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2011年7月24日 (日)

この本がおもしろい。わたしが勝手に思うに。――風にのってきたメアリー・ポピンズ

以下、ネタバレをふくむので、いやんなひとはバックプリーズ。

今回は = 風にのってきたメアリー・ポピンズ(メアリー・ポピンズシリーズ) で。
前回の ドリトル先生 に続いて児童文学だけど、
別にいいよね。
いい本はジャンルがなんだろうと、いい本だからね。間違いなく名作。


ざっくざっく、おおぎりザックなストーリー紹介。
海のかなた、イギリスにバンクスさん一家という家族がいた。
両親に子ども四人(のちに五人)という大家族だが、
この家の子どもたち=サル山状態。
無秩序でしつけがなってなくて、
もう毎日 どうしたらいいのよ! って
ママがハンカチ噛みながら叫ぶレベル。
いや、子どものしつけは両親の責任だから、
ママが被害者のように叫ぶのはお門違いなのだが、
でもこの話はたぶんちょっと昔の設定なので、
いまほど子どものしつけ=親の責任ではないのかも。
なぜなら、当時は子守っていう職業の人たちがいて、
彼らは子どもの面倒専門のプロだったからだ。
だから、バンクス家の無法状態を解決するには、
子守がいればいいわけよ。
もちろん、ママは子守だの家庭教師だのを何人も
雇うのだが、来る人来る人、みんな
サルたち(子どもたち)と気が合わない。
もしくは銀器を盗んで、忽然といなくなる。(泥棒じゃねえか)
そんな困った毎日を送っていたバンクス家に
ある日、超凄腕の子守がやってきた。
どれくらい凄腕かって言うと、
スナイパー界における「ゴルゴ13」レベルの凄腕。
または、交渉人界における「MASTERキートン」「勇午」レベル。
もしくは、日曜日における「ちびまるこちゃん」「サザエさん」レベル。
たとえば、スーパーにおける「卵」「牛乳」「米」「食パン」レベル。
疑いなく、世界一の、人類史上一位の子守だった。
彼女は、バンクスのサルたちをも、あっという間にしつける。
そんな彼女の名前は、メアリー・ポピンズ。
ふらりと、こうもり傘(?)で風に乗ってやってきた、
詳細不明の謎の多い子守だ――って話。

メアリー・ポピンズはとってもプライドが高くて、
自意識が高くて(これは超一流だからしょうがないかも)、
鼻がつん、としていて、
魔法使い(?)で、
子どもたちを、いろんなふしぎな事件に巻き込みます。
メアリー・ポピンズと一緒にいると、
公園の大理石像が動き出したり、
絵皿の中に入ったり、
星座たちのサーカスに招かれたり、
ノアの子孫に会ったりする。
子どもたちはメアリー・ポピンズがいると
とびっきりの冒険をしながら、
自然によい道へ、正しい道へ導かれ、
よい子になっていきます。
でも、メアリー・ポピンズはずっと一緒にはいてくれません。
不思議な、ひとだからね。
ひとって言うか、たぶん人間じゃないけどね。
ふらりとやってきて、突然 いなくなって、
またやってきて、再びいなくなったりする。
メアリー・ポピンズがいなくなるたびに、
バンクスのママは悲嘆にくれるのだが、
どうしようもない。だって連絡先知らないし。
紹介状も履歴書も、もらってないし。

けどね、メアリー・ポピンズは超一流だから、
いなくなるのにはきっと、理由があるんだよね。
たとえば、自分がもう、子どもたちに不要だと感じたとかね。
子どもは、いつまでも子どもじゃない。
親はなかなかそれがわからないかもしれないけど、
メアリー・ポピンズには、わかるんだと思う。
子どもたちはメアリー・ポピンズにずっといて欲しいって願うけど、
メアリー・ポピンズは必要なときしか、いない。
メアリー・ポピンズが不人情ってことは、絶対ありません。
サルたちがどうなってもいいから消えるとか、
うざいから辞めるとか、そんなことは絶対にありません。
本に明記していないけど、絶対にない。
だって、メアリー・ポピンズは、優しいんだよ。
口ではとてもきついことばかり言って、叱るけど、
子どもたちのピンチには必ず駆けつけて守る。
慈しんでいなかったら、愛してなかったら、そんなことはしない。
だから、メアリー・ポピンズが姿を消すには
正当な理由があるんです。
自分だって別れるのはたぶん、とても辛い。
でも、子どもたちのためを考えて、彼女は自ら去るのです。
一流だね。
超一流だね。疑いなく。

