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2011年1月22日 (土)

この本がおもしろい。わたしが勝手に思うに。――フリスビーおばさんとニムの家ねずみ

以下、ネタバレを含むので、いやんなひとはバックプリーズ。

今回は = フリスビーおばさんとニムの家ねずみ で。

児童文学の名作。
深い。大人が読んでも引きこまれる深さがある作品だ。
ニムの家ネズミがポイント。
ちなみに、「フリスビーおばさん」とタイトルにあるが、
犬がやる「フリスビー競技」とは無関係。余談。蛇足。
(一瞬、空を飛ぶフリスビーおばさんを想像してしまった)

ざっくざっくなストーリー紹介。
野ねずみのフリスビーおばさんは困っていた。
息子が怪我をして、新しい家へ引越しができないのだ。
このままだと人間に家を壊されてしまう。
そこで、かつてフリスビーおばさんの旦那さんが
いざとなったら、旦那さんの仲間の「ニムの家ねずみ」たちを
頼るといいよと言っていたことを思い出し、
近所に住んでる「ニムの家ねずみ」たちを訪問する。
彼らは野原に住んでるけど、家ねずみ。
そしてただのねずみではなかった。
ニムの研究所で実験体だった、
高い知能があるねずみたちだったのだ。
(このあたり ウォッチャーズ とちょっとかぶるが、
 フリスビーおばさんのほうがたぶん、
 ずっと前に発表されてる)
ニムの家ねずみたちは、
フリスビーおばさんの引越し問題を造作なく片付ける。
そして、自分たちはこれから、自然に充ちた、
ずっとずっと山の奥のほうへ引っ越すのだと告げる。
今までニムの家ねずみたちは、
人間の家の電気を引き込んだりして暮らしてきた。
それは、ネズミ本来の生き方と違う。
また、自尊心ある存在として、
パラサイト生活をするというのも問題がある。
彼らは山奥で自分たちだけの力で、
イチから文明を立ち上げようとするのだ。
(見あげた根性。少なくとも、
 わたしよりもはるかに根性がある)
家ねずみたちの運命は――って話。

この話は、ねずみの視点から見た、
人間に対する告発です。
告発という言い方が適切でなければ、
人間以外の生物から人間へ突きつけられた、
「本当に、そうやって生活していていいと思ってるの」という
疑問の提示です。
ほかの生き物を実験で潰して、科学を進化させて、
自然を壊して、自分たち以外の存在を軽んじて、
本当に、それでいいと思っているの?
それで問題はないの?
という声が聞こえます。
そんなのありふれた、よくある声だよ、
聞き飽きたさ、という方もいるかもしれません。
けれど、子供が手に取る本として、
フリスビーおばさんとニムの家ねずみ は
優れたクオリティのストーリーテリングで問いかけてきます。
子供が小学校中学年以上になったら、
一度 読ませてみる価値がある本です。
自分たちがなにを犠牲にして、
どんな行動をして、いまの生活を築いているのか、
人間は知る必要があります。
必要、というより、義務があります。
なぜなら、人間は、
ほかの生物を押しつぶして生きているからです。
そんな生き方をする生き物は、人間しかいません。
人間しかいないのです。

自然と人間の共存ということは、
もう何度か、このブログで取り上げてきました。
というより、ある種の本・マンガを読むと、
それが浮き出てくるのです。
おもしろいストーリーの話は、
ワクワクするだけじゃない。
いろいろ、読み手に考えさせるお話です。
そして考えていると、
自分と、自分を取り巻く環境・自然というものに
考えが至ります。
なぜなら、その種の物語は、
「自分と世界」という問題を扱っているからです。
この問題には、決まった答えはありません。
正解はいくつもあるでしょう。人によっても異なります。
ただ、わたしが読み解くとき、
「自分と世界」は「自分と自然」になるのです。
文字から読み解くと、
「自ずから分かるものと、自ずからあるもの」。
存在はその二つに分けることができて、
いま、その二つの均衡・バランスがおかしくなりかけている。
自然のほうが、マイナスに大きく傾いている。
そう感じるのです。
それでもいいさ、自分の寿命程度保ってくれればいいさ、
という意見もあると思います。
それはそれで無理もないです。
人間は生物ですから、自分の存在・生きてることが、
第一義ですから。
ただ、わたしは地球に人類ひとりぼっちで、
それでどうするよ、と思うのです。
そんなの、さびしいじゃないですか。むなしくないですか。
世界があるから、生きていられるんです。
世界を食いつぶしてしまったら、どうやって生きるんですか。
もう生きられないじゃないですか――。

ねえ、人間は、どうして本を書くんですか。
どうして本を読むんですか。
自分がひとりではないことを確認するため、と答えた方がいます。
ひとりじゃない。
この本を読んで考えこむ人は、自分以外にもいる。
本の影響は波紋状に広がっていく。
すぐに劇的な影響は無理です。
でも、いい本は世代を超えて、受け継がれて、影響していく。
フリスビーおばさんとニムの家ねずみ は受け継がれる本です。
自分がひとりじゃないことを確認するために、
自分と世界の関係を確認するために、
ぜひ一度、読んでみてください。

サバンナの色鮮やかな夕焼けは、
ライオンたちだけのものじゃありません。
あなたのものでもあるのです。
毎日デスクワークしている仕事は、
あなたのためだけのものじゃありません。
世界に影響しているのです。
あなたは、世界でひとりっきりがいいですか。
好きな人や大事な人が一緒にいたらいいなあと思いませんか。
好きな光景や、大事なペットや思い出の場所が
ちゃんといつまでもあったらいいなあと思いませんか。
きれいな景色が好きですか。
きれいな空、遠い白い星が好きですか。
好きだったら、ちょっと考えてみてください。
難しいことじゃないです。
ただ、このままでいいのか、考えてください。
そして、このままじゃダメだ、と思ったら、
洗剤を買い替えに行きましょう。植物性のものに。
その程度の努力、努力とも言えないような変化が、
積み重なって、大きな影響になるんです。
わたしは、あなたは一人ではないと思います。
わたしがいるからです。
だから、大丈夫です。
わたしがいて、あなたがいる限り、
この星の上に人類ひとりっきりにはなりません。
なぜなら、わたしたちは努力するからです。
本当に小さな、小さなことしかできないけれど。
星に届くように、願うのです。

今日はしんみりした感じで、
いかにもイイヒトって感じで、
ホラ五割です。でも、半分はホント。
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