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2012年10月28日 (日)

三つの約束の後日談。および新たなる冒険への旅立ち。

前回までのあらすじ:
 友人の画家が知人の結婚式に
 参列することになり、
 なぜか(「金がないから」「器用だから」)
 参列衣装を作る羽目になったわたし。
 徹夜だのなんやかんやありましたが、
 衣装は無事に(?)作成完了。
 画家は衣装を着て結婚式に行きました。

「で、今日はいったい何の用?」
わたしは電話口で冷え冷えとした口調で話します。
仕方ないだろ、こいつにはもう、ほんっと
迷惑かけられたんだから。
「ひどーい、今日はお礼の電話だったんだよ。
結婚式、ちゃんと行けたよ、ありがとう。
花嫁さんはとってもきれいだったよ」
画家は言いました。
「周囲から変な目で見られなかったか?
手作りってバレなかったか?」
わたしは危惧していたことを確認します。
なんつっても、ストールとバッグ、アクセサリーで
四千円台だったからな。
大丈夫だったかな。
「大丈夫だったよ、あ、そういえば」
「なに?」
わたしは嫌な予感を覚えて尋ねます。
画家は言いました。
「そのストール、新しく買ったんですか?
どこで買ったんですか? って聞かれた」
「……で、おまえはなんつったの?」
「東●本店のほうで買ったって答えた」
「え? えええぇえええっ?!」
おま、おまえ、●急本店様をなんと心得る。
天下の百貨店様だぞ?
渋谷の支配者だぞ?
それを
「なんてこと言うんだ、おまえは!」
「だって嘘じゃないよ。
男爵が材料の布地買った布地屋さんて
渋谷駅から見たら東急●店のほうでしょ」
「そりゃおおざっぱに言えば、
方角的にはそうだが」
「大丈夫、ダイジョーブ。
だって全部 嘘ってわけじゃないから」
「嘘じゃないけど、事実と違うだろーが」
「大丈夫だって。感心してたから」
「……ならいいけど」

画家の話は続きます。
「そんでね、その褒めてくれた人がね」
「うん?」
「きれいなストールとバッグですねって
言ってくれて、センスいいですねって言ってくれた」
「まあな、わたしが作ったものだからな。
センスがよくて当然だな」
わたしはあっさり東急本●の衝撃を流して
鼻を高くします。
その高くした鼻を、画家が
「で、今度、そのセンスのいいお店で
ぜひ買い物がしたいから紹介してって言われた」
ぼっきりと折りやがりました。

「はいいいぃいっ?! そんな店、この世にねえだろ!」
だってあれらは、わたしが布地から適当に作ったものなのです。
「でも、もう紹介するって言っちゃった」
「言っちゃった?! なんで、どうして言っちゃうんだよ」
「だって褒められて嬉しかったから」
「そうかもしれないけど、あとのことを考えろよ。
五秒先の未来を考えろよ。
店なんかないんだから、連れて行けるわけねーだろ」
「大丈夫、問題は店じゃなくて、センスだったから。
お店なくてもセンスがあればいいから」
「? どういうことだ?」
「あのね」

画家は言いました。
「その褒めてくれた人、恋人にプロポーズしたいんだって。
で、センスのいい服着て、
センスのいいプロポーズしたいんだって。
だから男爵、相談に乗ってあげてよ」

「なんで、どうして、そうなるの?!」
わたしは絶叫しました。画家は平然と答えます。
「いや、よくは知らないんだけどね、
そのひと、顔とスタイルはいいんだけど、
センスが悪いの。
で、そのままだったら、結婚しないって
恋人に言われたんだって。
わたしのストールとバッグ見て、
すっごい感心してこういうセンスのいいものを
着たらいいんじゃないかって思ったんだって。
だから男爵、相談に乗ってあげてよ」
「……ちょっとまって、そのひとはわたしの知り合いじゃないよね、
おまえの知り合いだよね」
「だから知り合いの知り合いだよ、他人じゃないよ」
「他人って言うんだよ、そういう関係を、世間では!
友達の友達がみな友達だったら、
世界はでっかいひとつの輪になって、
エヴァン●リオン的な人●補完計画の必要がなくなるわ!
委員会の人たちに泣いて謝れっ。
なんで独身主義のわたしが、会ったこともねえ
他人のプロポーズをプロデュースしなきゃなんねえんだよ」
「人助け、人助け」
「他人を助ける余裕があったら、自分を助けるわ!」
「情けはひとのためならずって言うよ。
男爵だって、いつか誰かに助けてもらうかもしれないんだよ」
「そ、そりゃそうかもしれないけど」
「いいじゃない、ちょっと会って、
服とかプロポーズの相談に乗ってあげるだけだよ。
別に結果まで責任持てって話じゃないから。
とにかくそのひと、どうしたらいいのかもうわかんなくて、
途方に暮れてたから、
本当は、誰かに話して頭の中を
整理したいだけなんじゃないかな。
話してあげてよ」

「はーーーー」
わたしは深く、深くため息をつきました。
忘れてました。
この貧乏仲間の画家は、トラブルメーカーでもあることを。
良かれと思ってしたことが、とてつもない厄介ごとを招く体質であることを。
路上で死んだ子犬をかわいそうだからと
アパートの庭に浅く埋めて(固い土を掘る力がなかった)、
庭の整備にやってきた植木屋さんたちに
絶叫をあげさせたこともありました。
手作りのお弁当の玉子焼きを
「おいしそうだね」と言って褒めてくれた人に全部あげて、
そのひとを食中毒にしたこともありました。
(全部あげたので、画家本人は食中毒にならなかった)
でも、仕方ないのです、
画家はいいやつなんです。
悪気はないんです。
友達であるわたしは、画家の長所も欠点もよく知ってました。
知った上で、長年 友達をやってます。
友達ってそういうもんじゃないの?

「――会ってやるよ」
わたしはもう投げやりに言いました。
まさかセンスがよいあまりに、
赤の他人のプロポーズにアドバイスすることになるとは
思わなかった。
「やったぁ、ありがとう!」
画家は元気よく礼を言いました。
「じゃ、明日そのひとから連絡が行くと思うから、
よろしくね」
「明日ァ?!」
「うん、きっと会ってくれると思ったから、
もうそのひとに男爵の連絡先も、
略歴も、
今回褒めてくれたものが実は
男爵の手作りだったことも話してあるから。
だからヨロシク」
「ヨロシクじゃねーよ!」
わたしは再度 絶叫しました。
「おまえはわたしをいったいなんだと」
「友達だよ♪ あ、電話代がかさむと家計に響くから、
この辺で切るね、
じゃあまた」
ブチン、ツーッツーッツー。
わたしはむなしく会話がきれた受話器を見つめました。




みんな、友達は、ちゃんと選んだほうがいいよ?



以上、ホラ七割程度で。
プロポーズって……。
なにをどうするの。
ていうか、どんなひとが来るのかな?
なにひとつ知らされていないんだけど。
こんなわけで、わたしはまた新たなる
ミッションに挑むわけです。
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コメント

いー友達持ってますねー。
そして、伝説へ。
プロポーズ大作戦頑張ってください☆

jun様、こんばんは。
プロポーズはまさにプロジェクトになりつつあります。
詳細はまたアップいたしますが、
これがまた……。
なんともはや……。
画家を恨む日々を送っております。
コメントありがとうございました!

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