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2010年12月24日 (金)

このマンガがおもしろい。わたしが勝手に思うに。――王室スキャンダル騒動

以下、ネタバレを含むので、いやんなひとはバックプリーズ。

今回は = 王室スキャンダル騒動 で。

知らないかもねー、白泉社なんだが。遠藤淑子様なんだが。
ちょっと前のマンガだからね。
でもいいマンガです。強いマンガ。
主人公の心がとても強くて、温かいマンガである。

以降、いつものような不親切な紹介。
ヨーロッパの片隅にちっちゃな公国がある。
そこのプリンセス、エヴァンジェリン姫が主人公なんだが、
もうやることがハンパない。
考えは珍妙なのに、行動力がありすぎ。
国に金がない、という現実を前に、
政略結婚を企てたり、
出稼ぎに行ったりする。
もちろん、うまくいくはずなくて、政略結婚は失敗するし、
出稼ぎもうまくいかない。
でも姫君は自分の国が、国民が大好き。
国民の為に、ユニークな方法で今日も頑張り続ける。

エヴァンジェリン姫のキャラがすごくいい。
一生懸命なんだけど、ギャグっぽくて、
笑いながらも真剣なことを言う。
ずっと王室で育ったのに、他人の痛みがわかる人で、
人の心にまっすぐ届く言葉を言うお姫様です。
わたしが「この台詞、すげえ。
世の中にはこんな見方があるのか」と思ったのは、
姫がハンターに追われる鹿をかばったときの台詞。
「あなたが今かばったところで、
しょせん、世界じゃいっぱい鹿は死んでる。
それはどうするんだ」とハンターに言われて、
「わたしがかばえば、百頭死ぬところが
九十九頭で済む。それでいいじゃないか」と答える。
(台詞は原典どおりじゃないです)
そのとき、本当に唖然とした。目から鱗だった。

わたしはどちらかというと、シニカルに
ハンター側の考え方に立っていて、
「どんなに努力したって、自然は崩壊するし、
世界はひどいし、とめようがないから、
自然保護だの人道支援だの、やるだけ無駄だろ」と思っていた。
でも、違う。違うんだよ。
「シャーロットのおくりもの」を紹介するときにも書いたけど、
「非力となにもしないのは、イコールではない」んだよ。
ここで鹿を一頭助ければ、死ぬ鹿は九十九頭で済む。
もし誰か、ほかにも鹿を助ける人がいれば、
死ぬ鹿は九十八頭で済むかもしれない。
もっと少なくなるかもしれない。
もしかしたら、一頭も死なないで済む日が来るかもしれない。
「希望」って、そういうものなんだ。
希望は、そうやって見つけていくものなんだ。
世界をよくしようとする努力は、けして無駄ではない。
いまはまだ、鹿一頭かもしれない。
でもそれでいいじゃないか。ゼロじゃないんだ。
ゼロではないのだ。

エヴァンジェリン姫は、正しい。
もし自分が自分の国のトップを選ぶことができたら、
わたしは彼女のようなひとを選びたい。
王室に忠誠を誓えと言うのなら、
彼女のような姫君を守りたいと思う。
彼女はもう、その存在が、希望のようなひとなのだ。
そう思いましたよ。
同時に、自分が人の上に立つ時、
彼女のように在れるか考えて、冷や汗を流しましたよ。
いや、あのね、プリンセスと男爵だったら、
求められるものも違うし、
なによりウチは「ホラ吹き」ってメンタリティが根幹だから、
別にエヴァンジェリン姫みたいな人になる必要はないんだが、
それでも、下についた人にとって、いい「上」でありたいと思った。
ガキのころに勉強させられた帝王学なんかさ、
人の上に在るときに、なんの役にも立たないよ。
本当、クソの役にも立たねえよ。
「希望」をどうやって見つけるか、そっちのほうが重要だよ。
希望がなかったら、人は動かないよ。
真摯さと希望がなかったら、人の上に立つ資格はない。
そういうことがわかるマンガだ。
すごいマンガだよ。

もちろん、マンガだから、(大前提)フィクションなんだけどね。
しかし、フィクションが本物の人間に影響を及ぼすとしたら、
もう、ただのフィクションじゃないよな。
ある意味、生きてる・ノンフィクションだと思う。
たとえば、わたしがWWFのサポーターになったのは、
マンガや本の影響があるからなのだが、
現実にWWFのサポーターがひとり増えてるんだから、
フィクションがノンフィクションに働きかけているよな。
偉大なフィクションは、ノンフィクションを変えます。
本当に力を持ちます。
死ぬまでに一冊でも多く、
そういう偉大な物語にめぐりあいたいと思う。
そういう出会いこそ、読み手冥利に尽きますな。

以上、三割ホラで。
ホラが混じるのは仕方ないよー、男爵なんだから。
感動系でもさー、ホラはホラよ。
でも本当も混ざってるからさ。
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