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2012年6月30日 (土)

ビックリ、みんなゾンビだよ☆ と、男爵の退院。

夜の病院と言うのは、
ある種の恐怖が淡く漂っているものです。
緑色の非常口案内、
カーテンを引かれた病室、
耳を澄ませば――いや、静かなので
ついつい無意識にも耳を澄ませてしまうのですが――
遠く誰かの足音がする。
誰の足音だろう。
こんな真夜中に院内を歩いているのは
見回りの看護士くらいだけれど、
自分自身がその見回りの看護士だ。
あの足音、なんだか近づいて来る。

いや! 気のせいだから。
また先輩に笑われちゃうから、
しっかりしないと。ちゃんと見回らないと。
そう思い、片手のペンライトで足元を
照らしながら病室へ入り、
順番に一番手前のベッドで寝ている田中さんに
軽く光がかすめた瞬間、
「ぎゃあああああああっつっつ、きゃあああああ!!!」

青黒い皮膚の上で、
田中さんの鼻と耳と目が溶け出していました。
おっおっおっ、お化け! 腐乱死体!

「はーい、ビックリ大成功!」
わたくし黒羊男爵は田中さんのベッドの横で
腰を抜かしている看護士さんにスリッパを鳴らしながら近づきます。
看護士さんは振り返り、私を認めると、
「ぎゃああああああ!」
とまた、心地よい絶叫を上げました。
はい、わたし自身も特殊メイク加工された
ゾンビマスクをすっぽりかぶってました。

悲鳴を聞きつけて、他の看護士さんがやってきます。
「ちょっとどうした、うわあああっ!」
「こんばんは」
同じくマスクをかぶった斉藤君(入院仲間)が
駆けつけた看護士さんの肩を暗闇から叩きます。
斉藤君を認めて、看護士さんがのけぞりました。

「大成功!」
斉藤君と私はきゃっきゃっと喜びました。
今晩はよく眠れそうでした。

翌日、婦長が病室にやってきて、
厳かに伝えました。
「黒羊さん、あなた、出て行ってください」
「へ? なんでわたしが?
あ、もしかして昨夜のことですか?
あれはちょっとした冗談ですよ~。
それにそれなら、入り口担当の田中さんや
足音BGM担当の久保さん、
斉藤君も同罪ですから、
わたしだけを罰すると言うのは
ちょっと不公平ですよね~」
「違います。罰ならあとで説教を用意しています」
婦長は無表情に言いました。
「昨日の定期診断で、
あなたの、●●の数値が通常に戻りました。
だから退院してください」
「え、男爵と仲間たちの冒険の物語はこれからなのに?」
「さっさっと出て行け、このろくでなし!」
三時間の説教のあと、婦長に蹴り出されるようにして
わたしは退院しました。
斉藤君は笑っていました。

こうしてわたしは自宅に戻ってきました。
いろいろあった病院生活ですが、
職業病人ですから、また入院することもあるでしょう。
入院したら、斉藤君と新しいネタをやります。
え、入院してるほうがブログ読んでて楽しいって?
そんなこと言わないでくださいよ、
男爵と仲間たちの冒険の物語はこれからなんですから。




以上、ホラ八割程度で。強めのお薬くらいで。
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