけ。
その夜、そのひとが眠れるようにするだけさ」
「それだけなのかい?」
「それだけだよ。ボクがいる理由はそれで十分なんだよ」
ふうん、とわたしはつぶやいて、胸をさすりました。
たしかに露流しが吸い取ってくれた後は
ちょっとユーモアが戻ってきた感じがする。
痛みは減らないけど。

露流しは言います。
「ぬらりひょんと一反木綿が
君が最近、家から出ないって心配していたよ」
「ああ、病気だからね」
「でも、だからって世界まで狭くしてはいけないよ」
「妖怪にそんな説教されたくないなあ」
「説教するよ、君は大切な友達だからね」
「……ありがとう」
わたしが照れて顔をふせてお茶をすすると、
露流しはまた笑いました。
「ボクは涙の持ち主は全員覚えてる。
全員、大事な人だと思ってる。
いつか飛びっきり苦くてまずい涙を飲ませてもらいたいなと
思ってるんだ」
「君はちょっとマゾっぽいよ」
「そうかもしれないね。でも、ボクがにがいと思っていたら、
きっと君がまた団子を用意してくれるんだろ」
「これから春になるから、草餅なんてどうかな。
桜のころには桜餅もいいね。
ああ、外に散歩に行きたいなあ。せめて花を買ってもらおうかなあ」
「その調子だよ。ボクはまた遊びに来るけど、
今度はまずい涙を飲ませてね」
「努力するよ」
わたしが真面目な顔で約束すると、
露流しはパワワと笑い、宙に浮き上がって、
「約束だよ。ボクは桜餅は葉っぱまで食べる派だからね、
まずい涙とおいしいお菓子を待ってるよ」
ゆっくりと消えていきました。

たまに、妖怪たちは我が家にやってきて、
わたしの病気をああでもない、こうでもないと言ったり、
どうでもいいようなこと(カタツムリの話とか)したり、
わたしに説教したり、
季節の話をしたりします。
(例:ぬらりひょんがうちに来た日記は下記。
ぬらりひょんと写メを:
http://blacksheep.txt-nifty.com/blog/2011/08/post-9947.html

わたしは妖怪たちとお茶を飲んで、
もう春なんだなあとか、梅雨が来たねとか返事をします。
それだけです。たいしたことはしません。
でも、友達ってそういうものだよね。
どうでもいいことを話すもんだよね。
たまには説教されたりするけどね。
まあ、やつらのほうが年長だから仕方ないけどね。

露流しは甘党だから、
きっとあなたから甘い涙を吸い取ってくれます。
苦しいときに、ふっと肩の重さを共有してくれます。
でもやつは「にがい涙が飲みたい」っていつも言います。
だから、もし露流しがあなたのところへ行ったら、
とびっきりにがくてまずい、幸福な涙を飲ませてやってください。
きっとやつは喜んで、おめでとう、おめでとうと言いながら
涙を吸い取ってくれるでしょう。




以上、ホラ九割五分くらいで。
でもさ、妖怪だってホラだって、ユーモアと夢の欠片じゃんね。
それでいいじゃない。
それで誰かの背中が軽くなるなら、いいじゃない。
きっと露流しはそう言うよ。
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コメント

今日は、ゆっくり眠れますね。
なんて素敵な妖怪なのでしょう。
露流し。会いたい妖怪NO.1です。
あたしのとこには、苦い涙はありませんが、
ほろ甘い涙を飲みに来てほしいな。
ぬらりひょんと一反木綿はあきらめますので、
紹介してください。よろしくどうぞ。

jun様、こんにちは。
露流しは「流し」の妖怪なんで、放浪してます。
なので、すみません、ご紹介するのがけっこう難しい妖怪なんです……。
携帯も持ってないし(ピーピー鳴る公衆電話が好きらしい)。
ただ、とても鼻がいいので、
涙の匂いには必ず引き寄せられてやってきます。
だからjun様が涙をこらえずに泣いていたら、
きっとやってくると思います。
涙はこらえないで、泣いてください。
そしたら露流しがきっと来て、肩を軽くします。
コメントありがとうございました(^ ^)

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