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2012年11月18日 (日)

プロジェクト・プロポーズ。その3。屯田兵

前回までのあらすじ:
 ファッションセンスが壊滅状態の青年、
 ファッション・テロリストの渡辺さん(仮)。
 なりゆきで、彼のプロポーズを
 プロデュースすることになったわたし。
 しかし、問題はプロポーズだけではない。
 その日一日だけセンスアップしても、
 次の日にファッションが崩壊していたら、
 婚約は破棄されるだろう。
 そこでわたしが彼に言ったのは。

「根本的にあなたのファッションを変える必要があります」
わたしは言いました。
「テロリストが陥りやすい罠に『センス』というものがあります。
これがあるとオシャレッティな感じがして、
ついつい追い求めてしますのですが、
ファッション・テロリストにそんなものは無理です。
これからわたしが教える法則に乗っ取り、
論理的にファッションを構築してください」
「わかりました」
渡辺さん(仮)は肩掛けバッグからメモ帳を取り出しました。
ファッションはアレですが、
根が真面目な青年なんですね。
「いいですか、まず第一に。
トータルコーディネートを考えるときは、
基本はモノトーンにしてください。
それ以外の色はまだレベルが高すぎます」
「モノトーンって黒と白ですか」
「そうです。でも忠実にそれだけだと
お葬式になりますので、
アクセントカラーを入れて調整します。
明日から、いや、今日からあなたは、
黒+白+灰色、もしくは
黒+灰色+青、もしくは
黒+灰色+赤 の色の洋服を着てください」
「そんな色の洋服、あったかな……」
渡辺さん(仮)が不安そうな顔をします。
ちょっと待て、わたしが言った色は基本中の基本だぞ?
白いシャツと黒いズボンくらい
誰だって、持ってるでしょ。
ないかもってどういうこと?

「現状把握のために、
あなたのクローゼットの写真を見せてください。
写メしてきましたか」
わたしは宿題を確認します。
渡辺さん(仮)は素直に携帯を取り出して
わたしに渡しました。
わたしは画面を操作し、
「こ、これは……!」
髪の毛が逆立つような戦慄に襲われました。

青地に金色のペイズリー柄のタートルネックシャツ。
紫の虎柄のズボン。
ピンクのポロシャツに、緑に黄色の水玉のセーター。
タヌキのファー(?)の襟巻き。
縦ジマのズボンに横ジマのシャツ。
レ、レベルが高すぎる。
テロリストとしてのレベルが、高すぎる。

「あ、あなたは、普通のジーパンひとつ持ってないんですか!」
「ジーパン? ぼくはチノパン派でして。
ジーパンはサイズ展開がよくわからないと母が」
「ちょっと待て!」
わたしは再度、恐怖におののきました。
「もしかして、渡辺さん(仮)、
あなたは自分の洋服を自分で買ったことがないのでは」
「はい、母が全部みつくろってくれてますけど」
「……こ、これは、洋品店センス……ッツッ」
わたしはついに背筋が崩壊して、
マ●クのテーブルに突っ伏しました。
恐るべし、母親のマジック。
ということは、まさか、まさか、
「渡辺さん(仮)、あなた、グンパンじゃないですよね?」
「グンパンてなんですか」
「母親が買ってくるグ●ゼの白ブリーフのことです。
だいたい男子は中学生になればグンパンを卒業して、
トランクスかボクサーショーツに」
「普通に、ぼくはブリーフ派ですけど」
「おおおおおおお、下着から、テロリスト……っ」
いけません、これはいけません、
はたして彼が結婚していいのかどうか、
そもそも女性に彼を勧めていいのかどうか、
根本的な問題になってきました。

「あなたは予想以上に高レベルのテロリストです」
わたしは宣言しました。
「あなたが常駐している環境、
兵士として屯田している状況がもう、致命的です。
彼女と結婚したかったら、根本的な治療が必要です」
「――結婚、したいです」
「だったら、まず、お母さんファッションから
脱却する必要があります。
自分の服は自分で買いましょう。
軍資金は用意してきましたか」
「い、一応、五万円くらいは持ってきましたが」
「十分です。
いいですか、いまはセンスがいい人間になろうとか
褒められようとか、そういう邪念は捨ててください。
まずはあなたが駐留している泥沼の屯田から
抜け出すことを考えてください。
じゃあ、行きましょう」
「どこへ行くんですか」
「ここは渋谷です。洋服屋さんならたくさんあります。
さきほどわたしが言った法則を守るために、
『無地の』洋服を買いに行きましょう。
それから帰宅したら、
今クローゼットに入っている洋服はすべて、
「サイズが合わなくなったみたいだから」と言って、
フリーマーケットに出してください。
もう二度と着てはいけません」
「えっ、全部ですか。二度とですか」
「全部、二度とです」
わたしは断言し、体勢を立て直しました。
これは物凄い屯田兵の改革をすることになった。
一日で変えるのは無理だ。
戦いは続く。




以上、ホラ七割くらいで。
ヤバイ、真実の三割の部分がつらくなってきた。
全国の男性諸君、「あれ、オレもそうかも」と思ったら、
危険信号です。
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