わたしは、子供のころから、メアリー・ポピンズが大好きでした。
彼女が起こす不思議な冒険も魅力的だったけど、
なにより、彼女の性格が、とてもクールでかっこよかった。
メアリー・ポピンズは子どもを甘やかさないよ。
子どもにこびることもしない。
ちゃんと、大人として「子どもを子ども扱い」する。
簡単なことに聞こえるかもしれないけど、
「子どもを子ども扱い」できない大人って本当に多いんだよ。
実際問題、我が家の両親もできてませんでした。
まあ、貴族だからっていうのもあるんだが、
小さいころから、「大人扱い」でした。
つまり、「大人ならわかってる・子どもにはわからないこと」を
当然 言わずともわかっているだろう・できるだろうという風に、
子どもに接するのです。
これは、子どもにはとても辛い。
大人は、どうしても自分中心で考えてしまうから、
子どもがどう考えるか、どう感じるかって予想を、
「自分だったら」って考えてしまう。
しかし、その「自分」は「もう大人になった自分」で、
子どもの視線じゃないんです。
できて当たり前・無言でわかっている・説明は要らない、
そんな事柄が、子どもにはぜんぜんわからない。
子どもとちゃんと話すときには、
自分は大人なんだって自覚が必要なんです。
そういう自覚がない大人、多いですよ。

最悪なのが、そういうひとが教師になってる場合。
メアリー・ポピンズと正反対の場合ね。
もうこれは、最悪の最悪のパターン。
教師だ、子どもを見てるだ、言っておきながら、
子どもの視線がまったく理解できない。
だから、言ってることが上っ面だけ。空振りの正義。
当然、子どもを理解なんてしてない。
理解してる気になってるだけ。
たとえばイジメが起きました、誰かが加害者ですってときに、
「みんな、机に顔を伏せて。
いじめたひとだけ正直に手をあげなさい」とか言っちゃう先生。
駄目です。ぜんぜん子どもというものがわかってない。
ここで手をあげるような子どもは、そもそもいじめなんかしません。
逆に、いじめをするような子は、先生の前ではイイコにふるまっています。
こういう先生の「お気に入り」が陰でいじめをやると思う。
メアリー・ポピンズは、こんなアホなことはしない。
たぶんずばり、いじめっ子を発見して、容赦なく罰を与えるでしょう。
え、なんで先生にはわからないいじめっ子が
メアリー・ポピンズにはわかるのかって?
見てるからですよ。
ちゃんと大人の視線と、子どもの視線を見てるからですよ。
ひとりひとりの子どもを見てるから、わかるんです。
あと、メアリー・ポピンズは一流だからな!
まあ、フィクションの人物で、わたしが美化してるってのがあると思うけど、
それでも、メアリー・ポピンズは超一流だからな!
だから、子どもに簡単に騙されたりしないよ。
ゆえに、彼女は、子どもからしたら、手ごわい大人だけど、
でも信用できる大人。
本当に、自分(子ども)を大切にしてくれる大人です。

わたしは子守じゃありませんが、
子どもと接するときは、メアリー・ポピンズのスタンスを
見習いたいですね。
わたしはもう大人になった・大人の視線のひとです。
それを自覚して、子どもに話しかけます。
子どもにわかるよう、「なぜいけないか」「なぜいいのか」
できるだけ説明するし、
子どもにも「ありがとう」をちゃんと言う。
わたし自身には子どもがいないから、
話すとしたら、友人の子どもたちですが、
できるだけ誠実でありたいと思います。
子どもより親と話す時間のほうが多いから、
そんなに子どもと話す機会はないです。
でも、大切にしたいです。
ちゃんと、「子どもを子ども扱い」したいと思います。
メアリー・ポピンズが教えてくれたのは、
そういうことです。
メアリー・ポピンズシリーズは、だから、とてもいい本です。
大人にとっても、子どもにとっても、
大事なことがわかる本です。

蛇足ですが。
当初、メアリー・ポピンズは傘をさして風に乗って
空からやってくるのですが、
かつて琵琶湖の鳥人間コンテストで、
おんなじことをしてたひとがいました。
メアリー・ポピンズのかっこして、スキップしながら、
傘をさして台から飛びました。
落ちました。
当たり前ですね。(飛距離ゼロメートル)
でも、その精神(スピリット)が!
メアリー・ポピンズやったろうという、ウケを狙う精神! が、
わたしはとても嬉しかったですね。
ああ、ここにもメアリー・ポピンズと一緒に
子ども時代を過ごしたひとがいるなあと思いました。

以上、ホラ一割くらいで。
メアリー・ポピンズは超一流ですよ、これは鉄板です。
この部分はホラじゃないです。

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