« このマンガがおもしろい。わたしが勝手に思うに。――日本人の知らない日本語 | トップページ | この本がおもしろい。わたしが勝手に思うに。――夢をかなえるゾウ »

2011年1月26日 (水)

バレンタイン・おばあさまの前にすべきことが、と執事が言った。

さっき、書斎にカフェオレ持ってきた執事が、
わたしが携帯いじりながら、
誰と一緒にバレンタインの買出しに行こうかなって考えていたら、
「ご主人様、大切なことをお忘れでは」と言った。

「大奥様へのチョコレートケーキより先に、
もっと重要なものがあるのではないでしょうか」
「へ? ないよ、そんなもん。命がかかるようなことだろ。
強いて言えば、次のジャンプコミックスの発売日が――」
「忘れていらっしゃるのですか。
それとも、忘れたふりをされているのですか」
「なにを?」
ポカンと執事を見上げると、執事は咳払いして言った。
「バレンタイン前に、ご婚約者様に、ご連絡をとられるべきでは?」
!!!!?!!!!
「きっとあちらのお嬢様は、バレンタイン当日のご主人様の
ご予定を気にされているはず。
今年も、手作りチョコをご用意されているのではありませんか」
!!!!!!?!!
私は携帯電話を取り落とした。
なんだ? 執事はいまなんて言った?
婚約者?
私の婚約者?
ちょっと待て、ちょっと、ちょっと待て。
「そもそも、わ、私に婚約者なんて、いたっけ?」
「いらっしゃいますよ。昨年もバレンタインのとき、
お見えになられたではありませんか」
「去年、東京を襲った痛ましい大災害のことなら覚えてるけど、
婚約者なんて、記憶の欠片もないよ」
「ご主人様、悪ふざけがすぎますよ。
ご連絡もされないで、お嬢様はお心を痛められているのではありませんか」
「いやいやいやいや、痛める心なんてねぇだろ。
だってそもそも、人類じゃないし」
アレは。
ホモ・サピエンスというより、もっとこう、最終兵器的な。
最終戦争用最終決戦人型兵器的な。
ハルマゲドン的な、ゲリオン的ななにかですよ。
「とにかく、私は何も知らない。なにもしないぞ!
わ、私に婚約者はいたかもしれんが、
それは、この子だよ、間違いない」
私は携帯の待ち受けに使ってる画像を執事に見せた。

110125_18430012

「な? かわいいだろ? ヒナちゃんっていうんだ。
この子が私の婚約者。間違いない」
「ご主人様……」
執事はため息をついて、言った。
「では、わたくしのほうから、お嬢様へご連絡差し上げます。
ご主人様のスケジュールは把握しておりますので」
「ちょ、ちょっと待てェエ!!
おまえは、あの痛ましい悲劇を繰り返すつもりか?!」
脳に刻み込まれた大災害的な。
生存者は数えるほどの劇的な。
自分の足で立っていられる者はいなかった的な。
「おまえだって、イヤだろぉ! 絶対、おまえも巻き込まれるんだぞ」
「わたくしは執事でございますので。
ご主人様のお幸せにご奉仕するのが役目です」
「だから、私の幸せは、このニャンコと結婚することだ。
正体不明の異次元物質を摂取することではない」
「それでは、仕事がありますので」
「おい、待て、早まるな! 飛び込む前に踏みとどまるんだ!」
私の制止を振り切って、執事は勝手に退室してしまった。
どうしよう。
どぉーしーよぉ!
アレが来ちゃったら、どうしよう。
たとえば
バレンタインの午前中は、おばあさま
午後はアレに対応することになるのか。
死ぬ。私は絶対死んでしまう。
というか、殺される。
私にトドメをさすのは、おばあさまかアレかわからんが、
絶対 死ぬ。
私は、そろそろ生前葬を行うべきなのかもしれんな。
遺言状くらい用意しておいたほうがいいかも。
私を助けてくれ、ニャンコ。
携帯の液晶画面に、水滴が落ちた。
それは、絶体絶命の危機に際して絶望する、
私の苦しみの涙だった。



以上、ホラ八割で。
お気に召したら、下記をクリック。

にほんブログ村 その他日記ブログ たわごとへ
にほんブログ村

« このマンガがおもしろい。わたしが勝手に思うに。――日本人の知らない日本語 | トップページ | この本がおもしろい。わたしが勝手に思うに。――夢をかなえるゾウ »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/568051/50692455

この記事へのトラックバック一覧です: バレンタイン・おばあさまの前にすべきことが、と執事が言った。:

« このマンガがおもしろい。わたしが勝手に思うに。――日本人の知らない日本語 | トップページ | この本がおもしろい。わたしが勝手に思うに。――夢をかなえるゾウ »