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2012年10月14日 (日)

いいか、三つ約束がある。(上)

十月です、結婚式の季節ですね。
え、前回もこんな感じの始まり方だったって?
気のせいですよ(真顔)。

とにかくですね、二週続いてですが、
結婚式の話です。
これは、わたしが招かれた話ではなく、
わたしの友人の(自称)画家(女性)が知人に招かれた話です。
そうなんですよ、
この世で結婚式へ行くのは
なにもわたしだけじゃありませんからね。
ところが、この画家の知人の結婚式に
なぜかわたしも関与することに。
なにがどうしてこうなった。
とにかく、三つの約束を守ってください。
いいか、話はそれからだ。

そもそもの大前提として、
画家はわたしの貧乏仲間です。
ええと、わたしには病人仲間や
中学からの親友や
妖怪など、けっこう友達がいますが
今回の話題の結婚式に招かれたのは、
わたしが極貧生活を送っていたころ
知り合った貧乏仲間です。
その貧乏仲間は画家志望で、家から勘当されて
貧乏しながら絵を描いていました。
ふたりで「金はなくとも楽しい生活」と銘打って、
七夕だの、手作りギョーザの会だのやっていました。

いまでも画家は絵を描いています。
相変わらず貧乏です。
そんな画家が結婚式に招かれることに。
当然、祝福したい気持ちはあり、
喜んで出席することになりました。が。

「男爵って、手先が器用だったよね」
今朝、画家から妙な切り出しの電話をもらいました。
「前にパン作ったり、棚作ったり、カーテン作ったりしてたよね」
「器用っていうか、まあ、なんでも作るけど」
わたしは答えました。
ホラ吹きというメンタリティ上、
生活能力ゼロに見えますが、
わたしは実はサバイバルには強いのです。
「頼みがあるんだけど」
画家は言いました。
「わたしに(可能な)頼みなら、聞くけど」
ちょっと嫌な予感を覚えつつ、わたしは言いました。
画家は「よかったー」と言って、それから、
「一週間以内に、ストールと靴とバッグを作って。
結婚式に着ていくから。
ご協力、本当にありがとう」
と、「やるよ」とも言っていないのに、
勝手に「ありがとう」まで言い切って
既成事実を作りやがりました。

わたしは思わず訊きかえしました。
「は? ストールってあのドレスとかにまとう長い布?」
「そう、それそれ。あと靴とバッグ」
「靴? 靴なんか作ったことないよ。
スリッパならあるけど。
ていうか、なんでわたしが作ることになるの?
持ってないの?」
「うん」
画家は肯定し、
「わたし貧乏でしょ。でもあんまり貧相な格好で
結婚式に行くのは失礼でしょ。
だから作って」
と意味不明なことを言いました。

「待て待て待て」
わたしはストップを入れました。
「脈絡が、脈絡がわからない。
貧乏だということは知っている、
結婚式に招かれたということも今 知った。
けど、そこでどうしてわたしが」
「だって男爵は器用だから。
安っぽくなくうまいこと作るじゃない」
「いや、褒めてもらって嬉しいけど、
でもなんで」
「友達でしょ」
「……そりゃそうだけど」
「困ってるんだよ、お金なくてさ。
ドレス自体はどうにか工面したんだけど、
ストールとか、バッグとか靴とかなくて。
あ、あとアクセサリーもない」
「ドレス以外なにもねえじゃねえか!」
「そうとも言う」
「それをどうにかしろって言うのか!
わたしはシンデレラの魔法使いのおばあさんか?!」
「頼むよ、おばあさん」
「いや違うから、魔法使いじゃないから。
おばあさんでもないから。
百歩 譲って君の依頼を受けたとして、
期限はいつだって?」
「来週の土曜日が結婚式」
「はい? 一週間ありませんけど?!」
「大丈夫、なんとかなるよ」
「おまえが言うな!
あーもうっ、どうしたらいいんだ!」
わたしは頭をかきむしりました。

画家が本当に貧乏で貧乏で苦労していることは
よく知っています。
だから、応援してやりたい。
しかし、
「ちなみに予算はいくらなの?」
「四千円くらいかな。五千円いったら厳しいなあ」
「四千円でストールとバッグと靴とアクセサリー?!
ムチャ振りにもほどがあるよ?!」
いくら自作するといっても、お金はかかります。
「だってお金ないし。ご祝儀だけでもう赤字だし」
「どーしよーかな」
わたしは悩んで、それから決断しました。
「わかった。じゃあ、ストールと靴とバッグは
俺がなんとかしてあげましょう。
アクセサリーは手持ちのものを組み合わせて
使いまわしなさい。
それでなんとかなる?」
「でもドレスはグレーでアクセサリーは黒オンリーなんだけど。
ちょっと合わないよ」
「なんとかします。ちなみに今もっている靴の色は?」
「黒しかない。黒ならパンプス持ってる」
「うん、じゃあ、靴はそれでいこう。
グレーのドレスに合うように、工夫します。
本当にもう、仕方ねえなあ」
「恩に着るよ!」
「恩なんかいいから、三つ約束しろ」
わたしは深く息を吸い込んでから、言い渡しました。

ひとつ、男爵は大雑把な性格なので、
 型紙はつくらない。
 作ったものの輪郭が直線ではない場合がある。
 気にしないこと。
ふたつ、もう時間も予算もないので、
 作ったものの始末(縫い代の折り返しやまつり縫いなど)はしない。
 不平は言わないこと。
みっつ、できあがったものがガッカリな品質でも
 文句は言わないこと。
 わたしはプロじゃないし、洋裁を学んだこともないんだから、
 クオリティは保証しない。

以上、三つの約束が守れるんなら、
「ホラ吹きが魔法で、シャランラ♪ ってしてやるよ」
わたしが言い渡すと、画家は
「やった! ありがとう、おばあさん! シンデレラ嬉しいわ」
と言ったので、わたしは、
「だからおばあさんじゃねえっ」と突っ込み、、
「なんでこんなことになっちまったんだ」
とため息をつきました。

てなわけで、わたしは今とても忙しいのです。
取り急ぎドレスを着払いで送ってもらい、
色味を確認して布地屋へ行かねばなりません。
ミシン出さないと。
ていうか、ストールなんて作ったことない。
どれくらいの長さが適正かも知らないけどな。
はてさて、こんな調子で無事に
画家はシャランラ♪ してもらい、
結婚式に行けるのでしょーか。
胃が痛いぜ。




以上、ホラ五割程度で。
器用って言っても限度があるよね。
マジで三つの約束を守ってくれないと困る。
四千円かー。予算厳しいなあ。
事の顛末はまた来週。
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コメント

わお!!そんな素敵なことができるんですか。
わたしもお願いいたします。
北九州まで、着払いで送ってください(^0^)

jun様、こんばんは!
あの、その、この魔法はあくまで「ホラ吹き」の魔法ですので、
結局 どんなブツができたのか、
まずクオリティを見ていただいてから
ご注文いただいたほうがよろしいかと思います(汗)
いま画家を呪いながら、鋭意 製作中です。
(Q:なぜ俺がこんな目にあわねばならぬのだ?)
(A:いい性格の友人に恵まれているから)
週末に結果をUPしますので、
それでよろしければご発注くださいませ。
ケーキのときと同様、喜んで承ります。
コメントありがとうございました!

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