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2012年4月28日 (土)

少女の悲鳴と男爵の絶叫。(下)

(前回のあらすじ)
入院先の病院で
硝子(しょうこ)ちゃんという少女に出会ったわたし。
彼女が語る、
「姉を殺した、鏡の中の死を告げる女の子」という戦慄の物語に、
わたしは反応せずにはいられなかった。
(前回までのあらすじ・終わり)


おびえる少女の助けを求める悲鳴に、
わたしはこらえきれない衝動に駆られて
思わず口を開きました。

「ち、がっっーうううぅっうううぅっっっっっ!!」
病人ですが、あらん限りの渾身の力で絶叫しました。
だって、これは、ないだろ。
「ありえない、君のその反応は間違っているぅぅっ!!!」

「え、え」
硝子ちゃんはびっくりして、涙が止まりました。
わたしはベッドから降りて、
彼女に歩み寄ると腰に手を当てて、再度絶叫しました。
「君は、間違っている! 助けを求めるなんて、おかしいっ」
「え、だって、わたし、怖くて」
「それも間違っているっ」
わたしはビシッと彼女に指を突きつけました。

「正体不明の、妖怪だか、情念の塊だか、なんだか知らないが、
とにかくその「赤い唇の女の子」が
君のお姉さんの死に関係しているかもしれないんだろ。
君は、きっとお姉さんが好きだったんだろ。
いいか、大事な人を殺されたら!
怖がる前に--恐怖なんてこの際どうでもいい、
殴り返すんだよ!
腕力でかなわなかったら、武器でも何でも使って、
反撃・復讐するべきなんだよっ!
なんでやられっぱなしで、君が泣かなきゃならないんだ。
おかしいだろ。
鏡の中のその女の子、お姉さんの肩をつかんで、
「捕まえた」って言ったんだろ。
てことは、絶対に触れないわけじゃないんだろ。
怯える必要がどこにある。
そいつは、お姉さんの仇なんだぞ。
君も狙われてる、君の敵なんだぞ。
だったら! 立ち上がれ。立って、相手をぶちのめすんだよ!」
「……え……」
「だいたいなあ、「生きている人間」以上に恐ろしい存在なんて、
わたしは見たことないね!
過去、わたしをひどい目にあわせたのは、
100% 生きてる人間だった。
鏡の中の妖怪なんて、鏡をぶち割るなり、
鏡越しに殴るなりなんなりして、徹底抗戦・打ち負かすんだ。
むこうがこっちを触れるんなら、きっと勝機はある。
怨念が必要だって言うんなら、こっちには殺されたお姉さんがいる。
お姉さんはきっと、その鏡の中の女の子をうらんでる。
みすみす妹を見捨てたりしないだろ。
それこそ怨念の塊になって、女の子を攻撃してくれるだろう。
わかったか、君は、泣いたり、怯えたりする必要はない。
武器を探しなさい。
そんで、自分の手で、そいつをぶちのめしなさい。
わたしから言えることは、以上だ!」
「そ、そんなこと、いままで誰も……」
おどおどとこちらを見あげる硝子ちゃんの前で、
わたしは片膝をついて視線を合わせました。

「そりゃそうだよ、普通の人なら、
君の話にひっかかるかもしれないもんね。
病院っていうシチュエーション、
お姉さんが死んでるという事件性、
「少女性」ってやつが持っているどこか不思議な感じ……。
普通の人なら君の話を、たとえ、全部は信じなくても、
薄気味悪く思うだろうね。
この話そのものか、君を、ちょっと怖く思うだろうね。
でも、最初に言っただろ。
わたしは嘘つきなんだよ」
わたしはニコ、と笑って、硝子ちゃんの頭をわしわしとなでました。
「同じ嘘つきはわかるさ。
君の話は、将来性を考えても、四十八点だね」

硝子ちゃんは必死な表情でわたしに言います。
「わたし、嘘なんて」
「うん、意図的にはついてないかもね。
君は、たぶん
お姉さんの死からいろんなことを連想して、
考えて、想像しただけだ。
もしかしたら、そもそも、お姉さんなんていないかもしれないけどね。
病院でヒマでヒマだったんだろ?
だから、こんな話を考えて、いろんな人に話して回ったんだろ。
臨場感は素晴らしいものがあったから、
二十五点プラス。
話し方もよかった、実際に泣いたところは高得点で
さらに二十点プラス。
最後に、君の年齢としては話の完成度が高いので、
ご褒美に三点プラス。
マイナスとしては、ちょっとありがちな内容だったね。
あと、話す相手を選ぶべきだ。
わたしには嘘は通じないし、
わたしはやられっぱなしで怯える人間じゃない。
もし、鏡の女の子がわたしの背後に現れたら、
どんな手段を使ってでも、反撃する。
だから、恐怖小話になんてならないよ」
「怖くないんですか」
「怖くないね。わたしは戦うよ。
今までだって、戦ってきたし、これからだって戦うよ。
君も、戦えるよ。誰だって、戦えるさ--勝てるかどうかは別として」
「わたしも、戦えるんですか」
「戦えるよ。
君は、なにとだって戦える。
勝利する可能性を持っているんだ」
「じゃあ、もう、怖がらなくていいんだ」
「そうだよ、今度は、君が反撃する番なんだよ」
「よかった。ありがとう」
硝子ちゃんは涙の筋が残った顔で笑いました。
そして、目の前から忽然と宙に消えました。
彼女の頭にのせていたわたしの手が、すとん、と落ちました。




……っていう、長い、想像をしてました。
昨日ね。
あんまりにもヒマでヒマだったからね。
バラ色の萌え萌え話を思いつかなかったから、
病院という場所を生かして、
ちょっとひねりのある話を考えてみました。
いかがでしたでしょうか。
以上、ホラは九割ですね。
残り一割は適当に、そこらへんの怪談をねじ込んでると思います。
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コメント

すっきり!!
ナイスなおちでした(^^)
最後まで読んで、楽しい気持ちになりました。
次は、萌え萌え話ですかね?
楽しみにしてます。

jun様、こんにちは!
「ナイス」とコメントいただけて幸いです。
ひとは誰でも、なにとでも戦えます。
負けるかもしれませんが、やられっぱなしの必要はない!
--てなことを、遊びに来た河童に話したら、
「おまえさんみたいな人間がいると、
怪談が成立しないから困る」と言われてしまいました。
ダメですね(汗)。
コメントありがとうございました(^ ^)/

河童、的を射たこといいますねえ。
これからも、怪談撲滅キャンペーン
続けてください。(^^)

河童はかなりマジに怒ってました(汗)
やっぱりjun様のように、
「薄気味悪い」「ちょっと怖い」と思ってくださる方がいないと、
彼らのやりがいにつながらないようです。
コメント連投、ありがとうございました!

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