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2010年12月31日 (金)

この本がおもしろい。わたしが勝手に思うに。――アルジャーノンに花束を

以下、ネタバレを含むので、いやんなひとはバックプリーズ。

今回は = アルジャーノンに花束を で。

名作だ。これ以外にも
著者・ダニエル・キイス様には「ビリー・ミリガンシリーズ」もありまするね。
そっちもいいけどね。今回は アルジャーノン で。
この話、いろいろ考えると涙が出そうになってくる。
「いろいろ」とは、まあ、おいおい、後で語りますが、
とりあえずストーリー紹介。

主人公チャーリーは知能に問題があり、
他人に馬鹿にされながら下働きを続ける毎日。
ところがある日、ある施術を受けたことから状況が一変。
チャーリーの知能指数は見る見る上がり、
天才レベルに。
同時に彼を取り巻く環境、環境に影響される彼自身の心にも
変化が訪れる。プラスの変化と、マイナスの変化が。
しかし、やがてチャーリーの知能は落ち始める。
施術は永久的な効果を持つものではなかったのだ。
彼は最終的には以前同様の存在となる――って話。

読んだ人全員が泣ける話かどうかは、わたしにはわかりません。
わたしは泣きませんでした。でも、泣いた人はたくさんいます。
わたしが泣かなかったのは、
チャーリーの運命が自分の運命だと思ったからです。
だから、「共感」しても、「可哀想」にはならなかった。
泣きそうになっても涙は出なかった。
ただ、うちのめされただけです。

知能が一時的に上昇し、再度下降する。
これが意味する恐怖は、筆舌尽くしがたいものがあります。
止めようもなく、自分が自分ではない、違うものになってしまう。
現在よりも、ある意味、白紙に、狂人に近い状態になってしまう。
わたしはそういう恐怖を感じたことがあります。

わたしの知り合いに認知症になった方がいますが、
夜、泣いてしまうそうです。
自分が、自分というものを構成しているパズルのピースが
どうしようもなく、どんどん欠落していってしまう。
わからなくなってしまう。
(頭が悪くなる、と彼は形容していましたが)
自分で自分の頭を殴りたくなるそうです。
皮肉なことは(彼自身もそれを認識していましたが)、
いっそ、すべてわからなくなってしまったら、楽になるということです。
そう、自分が変わってしまったということすらわからなくなってしまったら、
もう苦しむことはありません。
しかし、いま・おかしくなっている途中では、
その最終形になるのが伝えようもないほど怖い。
自分が壊れていくのが怖い。
この恐怖は、本当に味わったものにしかわかりません。

中島敦に「山月記」という話があります。
己の宿業が祟って、虎に変化してしまった男の話です。
男は言います。(以下、引用ではないです。文意です)
「いっそ虎になりきってしまったら、怖くないのに。
だが、たまに意識が人間に戻ったときは、
虎になりきってしまうことに、すさまじい恐怖と悲しみを覚える」
一度 手にしていた自分のピースが、欠けていく恐怖。
本当に恐ろしいものです。
わたし自身、何度か感じたことがある恐怖です。(病気持ちなのでね)
ただ悲しい、哀しい。止めようもない変化が恐ろしい。

アルジャーノンに花束を の主人公チャーリーは
とても優しい、勇気がある人間でした。
彼は自分がピースを失ってしまうことを知り、
それでも前を向こうとするのです。
それが「人間らしさ」です。
前を向こうとする姿勢が、人間らしさというものです。
だから彼は、知能的に大きなものを失ってしまっても、
人間らしさという最後の最後のピースだけは、
ずっとその手に握っていました。
それだけは、なにを失っても、彼のものでした。
最後に、「アルジャーノンに花束をあげてください」という優しさ。
ひとは恐ろしい絶望に対面して、現実に心を打ち砕かれても、
人間らしさと優しさを失わないで握っていられる。
アルジャーノンに花束を を
わたしはお涙ちょうだいの物語とは思いませんでした。
ひとつの選択、チャーリーが示す道筋だと思いました。
その道筋に乗っていってもいいんだよ。
そう、肩をたたかれた気がした。
いくつかピースを失ったとしても、恥じることはない。
絶望することもない。
顔を上げて、前向きに、優しく生きていけばいい。
それでいいのだ。
ピースを失う恐怖に、夜、ひとりで泣いてしまうかもしれない。
絶望のあまり、周囲に当たってしまうかもしれない。
そしたら、涙を拭いて、周りに謝って、
それからできるだけ前を向いて、優しさを忘れないで。
それでいいんだよ……。
これは優しい、優しい物語です。
優しい心の物語だと思うのは、
主人公の心が優しいからでしょう。

育児に疲れて、子供に当たってしまったお母さん、
業績が伸びなくて、会社で罵倒されたお父さん、
勉強ができなくて、叱られてばかりの子供。
世の中、いろいろあると思います。
そんなとき、この優しい物語を読んでください。
そして、チャーリーが持つ最後の二つのピース、
人間らしさと優しさを補給してください。
いろいろありますよ、人生ですから。
無くしたり、失ったりしますよ、生きてますから。
でも大事なものはしっかり握っていてください。
自戒の意味も込めて書きます。
しっかり握っていること。
チャーリーが教えてくれた忘れてはならないことです。

以上、真実を述べているようで、ホラ五割で。
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