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2011年4月18日 (月)

この本がおもしろい。わたしが勝手に思うに。――嵐が丘

以下、ネタバレを含むので、いやんなひとはバックプリーズ。

今回は = 嵐が丘(エミリー・ブロンテ様)で。
グラスハート にも 嵐が丘 ってタイトルあるんで、
著者名入りで。

いやー、この話は、心情的に辛いッスね。
ストーリーを簡単に要約すると、
「ヒトデナシの恋」です。
孤児で何も持たない・誰も愛さない男ヒースクリフが
生涯にただひとり、キャサリンだけを激しく愛する。
キャサリンはヒースクリフの愛を知りつつ、また、
自身もヒースクリフを愛しながら、違う男と結婚する。
この物語は、過去に起きた話を主人公が
ある女性から伝聞するという形で語られますが、
すべて過去のことなのに、主人公の前に、
ヒースクリフとキャサリンの葛藤がありありとよみがえってくる。
最後はヒースクリフの孤独な死の描写で終わるのですが、
それすらあまりにもリアルで、
主人公は追想にふけらずにはいられない――って話。

余談で、「嵐が丘に帰る」って話もありますが、
作者が別人なんで、正統な後日談じゃないです。

しかし、この話、辛い。
ある意味、伯爵カインシリーズ と同じくらい、辛い。
この話のテーマのひとつはヒースクリフとキャサリンの絆、
狂気と狂喜を帯びた絆だと思うんですが、
こんな恋愛、滅多にないよな。
それこそ、この物語は、他人なんか眼中に入らないヒトデナシが
恋をするとどうなってしまうかということのアンサーです。
幸せな結末にならない。
幸せになれないんだよ、こんなに愛しているのに。
誰よりも愛しているのに。
何よりも愛しているのに。
幸せに、ならないんだなぁ、どうしてだろう。
本当にどうしてなんだろう。
もしかしたら、生涯、ひとりしか愛さない人は
幸せにはなれないのかもしれない。
すべてをひとりに与えてしまう人は、
相手に魂すら与えてしまうから、
自身が幸せになる余地がなくなるのかなあ。
でも、それでも、本人は幸せなのかもしれないなあ。
どうなんだろう、ヒースクリフは幸せだったのだろうか。
すさまじい最期をとげるわけだが、
それでも、荒野を吹き抜ける風に「ヒースクリフ」という
キャサリンの声を聞き続けていた彼にとっては、
幸せだったのかもしれない。
「ヒトデナシの恋」は通常の基準で量れないので、
幸せかどうかは、わからないですね。
ある意味、東京BABYLON と対照的な物語です。

ただ、読み終わると忘我の境地です。
呆然として、「あああぁぁあ……」みたいな声が漏れる。
感想なんて、すぐに出てこないわ。
どうしても、あまりにも強いヒースクリフの思いに取り込まれてしまうので、
ヒトデナシの視点になってしまいますね。
なんでだよ、キャサリン。こんなに愛されているのに、
どうしてほかの男となんか結婚できるんだよ。
ヒースクリフもヒースクリフだよ、こんなに愛しているんなら、
駆け落ちでもすりゃよかったのに。
むしろ、心中してもおかしくなかったのに。
それでも、ヒースクリフは、キャサリンを直接殺すことは
できなかったんだろうな。
間接的に追い詰めたかもしれないけど。
ある意味、ヒースクリフはキャサリンを愛していたけど、
憎んでもいたと思います。
キャサリンの中にはヒースクリフがゆるせない部分があった。
それこそ、結婚とか、手に入りそうではいらないところとか、
ヒースクリフの胸をかきむしるようなことを平気でする女。
でもその女は、ヒースクリフにとって、唯一の女。
本当に、唯一の女で、唯一の他人だった。
キャサリンの視点以外の視点は、ヒースクリフにはなかった。
それを思うと、胸が痛みます。
ヒースクリフの世界は、キャサリンで完結していた。
だから、壊れることは、もう初めからわかっていた。
人はずっと仲良しの子どもではいられない。
成長し、大人になり、変わってしまう。
ヒースクリフは変わらなかった。キャサリンは変わった。
そういうことなのかなあ。
それでも、彼は彼女を愛した。
誰がなんと言おうと、侮蔑されようと、軽蔑されようと、
彼は彼女を愛していた。
それだけは真実。それだけは、それだけが、真実だった。

わたしはヒースクリフみたいな恋愛はしたくないですね。
正直、おっかないです。
相手を殺しかねない。
そんな激情が自分の中にあったら、怖くて夜トイレにひとりで行けません。
そんなことしたくないもんよー。
でも、どうなんだろうね、恋愛ってのは、多かれ少なかれ、
ヒースクリフ的な要素があるのかもしれないね。
多いか、少ないかは人によるけどさ。
わたしは、万が一、恋愛をしてしまったら、
ヒースクリフ的なことになりそうで、イヤですね。
極力、恋愛はしない方向で人生、生きていきたいと思います。
ええっ! それって大きな損だよ、って言われるかもしれないけど、
人を殺しちゃうよりもいいよ、たぶん。
そう思います。



以上、ホラ五割くらいで。
久々に小説について語りました。
最近、ベランダだの仕事だのなんだのがあって、
なかなか本とマンガについてまとめて語れないのが、残念。
またぽつぽつとできるときに語っていきたいです。
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