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2011年8月29日 (月)

わたしの恋愛危機。

前回までのあらすじ:
我が家で快適インターネット中だったわたし。
そこへわたしの隠し子を名乗る女の子がやってきた。
身に覚えなんかあるわけねえわ、オレは無実じゃ!
胸を張るわたしに執事が尋ねる。
「大学時代に、記憶を失ったことは?」
……ある。一回だけ、酔っ払って路上で寝たことがある。
でも、でもだからって、そのときに。
そんなことってあるの……?
「将来の夢は妖精さん」のわたしに、壊滅的な危機が迫っていた。

「いーや、違う!」
わたしは声を張りあげた。ここで引いたら、身の破滅だ。
「では、記憶を失ったことはない、と?」
執事が追撃してくる。
わたしは冷や汗をかきながら、弾幕を張る。
「記憶を失ったことがないとは明言していない。
だが記憶がない=異性体験とは限らないだろ。
第一、そのときわたしはサイフから鍵から
なにもかもなくしてるんだ。
普通にずっと寝ていて、身ぐるみはがされただけだ」
「では、記憶をなくしたことはおありなのですね」
弾幕、薄いぞ! なにやってんの!
わたしの心の中のブラ●ト艦長が叱咤する。
わかってるよ、ブ●イトさん。オレはできる子。
「そもそも記憶を無くすほど酔っ払ってるのに、
そういう行為は可能なのか?!
酔っ払って眠くて、自分の瞼すらコントロールできないのに、
無理だろ、ムリィッムリィッムリィッムリィッムリィッ」
わたしにデ●オが乗り移る。

一方、執事は完全に考察する探偵と化している。
「大学時代に記憶をなくしたことはある、と……。
ではやはり、その時に」
「違う、絶対違う! わたしは身も心も清らかさんっ」
わたしはノートPCを投げ出して、両手をグーにして振り回す。
「おまえ、もっと冷静に考えろよ。
 ・ろくでなしで
 ・金遣いが荒く
 ・嘘ばかりついており
 ・自分勝手で
 ・自分の言動に責任をとらない
そんな人間、わたし以外にもいっくらでもいるだろ」
「ご主人様レベルのろくでなしは なかなかいませんよ」
「いるって! 絶対、オレ以外にもいるって。
そいつが犯人だよ、真犯人」
「……どうにも埒があきませんね」
執事はいっそ冷酷なまでに冷静に言った。
「これはもう、DNA鑑定を試みるしかありません」
「なんで、どうして、そうなるの。
オレじゃないんだから、信じろよ!
おまえのご主人様を信じろ」
「残念ですが、信じられません」
きぱっと、執事は答えた。
「ご主人様は、ホラ吹きですから」
「それを言うなら、うちは代々みんなそうだろうが!
みんなホラ吹き――あっ」
わたしはある真実に気づいて、息をのんだ。
まさか。

まさか。やっぱりその少女とわたしは血縁関係があるのか。
まさか、まさか。
いくら ろくでなしだとしても。
ホラ吹きだとしても。
信じたいと思っていたのだが。
考えてみれば、信じられない。

「この家に住んでたろくでなしは、オレだけじゃない。
オレのオヤジ――あのろくでなしはどうした!」
「え、先代様ですか」
「そうだよ、この家に住んでて、ろくでなしで、
ご主人様なのは、オレだけじゃないだろ。
あいつだよ。オレの父親が真犯人だ!」

つまり、少女はわたしの娘ではなく、
わたしの、妹。
よくよく考えたら、わたしは十五歳で家を出て自立しているので、
この屋敷のご主人様歴はそんなに長くないのだ。
わたしが屋敷に戻ってきて追い出すまでは、
この屋敷には、わたし以上のろくでなし、ひとでなし、ホラ吹きが住んでいた。
わたしの父親である。
これがもう、本当に、どうしようもないろくでなしで、
わたしが言うのもなんだが、異常なまでに ろくでなしだった。
虚言癖があり、酒飲みで、ホラとハッタリを悪用して何度も女性を騙した(男性も)。
「間違いない。あの男が女の子の父親だ。
あいつ、どうしてるんだ」
「さ、さぁ、先代様がどうされているかはちょっと――」
「おまえ、こっそり連絡とってるんだろ。
あいつを問いただせよ。絶対、あいつがクロだから。
わかったな!」
わたしは執事を寝室から押し出し、バン! と扉を閉めた。

なんてこった。
この歳で突然、妹ができるなんて。萌え小説みたいな設定だ。
あーもう、どうしようもねーオヤジだ。
しかし、女の子には罪がない。
オヤジの娘である以上、わたしと同じ権利を持つ。
つまり、ホラ吹き男爵の爵位の権利(素質)を持って……。

「アーッツッツッツ、ヤられた!」
わたしは、目の前がクリアになって、すべてを理解した。
畜生、やられた。騙された。
その女の子、最初からわたしが父親ではないと知っていたのだ。
わたしが兄だとわかっていて、
「お父さんなんです」とホラを吹いたのだ。
そう、執事いわく、女の子はこう言っていた。
「その少女はこの家の主人が自分の父親だと
母から聞いたと申しておりまして」
ウソはついていない。間違っちゃいない。(※ここ重要)
ただ、その「主人」が先代だというだけで。
女の子は、全部わかってて、執事を利用して、わたしをはめたのだ。
ただ、ただ、わたしへの嫌がらせに。
チックショウ、やるじゃねえか、ガキのくせに。
間違いなく、オレの妹だな。
この根性の曲がり具合、
他人の思い込みを利用するホラの技巧度、
血を感じる。

待てよ。てことは……最悪の場合、
オヤジの指図かもしれないじゃないか。
つまり、オヤジと女の子はグルでわたしをはめた。
なんのために?
それはもちろん、
「――ヒマつぶしか!」
特に意味はないのだ。ただ からかわれただけで。
最悪だな、この家のDNAは最悪だ。
タチ悪いわ、腐ってる。
わたしは口惜しさで頭を抱えて、のたうちまわった。

「ご主人様」
ノックの音ともに執事が顔をのぞかせた。
髪の毛をかきむしってるわたしに、ぺらり、と一片の紙を示す。
「こんなものが、玄関に残されておりました」
「なんだよ」
もう嫌な予感しかしない。
執事の手からひったくった紙には見覚えのある筆跡で、
「ごちそうさま。」とだけ書かれていた。
ムキーッ!!!
やっぱ、あのジジイの仕込みかっ。
「おい、執事、オヤジに「早く死ね」って言っておけ!」
「はい、お元気でいらっしゃいますよ」
「知ってるよ!」
知ってる。
よぉく知ってるよ。



以上、ホラ七割くらいで。じゃっかん真実で。
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コメント

わ~!!
続編があるなんて!(^^)
と思って、読んだら、ナイスなオチでしたね。
一件落着☆

jun様、こんにちは。
寝込んでいたため、お返事が遅くなって申し訳ありません。
ええ、寝込んでいました。
精神的な衝撃で心の背骨をぽっきり折られて、
腹を壊して寝込んでいました。
執事はわたしをちっとも信じてませんし、大事にしてません。
ホントに、心の和む我が家です。なんなんだ、この家系。
いつかオヤジをギリギリ言わせるのが、今のわたしの夢です。
コメント、ありがとうございました!

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