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2010年11月24日 (水)

この本がおもしろい。わたしが勝手に思うに。――たのしい川べ

以下、ネタバレを含むので、いやんなひとはバックプリーズ。

今回は= たのしい川べ――ヒキガエルの冒険―― だ。

児童文学だよ。
だが、児童文学を馬鹿にするべからず!
ていうか、おもしろい児童文学書ける人って稀だと思うぞ。
子供ってのは感動させよう、泣かせようっていう作者の意図を
見抜くからよ。大人向けよりも書くの難しいかもしれない。
わたしの本の紹介にはこれからバンバン児童文学が
出てくるぞ。なぜなら、わたし自身が児童文学で育ったから。
大人向けの本ももちろん読むが、児童文学だって読むからな。
特に1970-1980年代は児童文学の黄金期だと思う。

話がそれた。で、 たのしい川べ だが。
副題に「――ヒキガエルの冒険――」とついているな。
そうなのだ、この本、出だしと、半ば以降で主人公が変わっちまうのだ。
ええっ、大人向けでもそんな斬新な構成、あんまりないよ?
そうだなあ、一人称の物語で
次々に視点が変わる(ブギーポップみたいに)のはあるけど、
まるっと主人公が変わるのはあんまりないな。
初め、物語はモグラくんと川ネズミくんの視点で進んでいく。
ところが、初めからちょっとして、
川ネズミくんの友達のヒキガエルが出始めたころから
話がおかしくなっていく。
話の内容が「躁的に」なっていくのだ。
え、川岸や森に住まう動物たちの穏やかな物語じゃないの?
クマのプーさん的な?
いや、そうなんだけど、躁的になるんだよ。
躁って、あの躁欝状態の「躁」。ハイテンションというか……。
このヒキガエルのキャラがものすげえ、
余計なくらいに立っていて、
おまえはある意味、「ドラゴンランス」の「ケンダー」かってくらい、
「大活躍」していく(本人談)。
人間騙したり、友達出し抜いたり、牢屋に入れられたり、
出獄したり、また人間騙したり、女装したり、
とにかく、ヒキガエルのやることがハンパない。
たしかに副題の通り「――ヒキガエルの冒険――」なんだが、
これ、冒険って呼んでいいの?
牢屋に入れられてるけど、軽犯罪じゃないの?
お子様向けに適切な内容なの?
――いいんです。おもしろければ、いいんです。
で、話の内容としてはヒキガエルの暴走を
どうにか止めようとする森の仲間たちなんだが、
ヒキガエル一匹に対して、
アナグマ、川ネズミ、モグラそのほかいるんだが、
もう引きずられっぱなし。止められない。
おいおい、ヒキガエルってあのヒキガエルだぜ?
普通の、カエルの。そのカエル一匹を、みんなが止められない。
アナグマなんて、力的にはカエル一匹くらい、
どうとでもなりそうなもんなのに、無力。
とにかくヒキガエルは悪賢く(そんなカエルいんのか)、
頭の回りが余計なところだけ早く(常識はない)、
紳士的で良心的なアナグマたちを出し抜くくらい、
どうってことないのだな。
だからもう、話の流れはヒキガエルに釘付け。
ヒキガエルの叙事詩。ベオカエル(ベオウルフ)。
やがて、ヒキガエルは改心して、まっとうなカエルになるんだが、
それがちょっと残念なくらい、
ヒキガエルのムチャぶりはすごい。
もしわたしに子供がいたら、ぜひ読ませたい一冊。
ちゃんと最後はヒキガエルが改心してるから、いいだろ。
改心しないままで終わっていたら、
絶対に子供には読ませないけどな。
将来がゆがむ可能性がある。そんな一冊。
お子さんがいる方にはぜひお勧めしたい。
毎日一章ずつ読むといいよ。
ヒキガエルの冒険に、家族中で手に汗握ること間違いなし。

うちは貴族だから、帝王学というのをガキのころからやらされた。
マキャべリだの、クラウゼヴィッツだの、孫子だの、
まあ、なんやかんや読まされたり、講義を受けたりしたが、
ほとんど覚えていないな。うん、覚えてない。
そんなことより、ヒキガエルの輝かしい冒険のほうが
何倍も心に深く残ってる。

帝王学ってのはさ、上に立つ人間に必要みたいに思われてるけど、
実際には、いい児童文学の登場人物の心の動きや、
現実に接する召使たちとのやりとりのほうが、ずっと必要だと思う。
帝王は、自分が何を見て目指すのか、ということより、
自分が何の上に立っているのか、理解すべきだ。
足元を知らない帝王はやがて、転がり落ちるだけだから。
――というようなことを、中学のころ、
帝王学の教師に一席ぶったことがある。
もちろん、動機は帝王学をサボりたかったから。
だが、教師は感動の涙を流して、きみは素晴らしい! と大絶賛。
大絶賛して、ものすげえ量の資料と宿題を出してくれた。
これは、ホラが素晴らしすぎてもダメな例。
もう二度とやらない。
ホラは適度に破綻していないとな。
ユーモアが入る隙間がないといかん。

以上、全ホラで。
ああ、ちなみにヒキガエルはホラ吹きだよ。
たのしい川べ を読むと、ホラを悪用すると、どうなるかわかるよ。
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