« このマンガがおもしろい。わたしが勝手に思うに。――おそろしくて言えない | トップページ | 友人宅で週明けまで療養することになりました。 »

2011年2月23日 (水)

この本がおもしろい。わたしが勝手に思うに。――車輪の下に

以下、ネタバレを含むので、いやんなひとはバックプリーズ。

今回は = 車輪の下に で。


ヘッセ様の名作。
ヘッセ様の詩もすばらしい。愛読してます。
デミアン でもいいかなと思ったけど、
今回はより共感が持てる 車輪の下に で。

えこひいきなストーリー紹介。
主人公ハンス少年は秀才。親や故郷の期待を一身に受けている。
難しい試験にも受かって、いい学校へ入ることができた。
だが、成績が急に悪くなる。
すると先生は彼を呼び出してこう言う。
「弱ってはいけない、
さもなければ車輪の下敷きになってしまうから」。
恐れていたことは現実となる。
ハンスは見る見る成績が下がり、
学校から追放され、鍛冶屋の徒弟に入る。
しかし、そこにも彼の居場所はなく、
やがて彼は川に落ちて――って話。

子どもを持つ親には、必ず一度読んでもらいたい本。
胸がつまる物語です。
ハンスと同じような思いをしている子どもたちが
全国に何人いるでしょう。
「君ならできる」「期待している」という言葉で、
前へ前へ押し出され続ける子どもたち。
もう一歩も先へ行けないほど疲れきり、
ハンスと同じ運命をたどる子どもたち。
わたし自身、中学受験の経験者なので、
大人が子どもに「期待」という名の重責をかける
ことがあることを知っています。
受験が終わったときは、本当にほっとしました。
ああこれでやっと、
あんな身の置き場がないような気持ちとはお別れなんだ――。
でもそうじゃなかった。新しく入った学校では
また成績競争が待っていました。
成績競争は、大学入試まで続きました。
そのころには、もう、わたしは疲れきっていました。
わたしがハンスと同じ運命をたどらなかったのは、
よき友に恵まれていたから、というだけです。
わたしには理解者がいた。
だからハンスと同じにはならなかった。

車輪の下 がどんなものか、
いまの日本社会の学生なら、みなわかるでしょう。
特に成績優秀で、いつも両親や周囲に
「頑張れ」「頑張れ」と言われ続ける子どもなら、
自分を押しつぶす車輪がどんなものか、わかるでしょう。
車輪に負けずに、車輪を押し返すことができる子供もいるけれど、
ハンスと同様に、車輪に潰されてしまう子どももいる。
親を殺したり、自殺したり、
疲れきって病気になったりする子どもたち。
わたしは痛ましくて痛ましくてたまりません。
当たり前のことだと思いますが、
人間は幸せになりたい生き物なんです。
幸せになることが夢なんです。
それは、いい学校を出て、いい企業に入れば、
保証されるものではありません。

でも、悲しいけれど、
日本が学歴社会であることは
重々承知しています。
ある程度の学歴がなければ、就職することも難しい。
日本では、誰もが車輪の下をくぐることになっている。
車輪の下をくぐらないものは、低学歴者として扱われる。
かといって、車輪に潰されてしまったら、それでもう終わり。
そう思うと、やはり胸がつまります。
ヘッセが自身の経験を元に 車輪の下に を
書いたのは1906年です。
そのころから、車輪の下は変わっていない。
子どもを押しつぶす車輪は回り続けている。

わたしは、学校が必要なことはわかっています。
なにも教えてもらえない子どもは、なにもできない。
だから自分とは何か、社会とは何か、自分にできることは何か、
教えてもらう必要がある。自身の可能性を試すために学ばねばならない。
生きるために、学校は必要です。
しかし、矛盾してしまうけれど、学校に殺されてしまう子どももいるのです。
子どもを生かすはずの学校で、殺されてしまう子どもがいる。
どんなに苦しいでしょう。どんなに悲しいでしょう。
どれほど助けてほしいと願うでしょう。
でも、両親は言います。「あなたはやればできる子なんだから、頑張って」。
教師は言います。「君はいいものを持っているんだから、頑張って」。
頑張り続けて疲れきって死にそうな子どもにかけられる重い期待。
頑張って、頑張って、頑張って。
――ごめんなさい、でも、もう頑張れない。
そう思い、潰されていく子どもたち。
つらい、つらい現実です。

わたしは笑っているのが好きです。
アホなことをやらかして、みんなで笑うのが好きです。
悲しいことはキライ。つらいこともキライ。
本当は、車輪なんてなければいいと思う。
そう思うと、やっぱりヘッセ様の 車輪の下に は
世界に必要とされる物語なのだと思います。
この物語には子どもの悲鳴が詰まってる。
それから目をそらしてはいけない。
そう思います。
少なくとも、車輪を経験した自分は、
子どもを車輪の下へ押し出す大人にはならない。
絶対にならない。
もっとも、わたしは独身主義で自分の子どもがいないんで、
車輪の下はありえないですけどね。
それがまあ、救いかな。

そんな感じで、センシティブに振舞ってるけど、
実は鼻の穴をほじってる感じで、今回は終わり。
ホラは六割~七割で。
いや、わたしはそこまで悲惨な人生送ってないんで。
車輪の下に のハンス少年のように、
傷だらけになった挙句、水死とかいう人生じゃないんで。
ユーモアのセンスがあるんで、そこまで堕ちないですよ。
とりあえず笑って、笑って。
お気に召したら、下記をクリック。

にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村

« このマンガがおもしろい。わたしが勝手に思うに。――おそろしくて言えない | トップページ | 友人宅で週明けまで療養することになりました。 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

黒羊男爵さま、お邪魔いたします。
kaluapigと申します。
私も中学受験経験者でして、その後しっかり落ちこぼれた
くちでございます(笑)
でも不思議と母校を愛していたりします。
私もそこまでは堕ちないくちらしいです(笑)

(帰京する車の中から携帯にて失礼いたします)
kaluapig様、コメントありがとうございます。
おお、受験経験者。お仲間ですね。
わたしの経験では、暗いところへ堕ちないようにするためには、
毎日 バカな仲間(褒め言葉)と適度な笑いを摂取することが望ましいようです。
ユーモアって大事ですね。
いただいたコメントから、kaluapig様にもユーモアがおありと感じます。
またぜひ、このブログに遊びにいらしてください。
だいたいアホなことを言いながら、ホラを吹いておりますので。
ツッコミ、ボケともに大歓迎でございます。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/568051/50950093

この記事へのトラックバック一覧です: この本がおもしろい。わたしが勝手に思うに。――車輪の下に:

« このマンガがおもしろい。わたしが勝手に思うに。――おそろしくて言えない | トップページ | 友人宅で週明けまで療養することになりました。 »