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2012年10月21日 (日)

いいか、三つ約束がある。(下)

前回までのあらすじ:
 友人の画家が知人の結婚式に参列することに。
 なぜかなりゆきで(「器用だから」「金がないから」)
 画家の参列用衣装を作ることになったわたし。
 ま、衣装っていっても、ドレスはすでにあるけどね。
 うん、ドレスはあるよ。
 靴もアクセサリーもバッグもストールもないけどな!
 これらを全部俺が作るのか?!
 しかも作成期間が一週間ないってどういうことだ?!
 予算は四千円だと?! てめえ、資本主義なめてんじゃねえぞ!
 男爵の戦いっぷりをその目に焼きつけろ!

画家との交渉の結果、靴とアクセサリーは
わたしの守備範囲外になりましたが、
それにしたって、
「ドレスに合う・安っぽく見えない」
 ・ストール
 ・バッグ
を四千円台で作ってかなり厳しい。
それでも友情から作業を受けた男爵。
俺って本当にいいヤツだよな、
誰も言ってくれないから、
自分で言うけど!

とりあえず画家が着払いで送ってきたドレスを持って
布地屋へ行ったのが火曜日。
よりにもよってこんな色のドレスにしやがって。
(写真参照)
Dr

色あわせが難しいブルーグレーじゃねえか!
しかも刺繍入り。
どんな布なら不自然じゃないストールが
作れるのだろうか。
布地屋さんのおじさんと、ああでもない、
こうでもないと話すこと三十分。
「同系色の濃い色か薄い色で作ろう」と決まって、
布購入。
この時点でどんなストールにしたらよいのか、
ビジョンはあり、バッグの材料も買い、
その他、材料を一式揃えて帰宅。

ここからが地獄でした。
まず、わたしは物を作るときに
だいたいビジョンはあるので、
布をビジョンに合わせて裁断。
バッグから作り始めました。

しかしビジョンはあるが、型紙はない
(作る時間も余裕もない)ので、
フリーハンドでの裁断。
それからミシンで適当にまっすぐに縫う。
いやまっすぐが難しくて、
適当に斜めに縫う。
縫い上げた布を裏返して取っ手と合体。
それからまた適当にありあわせの布地で
裏地を作る。
型紙がないので、また適当に裁断。
適当に斜めに縫う。
裏地が縫いあがったら、バッグ本体と合体。
バッグ作るのがこの手順でよいのか知りませんが、
とりあえず、なんとかできた。
--って、簡単に書いてますが、
ここで水曜日は終了。午前三時でした。

明けて木曜日。ストール作成に着手しました。
またまたビジョンにあわせて適当に裁断。
縫う。ひたすら縫う。
女物のストールなんて作ったことないので、
「三メートルあれば足りるだろ」
「とりあえず身体に巻ければいいんだろ」という
アバウトな感覚で縫い上げます。
ここでわたしのビジョン+凝り性が発動。
さらに自分の首を絞めることに。
結局、徹夜で金曜日の朝を迎えました。

金曜日の夕方、画家がやってきました。
「どう、できた?」
「できたじゃねえよ、作ったよ」
わたしは目をしょぼしょぼさせながら
半分キレぎみで言いました。
画家は言います。
「きゃあ、おばあさんが怖い」
「怖いじゃねーよ、おまえのせいだよ。
おまえなあ、シンデレラの魔法使いの
おばあさんは何の苦労もなく、
シャランラ♪ ってしたと思ってるだろ?
違ぇよ、シンデレラが踊るために
おばあさんはとてつもねえ苦労をしたんだよ。
ガラスの靴作るために、まずガラス鉱石の採掘へ行ったの。
それから暑い作業場で一生懸命、ガラス吹いて靴作ったんだよ。
そっからドレスだの、馬車だの他のモノ作るのに瀕死になって、
だからタイムリミットがあったんだよ。
魔法ってのはそういうもんなの。
魔法使いのおばあさんでも、
ホラ吹きでも、
「魔法」にはものっすごい労力を使うもんなの。
わかった? わかったら、俺をあがめてひれふせ」
わたしは画家に作成物を指さして示しました。

下記がドレスとあわせた証拠写真です。
Com

まずストールとバッグはドレスと同系色の
淡い色の布地をチョイス。
それから黒い靴に合わせても不自然じゃないように、
ストールにもバッグにも黒布を入れて調整。
バッグと靴は合っているべきなので、
「靴に合うシューズバンドも用意しといた。
グレイと黒のやつな」
わたしは画家の用意した靴にバンドを合わせました。

「すっげええ、すっごい、
ストールにちゃんとヒダヒダがついてる!
バッグもおしゃれな感じ。
男爵、この布で作った薔薇はなんなの?」
画家が驚嘆します。
「これはストールクリップ。
長い布をただ巻いてるだけじゃ、ヒネリがねえだろ。
ストールと同系色の布探して
俺が巻きバラをつくって、クリップにくっつけた。
ストールを巻いていない、結婚式の時には
首元にとめるとアクセントになる」
わたしはあくびしながら答えました。
「バッグは本来、ドレスに合わせて
刺繍を入れようかと思ったが、
時間も精神的な余裕もないので、
刺繍の代わりにひだを寄せてゴージャス感を出した。
これなら多少形がいびつでも目立たないしな。
素人にはお勧めの形だ。
ま、全部装備すると、こんな感じだ」
Ime

