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2012年7月22日 (日)

アベちゃんじゃん。

「あーっ、やっぱりそうじゃん、
アベちゃんじゃん」

わたしは真昼の駅前で女性に声をかけます。

「ひっさしぶりだねー、元気だった?」
「え、いえ」
「あれ、元気じゃなかった? なになに病気してたの?
ごめん、知ってたら、お見舞いに行ってたよ!」
「いえ、あの」
「いまは何してるの?
オレはね――」
「すみません、人違いだと思います!」
女性は足早にわたしの前から立ち去り、
携帯電話を操作しました。
どうやらどこかへ電話して、なにかを訴えているらしい。
ううううう、しかし、わたしはひくわけにはいかないのだ!

「あーっ、やっぱりそうじゃん、
アベちゃんじゃん」
わたしはまた声をはりあげて、
女子高生に話しかけます。
「ひさしぶ」
「誰? 知らないんだけど」
女子高生は鋭い目でわたしをにらんで、
一言投げつけてやはり去っていきます。
ううううううう、でも、でもやめられないから!

「あーっ、やっぱりそうじゃん、
アベちゃんじゃん」
わたしは必死に老婆に声をかけます。
女性、女子高生と来て、老婆。
このひとなら言ってくれるかも。
「あ、なんだって?」
老婆は立ち止まり、耳に手を当てます。
「アベちゃんでしょ。
久しぶりだね、元気だった?」
「元気だったけども。アベちゃんは知ねえなあ」
「まったまたー、俺を驚かせようとして
そんなこと言っちゃって。
アベちゃんでしょ、俺だよ、俺」
「俺オレ俺詐欺か? おまわりさん、こん人が」
「違います! 俺オレ詐欺じゃないです、
すいまっせんでした!」
今度はわたしのほうが老婆の前から退散しました。

辛い、辛すぎる。
わたしは駅前の駐輪場でこちらを観察していた
三人に走りよります。
「ちょっと、この罰ゲーム、シャレになんないよ、
これはひどいよ。通報されちゃうよ」
「別にたいしたことないっしょ、
誰かひとりに「うん」って言ってもらえればいいだけなんだから」
中学生がにやにや笑いながら言います。
わたしは必死に抵抗します。
「アベちゃんじゃなくてさあ、
鈴木とか、田中とか、もっといそうな人名に変えても」
「駄目。これはあんた用の罰ゲームだから、
そこそこ難しくないと。
だいたい、あんた、オレが罰ゲームのときは、
「幼馴染を甲子園に連れて行く野球少年」役で
「甲子園へつれてって」って誰かに言われるまで続けさせたじゃん」
「けどねえ、これ、変なナンパみたいで、
女性はみんな変質者見る目でわたしを見るんだけど」
「実際、変質者みたいなもんなんだから、しかたない」
三人目の中学生がわたしの肩を叩きます。
わたしは絶叫しました。
「オレは変人だけど、変質者じゃない!
なんで缶蹴りの罰ゲームがこんな難易度高いんだよ」
「あんたが始めたことだろーが」
中学生たちは異口同音に言いました。
「さ、はやくやっちゃってよ。
ほらほら、こっちで時間使っちゃうと
いつまで経っても終わらないよ」
「ううううう」
わたしは半泣きになりながら、駅前に戻ります。

「あーっ、やっぱりそうじゃん、
アベちゃんじゃん」

土曜の昼間の駅前にわたしの声がむなしく元気に響きます。

誰か、女性が「うん」と言ってくれるまで、
「アベちゃんを探し続ける罰ゲーム」は続きます。
なんで近所の中学生と缶蹴りしてただけで、
こんな激烈な不幸に見舞われないといけないのか、わかりません。
しかし、続けるしかない。
戦うしかないのです。
まだまだ終わりそうにありません。




以上、ホラ八割くらいで。真夏の蜃気楼くらいで。
「タ●チ」の再放送ってさ、
気がつくと、かっちゃん死んでて、
もうたっちゃんが甲子園目指してるよね。
そんで、いつの間にか、再放送が終わってるよね。
夏休みってそんなもんだよね。
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