それから、と言ってわたしは次のブツを出しました。
Ac

「おまえ、アクセサリーがねえとか言ってただろ。
一応、手持ちの黒でなんとかするって決めてたけど、
布地屋行ったら、素材売ってたから、
チョーカーとイヤリングとブレスレット作っといた。
こっちのほうがドレスに合うなら、これ使え」
「えええええっ! これも男爵が作ったの?」
「ああ。ハンズ行ったら三連チェーンを留める用の金具がなくて、
取り寄せになるって言われたから、
めんどくさいから、素材用の銀のワイヤーを
ペンチで曲げて俺が適当に作った。
使えるようなら使えば。
もうちょい予算があれば天然石使えてよかったんだが」
「すっごい、すごいよ、男爵!
うわああ、ここまですごいとは思わなかった」
「褒め称えろ、ひれ伏せ。俺をあがめろ。
だが、惚れるな。
おまえとは一生 友達だ」
「うん、大丈夫! 男爵のこと、すごいと思うけど、
ぜんっぜんタイプじゃないから!」
「……おまえ、本当に俺に感心してるの?」
「いやー、すごいよ。うん、すごいわ。
で」
画家は不意に目を光らせました。
「いったい、いくらかかったの?」

「値段? ああ、メモっといた」
わたしはメモを片手に報告します。

・バッグ、ストール
 布地・裏地・フリンジ・取っ手・底用の芯・糸 で
 合計¥2,516

・ストールクリップ
 百均で買った素材 で
 合計¥315

・シューズバンド
 同じく 百均で買った素材 で
 合計¥210

・アクセサリー
 素材、チェーン他 で
 合計¥1,398

「トータルで ¥4,439 だな。
あ、あとご祝儀用の袋とふくさも
百均で買っといた。
それいれても ¥4,649 だ。
即金で払え」
「ありがとう! じゃあこれで」
画家は小銭をじゃらじゃらよこしました。
「こういうこともあろうかと
小銭をコツコツ貯めておいたんだー。
よかったー、これで結婚式へ行ける」

わたしは最後に最終確認しました。
「おまえ、俺の作ったもんで結婚式行っちゃって大丈夫なの?
三つの約束はちゃんと守れよ」
三つの約束とは、受注時に魔法の代償として約束した
「(細かいことは)気にしない」「不平を言わない」「文句は言わない」です。
「いやだって、これ手作りだってわかんないよ」
画家はにこにこと答えました。わたしは言います。
「そうならいいけど」
「だいたい、つきつめればどんな商品も
手作りでしょ。作ってるのがプロかアマかの違いでさ。
男爵はさ、デザイナーとか服飾系はアマかもしれないけど、
やっぱ、ホラ吹くのはプロだね。
はったりがハンパないわー。器用だよね。
ありがとう、おばあさん。
シンデレラ、とっても嬉しいわ」
「だから、おばあさんじゃねえ!」
わたしは突っ込んで、
「いいか、もう魔法は当分の間、使わないから。
次に誰かが死んでも、ちゃんと自分でどうにか衣装を
工面して葬式行くんだぞ」
「わかった。じゃあまた相談するね! おばあさん!」
「相談するなって言ってるだろ!
あとだから、俺は魔法使いのおばあさんじゃないから。
ホラ吹きだから」
わたしは荷物を抱えた画家を屋敷から追い出して、
ハアと深いため息をつきました。
眠い。
寝よう。

こんな感じで、金曜日夜から土曜日一日、
疲れきって死んだように横になってました。
わたしは体力がないんだよね。
いかがでしょうか、シャランラ♪ の魔法には
とてつもなく労力が必要だとお分かりいただけましたでしょうか。
現実を変える魔法ってさ、実は地道で大変なもんなんだよ。
純粋なフィクションでできてるホラのほうがいいね。




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コメント

すっごいですね-----!!
びっくりするぐらいの仕上がり。
職人じゃないですか!!

早速、注文お願いいたします。
12月の結婚式に着て行きたいと思ってます。
おばあさん、
ドレスは赤です。
よろしくおねがいします☆

jun様、こんばんは。
えっ、発注されちゃいますか(涙)。
ドレスは赤で、12月の結婚式……。
jun様のためなら、身を削って シャランラ♪ いたします。
ちなみにご予算はおいくらくらいでしょうか。
八、七千円くらいあると、
アクセサリーがもう少しバージョンアップしますが。
コメントありがとうございました(^ ^)/

jun様、追記です。
ちなみに、三つの約束は、守っていただけますでしょうか。
あくまでもわたしが作るものは
「ホラ吹きが作るはったりの塊」なので、
三つの約束がないと厳しいです……(汗)
よろしくお願いいたします。

バージョンアップでお願いします。
三つの約束、了解です。
三枚のお札を持って待ってます。
よろしくどうぞ☆

jun様、こんばんは。
バージョンアップですね、了解いたしました。
十二月にはまた部屋にこもって作業いたします。
決してのぞかないでください。
まだ時間はありますし、いくつかプランもありますので、
ご期待ください。
コメントありがとうございました!

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